「CrossOver Mac 14」を試す - UIも一新、Mac OS 10.10(Yosemite)にも対応
ネットジャパンは、Mac OS X上でWindowsアプリをネイティブに動作させることができる「CrossOver Mac 14」の販売を開始した。バージョン番号が示す通り、非常に歴史のあるソフトウェアである。
○互換レイヤーでWindowsアプリを動かす
その原理を簡単に説明しておこう。本来、WindowsアプリはMac OS Xでは動作しない。しかし、OSとの間に互換レイヤーという仕組みを挟む。これにより、プログラムをエミュレーション実行することが可能になる。互換レイヤーのメリットは、オーバーヘッドがないため、快適に動作させることができる。さらにCrossOver Macでは、Mac Driverという独自ドライバーが採用されている。
MacのグラフィックAPIを直接操作することで、ネイティブ並みの速度が達成される(バージョン12.5で実装されたものだ)。また、Windows OSが不要な点もありがたい。
一方、デメリットも存在する。すべてのWindowsアプリが動作しない点である。ネットジャパンでは、動作の確認がとれたアプリケーションの一覧などを公開している。
今回のバージョンアップでは、サポートアプリケーションの追加はなかったが、次期バージョンでは、その拡充が予定されているとのことである。
○Windowsアプリのインストール
まずはインストールであるが、アプリケーション・フォルダ以外からCrossOver Mac 14を起動すると、図2のように「アプリケーション」フォルダーに移動しますか?と尋ねられる。
そのまま選択しよう。
あとは、好みに応じてドックなどに配置すればよい。こうして、CrossOver Mac 14を起動したのが、図3である。
[Windowsアプリケーションをインストール]とあるが、光学ドライブにインストールメディアを挿入すると、自動的にCrossOver Macオートランが起動し、インストーラーなどを探し出す。
ここで[インストール]を選択すればよい。インストーラーが起動するが、まずアップデートを行っておこう。
あとは、ボトルを選択する。
ボトルは、上述した互換レイヤーの種類と考えればよい。サポートアプリケーションであれば、基本的には最適なボトルが選択される。
あえて違うボトルを選び、そこで動作を確認するといったこともできるだろう。逆に、ボトルを使い分けることで、複数のバージョンをインストールすることもできる。そして、CrossOver Mac 14は、英語版のアプリケーションも動作させることができる。そこで、今回は英語版のOffice 2007をインストールしてみた。インストーラーで[インストール]を選ぶと、アプリケーションのインストールが開始される。
ここまでは、CrossOver Macの作業であるが、その後は、Windowsアプリのインストールが開始となる。
インストールが完了すると、図9のようになる。
●Windowsアプリの実行
○Windowsアプリの実行
Office 2007のインストール後のメイン画面は、図10のようになる。
旧バージョンと比較して、大きく変更された。一例として、Excelを起動してみた(図11)。
このように英語版でも問題なく動作する。ネットジャパンからリリースしているCrossOver Macは日本語と英語のアプリケーションが動作可能である。しかし、これでは少し使いにくい。そこで、日本語用のランゲージパックをインストールしてみた。インストーラーは、サポートアプリにないと警告が出るが、無視して進める。注意すべきは、ボトルの選択である。
先ほど、Office 2007のインストールした際に作成したボトル(Microsoft Office 2007)を選択することだ。
サポートアプリケーションではないためか、正しく終了することはできなかった。しかし、ランゲージパックはインストールされた。図13はWordを起動したところである。
きとんと日本語表示が行われている。
●コントロールパネルも
○コントロールパネルも
同じように、Windowsアプリをインストールしていく。場合によっては、異なるボトルを作成することも多いだろう。CrossOver Mac 14では、図10のメイン画面で、左上のボトルのボタンをクリックすると、ボトルの一覧が表示される(図14)。
メイン画面でボトルの管理が行えるようになったことで、使い勝手が向上している。Windowsアプリの選択もより簡単になった感じである。そして、その下に「コントロールパネル」というグループがある。前バージョンまでは別ウィンドウの[ボトルの管理]に入っていたが、メイン画面に機能が移ったので[コントロールパネル]もメイン画面で操作できるようになった。
まず覚えておきたいのが、Windowsの再起動処理である。これはWindowsアプリによっては、インストールの完了で再起動が必要なものがある。そういうときに使えばよい。また、Wine構成では、オリジナルのボトルなども作成できる。
腕に自信があれば、チャレンジしてもおもしろいだろう。タスクマネージャは、まさにWindowsのままである。
ネットジャパンでは、30日間の体験版も提供している。興味を持たれたのであれば、ぜひ試してみていただきたい。