売れるホストは自己PRの達人!? - 人気ホストによる東大生限定就活セミナーでコミュニケーションを学ぶ
○ホストに求められるのは「自己PR力」
まずはシーフ代表取締役 細矢義明さんが、ホスト業界の概要を説明。細矢さんは"元カリスマホスト"で、現在は歌舞伎町を中心にホストクラブや飲食店を10店舗以上経営している実業家だ。
容姿、お酒の強さ、営業力などが求められるホストクラブでの仕事。その中でもっとも重要なのは「コミュニケーション能力」だと細矢さんは語る。
細矢さん「もちろん容姿は重要ですが、ホストには『自己PR力』、自分自身を売り込む力が求められます。
お客様にゼロから自分のことを知ってもらい、気に入ってもらう。それができないと、一切の指名がいただけないですから。就職活動の面接でも、短時間で自分を売り込まなくてはなりませんよね。ホストも就活生も同じものが求められているのです」
細矢さんによると、売れているホストは自己PRが格段に上手なのだそう。自分のキャラクターを熟知して相手にアピールできるかが、売上に直結しているのだ。
細矢さん「また、『分析力』も同様です。相手が何も求めているかを分析できないと、自分の押し売りで終わってしまうからです。相手と話している上で、目線や仕草を観察します。
そして会話を誘導し、相手が求めているものに合わせて自分を柔軟に変化させることも大切なスキルです」
ホストにとって、客のファッションや仕草、話し方を観察して分析することは非常に重要な仕事の1つ。就職活動でも、企業が求めているものは何かを分析し、自分がいかにマッチするかをアピールすることが鍵となる。細矢さんは東大生に対し、ホストの武器であるコミュニケーション力を学び、面接でも実力を発揮してほしいと述べた。
○自分を差別化して売り込むには?
続いて講義を行ったシーフ取締役 石川淳さんは、細矢さんが立ち上げたホストクラブの元No.1ホスト。現在はホストクラブなど8店舗の経営に携わっているという。石川さんは自身の経験から、コミュニケーションには「聞く力」と「伝える力」が不可欠だと語りかけた。
石川さん「企業が就活生に求める『コミュニケーション能力』は、『伝達力』と『理解力』の2つから成り立っています。ホストクラブでは、これらの能力が不可欠ですし、売れているホストはそれらを兼ね備えています」
石川さんが経営に携わるホストクラブは、初来店の場合120分3,000円で飲み放題という値段設定となっている。
客1人に対してホスト12人が10分交代で席につき、ホストは10分の持ち時間で客を楽しませるという仕組みだ。客は最後にホストを1名だけ選び、退店時にお見送りをしてもらう。この「送り指名」に選ばれることが非常に重要なのだそう。
石川さん「お客様に選んでいただくためには、1人10分の持ち時間で11人のライバルと自分を差別化し、印象付けなくてはなりません。決められた持ち時間で、相手に自分をアピールするのは集団面接と同じです。また、相手が求めていることを分析する能力も非常に重要です」
相手を理解し、自分を差別化するためには「傾聴力」も必要だという石川さん。相手が話したくなるような「相づち」「表情」「聞く姿勢」をすることで、相手の情報を引き出すことができるのだそう。相手の求めていることを察した上で自分をPRする。
それにより、「この人は他の学生とは違う」と思ってもらえるのだそう。
○グループワークでは「相手の分析」に挑戦
講座では、学生が1人ずつ自己紹介を行い、聞き手が「優しそう」「意思が強い」など、発言者の良い点を褒めるというグループワークを実施。グループワークの講師は冬月グループプロデューサー くまの心さんと鳴海一也さんの2名。
現役ホストの両名は学生にアドバイスをしながら、初対面の人とのコミュニケーションのコツを披露した。また、企業の性格をリサーチして、自分の髪型や服装をブランディングする重要性などが紹介された。
初対面の印象は、その後の人間関係にも大きく影響する。ましてや採用面接となると、その数十分間でいかに自分を伝え、相手に売り込めるかが分かれ道になるのである。10分で人の心をつかむホストの自己PR術、面接に苦手意識がある人は参考にしてみてはいかがだろうか。