「東アジアの市場はFileMakerにとって重要だと認識しています」 - ファイルメーカー社長ビル・エプリング氏
2014年11月26日~28日、東京のJPタワーホール&カンファレンスにおいて「FileMakerカンファレンス 2014」が開催された。
この会期中、ファイルメーカー社社長のビル・エプリング氏、米国FileMaker, Inc. マーケティング&サービス担当副社長のライアン・ローゼンバーグ氏、米国FileMaker, Inc. エンジニアリング担当副社長のフランク・ルー氏に話を聞いた。
○この1年の好調の背景は?
--- ローゼンバーグ副社長は、初日のオープニングセッションに登壇されましたね。
ローゼンバーグこれだけ大人数の日本の聴衆の前で話をするのは初めてでした。熱心に聞いていただけましたし、拍手などの盛り上がりもあって、よかったですね。
エプリング彼はマーケティングとサービスの担当で、製品の方向性を決める立場なのです。その立場の彼が日本のお客様と直接会い、ニーズなどの話をお聞きする機会を持てたことは、とても有意義です。
--- オープニングセッションのエプリング社長のプレゼンテーションでは、今回のカンファレンスは45%が初参加の方々というお話がありました。
エプリングこれは私どもにとって、たいへんうれしいことです。FileMakerは知っていてもまだあまり深くかかわっていない方が相当数、来場してくださったと考えられるからです。そうした方々に、これから継続して弊社とお付き合いいただきたいと考えています。
--- 実際の購入においても、新規ユーザは増えているのですか?
エプリング増えていますね。この1年で、日本はもちろんのこと、世界的に見ても記録的な増加が見られました。
--- 日本での好調の理由は何でしょうか。
エプリングここ5~6年の、私どもの戦略が成功していると思います。ブランドの認知度を上げ、FBA(FileMaker Business Alliance)やお客様のコミュニティの形成に努めてきました。
また、トレーニングにも力を入れてきました。
ローゼンバーグiPadが2010年に登場したということもありますね。
エプリングそうですね。世界的な流れとして、弊社がデータベースのリーダー、iOSデバイス活用のリーダー、ビジネスのためのプラットフォームのリーダとして認知されてきています。それから、年間ライセンスの導入も大きな理由ですね。
--- ユーザにとっての年間ライセンスのメリットを、改めて教えてください。
エプリング初期投資が少なくて済み、しかも予算が立てやすいこと。ライセンスの管理がしやすいこと。
そして常に最新のテクノロジーを使えることです。
--- 貴社にとっての、年間ライセンスのメリットは?
エプリングFileMakerは、使えば必ず気に入ってもらえると自信を持っています。ですから年間ライセンスの更新につながります。しかもパッケージで購入したお客様がアップデートするのと比べて、確実に最新のテクノロジーを使っていただけます。当然、弊社の財務的なメリットもあります。継続して更新していただけますし、予測も立てやすいからです。
--- ここ1年で、年間ライセンスとパッケージ購入の販売数の比率はどれぐらいでしょうか?
エプリング年間ライセンスが7割、パッケージ購入が3割ですね。特に新規のお客様の多くが、年間ライセンスを選んでいます。
--- ここ1年の好調の理由には、バージョン13の新機能の魅力もあるのではないでしょうか。好評を博している機能はどのようなものですか?
ローゼンバーグWebDirectですね。ユーザの皆さんが、この新しいテクノロジーを積極的に試しています。
エプリングデザイン関連の機能を強化して、美しいソリューションを簡単に作れるようになっていることも、好評です。
●FileMakerがブレイクする可能性を秘めた東アジア市場
○日本市場と海外市場の関わりは?
--- この1年での、ファイルメーカー社主催のトレーニングの成果をお聞かせください。
エプリング全国各地で数多くのセミナーやハンズオンを開催しています。入門レベルのものも、中上級レベルのものも、たくさんの方が参加してくださっています。トレーニングに注力する方針が日本でうまくいっているので、今年の4月からはヨーロッパでも同じ方法を導入しました。
また、FBA各社の協力のもとで『FileMaker Drill Book』という書籍を制作し、販売を開始しました。これも好評です。この本は、日本オリジナルです。
--- 先ほど、このカンファレンスのような機会があると日本の顧客と直接会って話せる、とうかがいました。顧客のニーズは、国によって違いますか?
ローゼンバーグ共通していることが多いですかね……。世界中で、同じような要望が上がってきます。
ルー 日本独自の機能は、もちろんありますけどね。和暦とかふりがなとか。
ローゼンバーグああ、そうそう、ありました! iOSデバイスのカメラでのバーコードのスキャンです。これは日本の、しかも医療関係の方からリクエストが多かったんです。そこで、この機能を実装しました。
ルー今回のカンファレンスで、実装されたことのお礼をわざわざ伝えにきてくださった方がいたんですよ。
エプリングお客様からの要望のほとんどは、世界共通です。ただ、日本のファイルメーカー社のスタッフは、お客様からの声を聞くのがとても上手なんです。だからそうした声を、私からライアン(ローゼンバーグ氏)やフランク(ルー氏)のチームに伝えています。日本のお客様からの要望が、世界中のユーザの役に立つのです。
--- 海外との関わりということでは、今回はFileMakerカンファレンスでは初めて、ホールでの講演に中国語、韓国語の同時通訳がありました。中国、韓国からの参加者がいるということですね?
エプリング中国から16人、韓国から6人の方が参加しています。中国からは、お医者さんやFBAの方が来日していますね。また、韓国企業のBIN KOREA社がブースを出展しています。今回はまだ人数は少ないですが、今後、こうした交流に力を入れていきたいと考えています。
--- エプリング社長は、FileMaker社のNorth Asiaエリア(日本、韓国、中国)のセールスとマーケティングも指揮しているとのことですね。
エプリング日本はたいへん成功している市場ですが、韓国、中国はこれから成長していく市場です。セールス、マーケティング、サポートと、いずれも成長の余地は大きいと見ています。中国ではiPadがとてもたくさん売れていますが、今のところは個人ユーザが多いんです。これからは、ビジネスでの活用が増えていくでしょう。日本で成功したモデル、たとえばFBAの皆様を重要なパートナーとして活動していくとか、医療関連のマーケットに力を入れるなどの取り組みをしていきます。
--- 日本のFileMakerユーザ、FileMaker開発者にとっても、中国や韓国には可能性があるということでしょうか?
エプリング中国や韓国に生産や営業の拠点などを持つ日本企業はたくさんありますし、日本の開発者が中国や韓国へと市場を広げていくチャンスもあると思います。実際に、日本のFBAで、香港に拠点を開設した企業もあります。FBAやユーザの皆さんとともに、グローバルな展開をしていきたいと考えています。