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IBMのサーバ事業売却、HP分社化はチャンス - Dellのエンタープライズ事業幹部

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IBMのサーバ事業売却、HP分社化はチャンス - Dellのエンタープライズ事業幹部
●好調なサーバ、ストレージ、ネットワークのビジネス
PCメーカーとしてスタートしたDellは現在、エンタープライズベンダーに転身する戦略を進めている。最大の転機となったのは1年前の株式非公開化だろう。それから1年、創業者Michael Dell氏の指揮の下でDellはストレージなどの主要市場でシェアを伸ばした。今回、アジア太平洋・日本地区でエンタープライズソリューション事業部を統括するバイスプレジデントのPeter Marrs氏にエンタープライズ市場とDellの戦略について話を聞いた。

--この1年、Dellのアジア太平洋・日本地区のエンタープライズ事業はどのように推移したのか。--

Marrs氏: 非公開企業なので数字は公開できないが、2桁成長を遂げることができた。営業への投資、チャネルへの投資、そして戦略へのフォーカスが実を結んだ一年だったと言える。

サーバはシェアトップを維持し、ストレージも内部と外部のテラバイト総出荷ベースで首位だ。
ストレージ全体では第3四半期に2桁成長を実現しており、今四半期も2桁成長を維持できると見込んでいる。なかでも、iSCSIは連続で1位を達成しており、IDCの調査では第3四半期に前四半期比で成長したのは当社のみだ。ネットワーク分野も2桁で成長しており、シェアは7位から5位に上げた。

ストレージ分野は変革期にあり、ソフトウェア定義の方向に進んでいる。今後、ストレージはサーバに組み込まれていくだろう。そうなると、当社はサーバ事業で成長を続けているので、サーバ1台当たりの売上増を図ることができる。注目すべき製品としては、「Dell Storage SC4020」を紹介したい。これはミッドレンジ向けのファイバーチャネルストレージ製品で、ストレージ分野の成長を加速する製品となった。
当初はアジア市場のニーズに合わせて開発した製品だったが、現在はグローバルで展開している。

われわれには素晴らしい製品と製品ロードマップ、戦略があり、優秀なチームがある。今後も市場の見通しはよいが、唯一の懸念材料を挙げるなら為替レートの変動だ。

--Hewlett-Packard(HP)の分社化、IBMによるx86サーバ事業部の売却などがあった2014年はエンタープライズ分野にとって変動の一年だったが、どう見ているか?--
Marrs氏: われわれにとってチャンスが増えた1年だったと思っている。

IBMはずいぶん前にPC事業から撤退し、今回x86サーバ事業を切り離した。この戦略がIBMにとって正しいかどうかはわからないが、Dellからするとチャンスとなる。IBMは一流ブランドだが、チャネルパートナーから見るとUNIXベースのサーバ、ストレージなどしか持たず、インフラストラクチャを構成できるフルの製品ラインがそろっていない。AIX環境は日本では金融分野を中心に利用されており、シェアは安定しているが、世界的に見ると縮小傾向にある。
現在はAIXを利用している業務も将来は標準ベースに移行するだろう。これはDellにとって商機となる。

HPは分社化によりパートナーは2社とやりとりをしなければならなくなる。これに対し、われわれはエンド・ツー・エンドでポートフォリオを持っているため、ワンストップショップとしてお付き合いいただける。

11月に開催したイベント「Dell World 2014」では、1億2500万ドルを投じてチャネルパートナーを支援するプログラムを展開することを発表した。われわれはITのモダナイズ(モダン化)というトレンドを支援し、さらに加速していく。われわれはレガシーなシステムを持っていないので、これが可能だ。

●加速するコンバージド・インフラへの製品投下
--Dell Worldでは最新のコンバージド・インフラ「Dell PowerEdge FX2」を発表し、日本でもローンチしたが、コンバージドインフラのニーズはどのぐらいあるのか?--

Marrs氏: 実際のところ、コンバージド・インフラを検討している顧客は多い。
「PowerEdge FX2」はデータセンターはもちろん、リモートサイトにも適した製品だ。

コンバージド・インフラ市場が加速している要因としては、サーバ、ストレージ、ネットワークが統合されており、ケーブル配線から設定、実装などが大幅に簡素化される点に企業が魅力を感じていることにあるようだ。必要な機器を個別に用意して設定しなくても、きちんと動く。これは現場で作業している担当者にとって、劇的な業務の簡素化となる。

顧客、パートナーはリファンレンス・アーキテクチャを求めており、コンバージド・インフラやアプライアンスはこのニーズにフィットするものだ。われわれはコンバージド・インフラに対し、さまざまな製品を投入していく。例えば、VMwareの「EVO:Rail」については7種類のソフトウェアライセンスを統合し、チューニングされた形で提供する。インフラはVMwareのvCenterから管理でき、日本では2015年前半に提供を予定している。


このほかにも、Microsoftの「Hyper-V」アプライアンスもローンチする計画で、ソフトウェア定義型アプローチをとるNutanixともコンバージド・インフラで提携している。Nexenta、Clouderaなどとも同じような協業を行っている。

--Dell Worldでは「Dell Cloud Marketplace」も発表した。日本での展開予定は?--

Marrs氏: Dell Cloud Marketplaceは顧客とクラウド開発者に向けたサービスで、簡単にパブリッククラウドを利用できるツールを提供する。まだベータ版であり、米国向けのサービスとしてAmazon Web Services、Google Cloud Platform、Joyent、Dockerなど、米国企業を意識した事業者と提携している。このまま日本で提供することは考えにくく、内容や提供時期などはこれから決定していく。

--なぜ、Dellがクラウドサービスのマーケットプレイスを提供するのか?--

Marrs氏: それは、企業にとってパブリッククラウドが現実のものになっているという現状を受けてのことだ。日本や中国ではまだそれほどでもないが、米国では企業のパブリッククラウドの利用が増えている。
Dellのソリューションはプライベートとパブリックの両方のクラウドで利用されている。

われわれのサービスにおいて差別化となるのは「Boomi」だ。これは2010年に買収したクラウド統合・管理技術で、パブリッククラウドとプライベートクラウドの両方を管理できる。顧客はどの程度パブリッククラウドを利用すべきかを明確に決めていないところも多く、柔軟に管理できるツールを必要としている。

--数年前からエンタープライズベンダーを目指して取り組んでいるが、"PCメーカー"から"エンタープライズベンダー"としての認識はどのぐらい広がっていると考えているか?2015年は何を最優先事項とするのか?--
Marrs氏: エンタープライズベンダーとしては、まだやることは多い。だが、"当社が変わった"という認識は着実に広がっていると実感している。

先日、約500社を集めたイベントでは、Microsoft、Intel、Cloudera、VMwareなどのパートナーがわれわれのソリューションのデモを行い、盛況に終わった。

日本市場は保守的な部分もあるが、Dellは日本市場で成功したい。
そのためにはチャネルの拡大が不可欠であり、この分野に継続して投資を行い、力を注ぐ。顧客やパートナーとの継続的な対話、それにわれわれ自身が戦略を実行することが重要であり、製品や機能として届けていく。

2015年はサーバのシェアをさらに拡大し、iSCSIにおけるトップの地位も維持する。ソフトウェア定義の分野はDellの強みとも重なるので、2015年も強化していく。ソフトウェア分野ではクラウド、インフラ管理、ビックデータ分析などがキーワードとなる。ビックデータ分析については、これらを通じて、日本の顧客から信頼できるアドバイザー、ソリューションプロバイダーとして見ていただけるようになると信じている。

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