楽天スマートペイ、安全性の増したICカードリーダーを提供開始 - 消費者にメリットはあるの?
カード決済は非常に便利だが、その反面、取り扱いには細心の注意を払わなければならない。「偽造カードによる不正利用」といったリスクが存在するからだ。カード運営会社でもその対策に追われている。例えば「楽天カード」を運営する楽天では、高セキュリティなICカードを新たに導入するという。「楽天スマートペイ IC・磁気対応カードリーダー」は、15日にVisaとの共同記者説明会で発表された製品。楽天では、中小店舗にも消費者にも導入のメリットがあると説明している。本稿で、その内容を紹介していこう。
○楽天スマートペイとは?
楽天スマートペイとは、楽天が2012年12月から提供しているカード決済ソリューション。
カード決済の仕組みを簡単に導入できるシステムで、これまで中小企業や個人事業主が経営する飲食店舗などを中心に展開してきた。楽天ではカード決済に対応する端末として磁気ストライプ読み取り機能を搭載したカードリーダーを提供してきたが、今後は新製品の、楽天スマートペイ IC・磁気対応カードリーダーを提供していく。価格は税込み7,980円で、条件を満たした加盟店舗には無償で提供する方針だ。同製品により、よりセキュアな環境でカード決済を利用できるという。
また、楽天スマートペイ IC・磁気対応カードリーダーは、ICカードとPIN入力による本人確認でスマホ決済できることが特長となっている。例えば飲食店での会計時には、次のような手順で使用する。まず、店舗経営者は手持ちのスマートフォンにインストールしたアプリを起動させ、来店者の合計金額を入力する。次に、IC・磁気対応カードリーダーを来店者に渡す。
来店者はカードリーダーでICカードの情報を読み取り、テンキーで暗証番号を入力。すると同カードリーダーと店舗経営者の所持するスマホがBluetoothで連携する。最後に、スマートフォンがモバイル回線(もしくはWi-Fi)でインターネットに接続すれば、決済が完了する。
●消費者が安心してカードを使えるセキュリティ
○セキュリティの向上が消費者のメリットに
では、新製品によってもたらされる消費者のメリットを考えてみよう。楽天スマートペイ IC・磁気対応カードリーダーは、国際標準のセキュリティ認定を受けているほか、決済システム自体も決済カード情報保護の国際基準「PCI DSS」の準拠認定を取得している。Visaでは偽造詐欺によるカード不正利用の削減を目標にICカード取引の国際標準規格(EMV)を推進しているが、こうした取り組みが楽天カードにも活かされているという。Visaの、いわゆる「お墨付き」を得たシステムにより、消費者も店舗経営者も安心・安全にカード決済を利用できるわけだ。
○楽天グループのあらゆる加盟店での導入に期待
そのほかの消費者に対するメリットとして、カード決済システムの導入のしやすさも挙げられる。
楽天グループでは、楽天ダイニングによる飲食店、RaCouponによる飲食・サービス、楽天デリバリーによる宅配予約、楽天トラベルによるホテル・旅館など、様々な商材を扱っている。これらの店舗が、こぞって楽天スマートペイを導入すれば、消費者にとっては利便性の向上が期待できるという理屈だ。楽天では「潜在的に、数百万の中小企業・個人が新たにカード決済に対応する余地がある」と説明している。
楽天の穂坂氏は「2020年の東京オリンピックに向けて、訪日外国人が増えることが予想される。コンパクトでシンプルな、導入コストも低いこの新製品が色々な店舗で導入されればと期待している。カード決済できる加盟店の規模などで、すでに業界のトップを走っているが、これからも普及に努めていきたい。それがカード業界全体を盛り上げることにもつながる」と言葉に力を込めていた。
(記事提供: AndroWire編集部)