GTX 970M搭載の4K液晶ゲーミングノート「NEXTGEAR-NOTE i5701PA1」を試す
2014年11月14日、マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」から「NEXTGEAR-NOTE i5701」シリーズが発表された。本シリーズの大きな特徴は2つ。QFHD(3840×2160)という解像度、つまり4K液晶ディスプレイを搭載していることと、NVIDIAの最新ハイエンドGPU・GeForce GTX 970Mを内蔵していることだ。しかもそんなハイスペックPCを「ちょっといいノートPCを買ってみようかな?」という程度の169,800円(税別)から検討できるのだから驚く。
今回は、そんな「NEXTGEAR-NOTE i5701」シリーズの中から、最高峰に位置するプラチナモデル「NEXTGEAR-NOTE i5701PA1」を紹介しよう。プラチナとはいっても、モデルごとの違いはメモリの容量とストレージの2点のみ。ブロンズやゴールドなどのモデルを選んでも、最大の特徴である4K液晶とGeForce GTX 970Mはそのまま搭載されている。ブロンズモデルを検討している方は、SSDとHDDのアクセス速度の差と容量を確認することで、上位モデルとの違いを探ることができるだろう。
○高解像度4K液晶ディスプレイを支える高いスペック
NEXTGEAR-NOTE i5701PA1は15.6型のゲーミングノートPCだ。QFHD(3840×2160)のIGZO液晶ディスプレイを搭載しており、表面はグレア処理となっている。その高精細でコントラストの高い映像は、ドット感を意識させることがなく滑らかで美しい。そして、この高解像度表示を支えているのがほかの主要パーツ類だ。CPUには、インテルの"Haswell Refresh"世代4コアCPU・Core i7-4710HQを採用。動作クロックは2.50GHzとなり、ターボ・ブースト機能によってCPU温度に余裕があるときには、最大3.50GHzまでクロックが上昇する。そしてGPUには、高いパフォーマンスと圧倒的な省電力で話題となった第2世代Maxwell、NVIDIAのGeForce GTX 970Mを搭載。デスクトップPCかと見まがうばかりの処理能力を見せてくれるだろう。
またCPUに内蔵されているグラフィックスはインテル HD グラフィックス 4600。WebブラウジングやOffice系ソフト動作中は映像処理の負荷が低いため、このCPU内蔵グラフィックスによりさらに消費電力を抑えた動作が行われる。
メモリはDDR3L-1600規格・8GBの製品を4枚実装しており、その容量はなんと計32GB。高解像度の画像・動画編集を行う場合でも、なお余裕がありそうだ。ストレージはデュアルドライブ構成となり、システムドライブには512GBもの大容量SSD・Plextor PX-G512M6eが採用されている。このSSDはM.2コネクタによりPCI-Expressに接続されているのが特徴。昨今はSSDの性能向上が著しく、SATA3.0の転送速度の上限である6Gbpsでは、SSDの真価を発揮できなくなってきている。しかしPCI-Express2.0 x2で接続すれば上限は10Gbps。
PX-G512M6eはこのPCI-Express接続を採用することで、これまでのSSDを超える速度を実現している。データドライブ用のHDDは2TBでSeagate製だ。通信デバイスはいずれもRealtek製となり、有線ギガビットLAN端子、IEEE802.11 b/g/n対応の無線LAN、そしてBluetooth V4.0を備える。
○ゲーミングノートながらも25mmというスリムな筐体を実現
筐体のカラーは、G-Tuneのイメージ通りのブラックだ。天板やパームレスト部はヘアライン加工が施されたアルミ製になっており高級感がある。また本体裏面も金属製で、効率的に熱を拡散させる効果がありそうだ。その分、指紋が目立ちがちではあるものの、共に質感は大変良く、ハイスペック・ゲーミングノートPCにふさわしいスタイリッシュな外観を備えている。また本体内部の熱対策が難しいゲーミングノートながらも、厚みは25mm(ゴム足を含んだ場合27mm)を実現。
本体質量も2.5kgに抑えられているため、持ち運びも視野に入れることが可能だ。出張先や旅行先で使えるハイスペック・ゲーミングPCとしても魅力的といえる。
各種インタフェースは本体左右側面と背面に配置されている。正面は、左側にHDDやバッテリーなどの動作を表す8つのLEDを備えるのみで、接続端子は存在しない。背面を見ると左側に大きな排気口、右側には電源コネクタと、ノートPCとしては珍しいe-SATA/USB 3.0兼用端子を備えている。右側面は手前からライン、マイク、ヘッドフォン端子、SD/MMCカードリーダー、USB 3.0×2、ギガビットLAN端子、ケンジントンロックを搭載。SIMカードスロットも見えるが、残念ながらこちらは使用できない。左側面はMini Displayport×2、USB 3.0×1、HDMI×1という、映像出力用端子を中心とした構成となっている。
