99.9%除菌した水で部屋を均一にうるおす - ダイソン初の加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」を使ってみた
掃除機、扇風機、ヒーターと、独自の技術と発想、デザイン性で常識を覆す製品を市場に届け続けているダイソン。そんなダイソンが、同社初となる加湿器「Dyson Hygienic Mist AM10」を発売した。見た目はセンセーショナルに市場デビューを飾った"羽根のない扇風機"と極めて類似している。しかし、似ているのはこのデザインに固執しているというわけではなく、ファン(扇風機)で培った技術を加湿にも最大限活かすためである。今回はそんな注目の新製品の試用レポートと使ってみた実感をまとめてみたい。
○どのタイプにも属さないダイソンの加湿器
メーカーが謳っている本製品の独自性は除菌機能だ。本体に水を注入することで湿度を上げる加湿器では、従来から衛生面に弱点があった。というのも、フィルターなどの内部や水自体にカビや細菌が発生しやすいのだ。
加湿器の中でも主流となっている"超音波式"や"気化式"と呼ばれる製品の場合、加湿時にカビや細菌をそのまま空気中に放出してしまうという懸念がある。
"ヒーター式"と呼ばれるタイプであれば、水を加熱して除菌できる。しかし、ヒーターを使うぶん、消費電力が高くランニングコストの面でデメリットがある。こうしたジレンマに対して、最近では"ハイブリッド式"と呼ばれる製品も登場している。ハイブリッド式は、いったん加熱した水を消費電力の少ない超音波や気化式の仕組みで拡散するというもの。今回のダイソンの新製品は、従来のどのタイプとも一線を画している。
タイプ的には微細なミストを超音波で振動させて拡散させる超音波型に属するが、衛生面での問題を「Ultraviolet Cleanse(ウルトラバイオレットクレンズ)」テクノロジーという独自の技術でクリアしている。本体内のすべての水にUV-Cライトを直接照射することで99.9%の除菌を行うという仕組み。
また、バクテリアの温床となりやすいスポンジやフィルターもすべて排除した。
スポンジやフィルターがないぶん、手入れも比較的簡単。分解できる部品の構造も単純で、カルキ対策として月1回の頻度で給水タンクを中心にクエン酸洗浄を行えばよい。残念ながら、除菌の効果を各家庭で調べることは難しいため、あくまでメーカーの謳い文句をそのまま信じるしかない。しかし、目に見える形で消費電力や手入れの面でメリットがあるのはありがたいポイントだ。
●ミストを遠くに届けるために
もう1つの特徴は、ミストを送り届ける能力。ここで「Air Multiplier(エアマルチプライヤー)」テクノロジーと呼ばれる、ダイソンがファンで長年培ってきた技術が用いられているのだ。"ループ"と呼ばれる上部の円形パーツからミストが飛び出る様子は肉眼でもはっきり確認できる。
本体と2mから2.5m離れた場所でもはっきりと風を感じるが、難点は温風ではなく冷たい空気が吹き出てくること。気温の低い冬場に使う家電製品としてはやや考えものであると筆者は思う。しかし、置き場所を変えるなど試行錯誤した結果、壁に向けても部屋を均一に加湿してくれることが確認できたので、人がいない方向に向けて使えば問題ない。
○実際に湿度を計測してみた
ちなみに本製品の適用畳数は8畳程度となっている(木造住宅、鉄筋コンクリート建て、部屋の向きなどで異なる)。鉄筋コンクリート建てで気密性の高いマンションである筆者宅の北側に位置する7畳程度の寝室で、晴れて空気が乾燥している室温22.7度・湿度33%の日中、「湿度60%・最大風量」に設定して加湿運転を行った。すると15分ほどで湿度40%まで上がり、30分後に50%、1時間後には58%まで上昇した。
一方、南向きで13畳ほどのLDKで、日中の室温23.3度・湿度28%という状態で同条件の加湿運転も行ってみた。適用畳数を超えているのと極度の乾燥状態にはさすがに太刀打ちできず、1時間経っても33%までしか上昇しなかった。
しかし、日没後の夕方に、室温20度・湿度33%の状態から加湿運転を行ったところ、1時間後には40%まで、最高で48%まで加湿できた。
○寝ている間も安心な機能
室温と湿度を感知するインテリジェントサーモスタット機能を搭載。設定された湿度を超えると自動で運転を停止する。加湿しすぎは結露の原因にもなるので、特に就寝中には助かる機能だ。筆者宅の寝室は夜間、45%前後の湿度が保たれているため、あっという間に加湿しすぎになってしまう。しかしサーモスタット機能により自動で運転を停止してくれるので、加湿のしすぎと無駄な電力消費を防いでくれるので大変ありがたかった。もちろん、スリープタイマー機能もあり、設定した時間で運転を停止することも可能だ。運転音については、最大57db、最少36dbとなっている(加湿モードの場合)。
これは扇風機の場合とほぼ同等で、最大風量だとかなりうるさい。現実的には10段階の風量設定のうち「4」あたりが許容範囲といったところ。適用畳数を満たしているならば、急いで加湿したい場合を除いてその程度で大丈夫だろう。最小風量であれば、ファンのモーター音よりもむしろポコポコと立てる水の音が聞こえるぐらい静かなので、就寝時も気にならない程度だ。
消費電力については、スペック表にある最小35W、最大55Wとワット計での実測値もほぼ相違がなかった。スイッチを入れて最初の3分間で行われる除菌運転の際は35W前後、風量設定が1~5まではおよそ32~35Wの範囲内に収まり、サーモスタット機能で運転を待機している際は9W前後だった。
●ズバリ"買い"なのか?
他のダイソン製品同様、本製品も洗練されたデザイン性やシンプルなインタフェースが魅力の一つとなっている。インジケーターはLEDで光る電源ボタンとその上のデジタル表示灯のみ。
設定湿度と風量を表す数字、アルファベット表示のほか、色の違いや点灯パターンで状態を区別をする仕様なのだが、洗練されすぎていて給水タンクが空になったサインに気付きにくい印象を受けた。個人的には給水タンクの状態を知らせるサインは今後改善されてほしいポイントだ。もちろん空になると運転は自動停止し、消費電力も1.5W程度に抑えられるので安心ではあるのだが。
給水タンク容量は3L。1日1回満タンに補水しておけば十分な容量だ。給水の仕組みは一般的な加湿器と変わらないが、注水する穴が小さいので水量をうまく調節してピンポイントで入れるテクニックが必要。反面、タンク自体は底が広く鉢状のものなので、変に縦長だったり、底が広すぎたりするようなタンクに比べると使い勝手もよく、安定する。シンクの大きさや水道栓の位置に左右されにくい形状だと感じた。
○あの"羽根のない扇風機"としても使える
ファンモードで扇風機としても使用可能であるというのも魅力の一つ。ダイソンのテーブルファンとの差額は20,000円ほどなので、「両方欲しい」という人にとってはお得度の高い製品だ。設置・収納面を考えてもメリットの高い製品といえる。ただし、リビング用としての需要を考えると、8畳というのは力不足を感じるので、より広い部屋に適合した製品の登場などラインナップの展開を待ちたいところだ。
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