年金はどのような資産配分で運用されているか
○GPIF(Government Pension Investment Fund)
GPIFとは、日本の厚生年金保険事業および国民年金事業を安定的に運営することを目的として、年金積立の管理・運用業務を担う機関です。正式名称は、年金積立金管理運用独立行政法人といいます。
GPIFは、厚生年金と国民年金を運用しており、運用資産規模は、2014年9月末時点で約130兆円と、世界最大級の規模を誇ります。そのため、金融市場への資金流入が、投資した資産の価格に影響を与える可能性があるなどの理由から、世界がGPIFの運用に注目しています。
運用において、2014年9月末時点では、国内債券に約50%を投資する国内債券中心の運用資産配分です。2014年7月-9月では、2.87%の運用成果を出しています。
GPIFは、アベノミクスの流れを受けて、今後インフレ率が上昇する場合は、債券を中心とした運用資産の価値が低下する可能性が高いことなどから、2014年10月に、国内債券中心の運用資産配分を見直しました。
新しい運用資産配分(基本ポートフォリオ)は、国内債券を35%へと縮小し、国内外の株式の比率を合わせて50%へ拡大しました。このように、インフレ環境下において相対的にリターンが見込まれる株式などの資産へシフトする動きがみられるなど、運用資産配分の見直しをしています。
ステップアップ
一般的に会社員の年金は、「国民年金」、「厚生年金」、「企業年金」等の3階建てとなっています。職業により、年金の仕組みが違う場合があります。
○カルパース
カルパースは、1932年に設立された、米国カリフォルニア州の公職員のための公的年金基金です。
運用資産は約30兆円(2014年9月末)と、全米では最大の運用規模です。GPIF同様、運用額が大きいため、運用資金の投資先が注目されています。
2014年6月末までの1年間の運用成果は、目標値(7.5%)を上回る18.4%となりました。
カルパースでは、株式、債券、不動産などに分散投資をしており、なかでも株式が約60%(未公開株式を含む2014年9月末時点)と運用資産の半分以上を占めています。カルパースは、投資している企業に対する議決権の行使にも積極的であり、「もの言う株主」としても知られています。
カルパースは、2007年に行なった運用資産配分の見直しで、商品やインフラなどの、インフレ率が上昇した場合に収益が期待できる資産の組入れを行なっています。また、今年の2月にはインフラ投資の目標を引き上げるなど、今後予想されるインフレ率の上昇に備える動きが見られます。
一方で、最近では、運用リスクや運用コストを低減することを目的とした運用資産の見直しも行なっています。
今後、どのような運用資産配分へ転換するのか、注目されます。
ステップアップ
カルパースでは、運用資産の約9%を、カリフォルニアの企業などに投資しており、企業の活動を応援し、雇用の創出につなげるなど、カリフォルニアの経済への貢献を図っていることも特徴です。
(2014年12月17日 日興アセットマネジメント作成)
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