強力なGPUを利用してマルチディスプレイ環境も構築可能だ。液晶ディスプレイ上部にはステレオデジタルマイクと200万画素のWebカメラが用意されており、ビデオチャットを高画質・高音質で行うことができる。
○白色LEDが輝くテンキー付きキーボードを搭載
キーボードはアイソレーションタイプを採用。またサイズを活かしてテンキーも搭載されている。カーソルキー周辺はさすがに多少変則的な配列となっているものの、それ以外の文字配列は素直で押し間違いもなさそうだ。電源ボタンはテンキー右上に用意されている。タッチパッドは浅めの段差を設けてあるだけだが、パームレスト部はアルミ製であるため、温度や触り心地で簡単に判別できるだろう。ボタンはクリック感の少ないフカフカとした感触を備えたもので、その押下感はキーボードに近い。
また、液晶ディスプレイと本体をつなぐヒンジ部分にステレオスピーカーを内蔵しており、ゲームの音声をしっかりと再生することが可能だ。
キーボードの内側には白色LEDが埋め込まれており、暗い場所でもキーを視認可能だ。消費電力を抑えたいときは、明るさを下げたり発光自体をOFFにしたりもできるので、環境によって使い分けたい。ACアダプタ出力は19V/9.5A、180Wとさすがに高い。そのサイズも出力電力に応じてW167×H83×D35mmと大きめだ。外出先に持ち運ぶ場合は、このACアダプタの分も考慮に入れよう。
尖ったスペックと高い質感、そして使い勝手の良さによってNEXTGEAR-NOTE i5701PA1は所有感を満足させてくれる製品に仕上がっている。次ページでは高解像度のデスクトップ画面と、ベンチマークテストによる性能を確認しよう。
●最新ゲームタイトルもハイエンド・デスクトップ並みに動かせる実力
○4K(3840×2160)液晶が実現するデスクトップ領域
「NEXTGEAR-NOTE i5701PA1」が備える3840×2160という表示領域は、15.6型というサイズにおいては100%ネイティブ表示で使用することは難しいだろう。なぜなら、とてつもなく各インタフェースや文字などが小さくなってしまうからだ。そのため本機では、表示が250%(超特大)に初期設定されている。これは高い解像度のまま精細感を得るために使用している状態なので、文字などはエッジが目立たずとても滑らかだ。もし表示領域を拡大する方向で高解像度を利用したいのであれば、[コントロールパネル]の[デスクトップのカスタマイズ]にある[ディスプレイ]項目の[テキストやその他の項目の大きさの変更]から、拡大率を変更するといいだろう。なお、すべての項目を一括して変更するだけでなく、タイトルバーやメニュー、Internet Explorerなど、それぞれを個別にサイズ変更することも可能。100%、150%、250%それぞれのデスクトップ画面をキャプチャしたので参考にしてほしい。
○「NEXTGEAR-NOTE i5701PA1」の性能をベンチマークでチェック!
それでは、ベンチマークテストで本機の性能を確認していこう。まずは全体的な性能からだ。Windowsシステム評価ツール「WinSAT」でのWindowsエクスペリエンス インデックス スコア測定の結果はご覧の通りで、文句の付けどころがない。特にプライマリディスクの「8.4」は、現在最高峰のスコアだろう。グラフィックスの2項目はCPU内蔵グラフィックスを利用しているため伸び悩んでいるものの、GeForce GTX 970Mの性能はこのあとのゲームベンチで明らかになるはずだ。ストレージ用ベンチマークソフト「CrystalDiskMark」でのSSDとHDDの測定結果もストレージごとの違いが色濃く出ている。PCI-Express接続されたSSDの速度は圧巻としかいいようがない。メインドライブの転送速度の違いは、体感速度に大きな影響を与える。HDDのみを搭載したブロンズモデルを検討している方は、この数値をよく確認しておいてほしい。
さらに「PCMark8」にて総合的なパフォーマンスを測ってみよう。こちらの結果もまったく不満を感じないもので、非常に良好だ。こちらでもCasual GamingはCPU内蔵グラフィックスによって計測されているため振るわないが、そのほかの項目はいずれも速い。ホーム&オフィス用途での使用では、高い処理能力と解像度を活かした、さまざまな使い方が期待できそうだ。○GeForce GTX 970Mの3Dグラフィックス処理能力を確認
次に、NVIDIA GeForce GTX 970Mが備える3Dグラフィックス処理能力を、解像度を変えつつチェックしてみよう。まずはFuturemarkの3Dグラフィックス向け定番ベンチマーク「3DMark」。こちらには2014年10月13日に4K解像度に対応した新たなプリセット「Fire Strike Ultra」が追加されたので、そちらも試していくことにする。結果は大変優秀だ。「7434」というスコアは、2世代前のデスクトップ向けハイエンドGPU・GeForce GTX 680をも超えるスコアとなっており、まさに世代が変わったという印象を受ける。Ultraの結果はさすがに厳しいものの、GeForce GTX 970Mの備える処理能力に疑いの余地はない。
続いてゲームのベンチマークテストを試していこう。まずは指輪物語を題材にした大作アクションRPG「ミドルアース:シャドウ・オブ・モルドール」のベンチマークだ。最新の3Dゲームだけにその負荷は高いが、ある程度の設定とフルHD(1920×1080)までの解像度ならば、余裕を持って動かすことが可能だった。デスクトップPCでも高設定では動かすのが大変なタイトルだけに、この結果はすばらしい。それ以上の高解像度ではやはり要求水準が高く、現状は快適とはいいがたい。
それでは、髪の毛の描画にこだわったアクションタイトル「トゥームレイダー」のベンチマークテストではどうだろうか。こちらも傾向としては同じで、フルHDまでなら設定を上げてもしっかりと遊ぶことが可能。しかし、やはり4K解像度では処理能力が追いつかないようだ。
最後に、拡張パック「蒼天のイシュガルド」が発表され、話題再燃中の国産MMORPGタイトル「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマーク、キャラクター編を試そう。こちらのベンチマークでは、4K解像度でもなんとか遊べそうなスコアが確認できた。今となっては中程度の負荷のタイトルではあるものの、ノートPCでここまで動作させることができるのは驚きの一言だ。
なおゲーム全般にいえることではあるが、インタフェースサイズを変更できないゲームで解像度を4Kに設定すると、各インタフェースが小さくなりすぎ、ゲームにならない場合が多い。ゲーム側の対応もまだまだ4Kに及んでいないのが現状なのだ。今回は3K、4Kという高解像度テストも行ったが、この解像度に対応できないのは今のところ当たり前。また、そもそも本機のディスプレイサイズは15.6型なので、3DゲームにおいてフルHD以上の違いを視認するのは難しい。フルHDまでの解像度に対応できれば十分と考えておくといいだろう。
ちなみに、ゲーム中心の利用であれば、本機と同等のスペックでフルHDノングレア液晶を装備する「NEXTGEAR-NOTE i5700」シリーズも用意されている。こちらは13万円台(税別)~とよりリーズナブルに購入可能だ。
○ハードウェアをコントロールできるツールをプリインストール
OSにはWindows 8.1 Update 1 64ビット版が採用されており、ハードウェアをコントロールするためのツールがいくつかプリインストールされている。1つはファンの速度や液晶の明るさなどをコントロールできる「Control Center」だ。Windowsキーの無効化なども行えるため、ゲームを遊ぶ方はチェックしておきたい。また「Sound Blaster X-Fi MB3」を利用したリッチなサウンドエフェクトも、ゲームの楽しさを引き上げてくれるだろう。さらにキーボードにアプリケーションの起動を割り当てたり、マクロを設定したりできる「FLEXIKEY」や、タッチパッドの設定をコントロールできる「Synaptics TouchPad」を搭載。自分好みの操作環境を構築することが可能だ。
○高精細デスクトップを利用できるハイスペック・ゲーミングノート
QFHD(3840×2160)液晶ディスプレイを搭載しているという点だけでも特筆に値するが、さらにGPUにGeForce GTX 970Mを搭載することで、2014年最高クラスの3D処理能力を備えた「NEXTGEAR-NOTE i5701」シリーズ。そのプラチナモデルである「NEXTGEAR-NOTE i5701PA1」は、さらに大容量512GBのPCI-Express接続SSDも備えており、全方位でスキがない。この性能は、あらゆる処理において有効に働くことだろう。ノートPCでこの冬の注目タイトルを遊びたい人はもちろんのこと、4K解像度を活かした画像・映像処理を行う人にとっても、注目の一台となるはずだ。本年度の注目パーツの集大成となる本機で、2014年度を締めくくってみてはいかがだろうか。※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。
○標準スペック
上記スペックは、あくまで構成の一例だ。BTOを駆使して、ぜひ自分好みの一台を作ってみてほしい。
価格・構成については、2014/11/25(記事作成日)現在の情報です。最新情報についてはマウスコンピューターのサイトにてご確認ください。