KDDIのFirefox OS搭載スマホ「Fx0」を発表 - ギーク向けで採算は度外視
KDDIは23日、Firefox OSを搭載したスマートフォン「Fx0(エフエックスゼロ)」を発表した。どのような特長をもった、誰に向けて開発されたスマートフォンなのだろうか。同日都内で行われた記者発表会で、その全貌が明らかになった。本稿で紹介していこう。
○ビジネスのことを考えずに開発
記者発表会には、KDDI代表取締役の田中孝司社長が登壇して説明を行った。同氏は若いころ、プログラマーだったという。「かつてHTMLは正しいプログラマーが使ってはいけないと言われていた。でも、いまやHTMLはインタラクティブな言語となり、いろんなことができるようになった」と田中氏。
同氏がFirefox OSに出会ったのは、2011年12月のこと。HTML5とcss、JavaScriptで書かれたプログラマブルなウェブOSを前にして「スマホが変わっていくのでは」との確信を抱いたという。「世界中でWeb技術を知っている人の数は、800万人とも言われている。プログラミングが簡単に書ける、小さなハードウェアの上でも軽く動く、サーバーになることができる、そんな特徴を持ったFirefox OSなら、つくる楽しみを実現できる。そこには無限大の世界が拡がっている」と田中氏。そんな思いから、Fx0をKDDIで提供するという考えに至った。しかしその性質上、ターゲット層は”ギーク”と呼ばれる、マニア向けとなってしまう。そのため「採算など、ビジネスのことは全く考えずに開発しなければならなかった」と苦笑いした。
○プログラムを修正できる特長
発表会には、Mozilla社 CTOのAndreas Gal氏が招かれ挨拶した。Gal氏はFirefox OS搭載スマートフォンについて「HTML5とJavaScript、オープンテクノロジーをベースにしたスマホの新しい世界。すべて100%オープンテクノロジーで書かれているがゆえに、クリエイター、デベロッパーらは自分たちの意向に従って、プログラムを自由に修正することができる」とその特長を説明した。
グローバルでは29の国で、15の通信事業者から先行発売されていたFirefox OS搭載スマートフォン。「これまで14機種をローンチしてきたが、KDDIへの提供端末Fx0は、最先端の機能を実装したモデルとなる」と説明。日本市場での成功に期待を寄せた。
●Fx0の特徴
○外観にもこだわり
オープンなOS、ということでデザインも透明性にこだわった。Fx0は、かつてauから発売された「MEDIA SKIN」「X-RAY」などを手がけた、デザイナーの吉岡徳仁氏によるデザインとなっている。
3Dプリンタ用のデータも公開されるため、希望者は外観も自由に作れるとのことだ。
田中社長は「外観にこだわりすぎたため、モックアップ(模型)を作ることが困難になった」と明かした。このため店頭には、実機のみが並ぶという。auオンラインショップおよびau SHINJUKU、au NAGOYA、au OSAKA、au FUKUOKAでは12月25日から、全国のauショップおよびau取扱店でも2015年1月6日以降、順次発売していく。
端末の主な特長としては、様々なデバイスを連動させるプログラミングが可能なWebサーバー機能や、「Fx0」同士をタッチするだけで簡単に動画や写真の共有が可能なWeb-cast機能などを搭載。電子工作の愛好者には「Open Web Board」(Firefox OS搭載ボード)が用意されている。またKDDIが開発しているWebベースのアプリケーション開発ツール「Gluin」も利用できる。
田中氏は「小さい頃、ラジオや模型をつくったような感覚でスマホを作ることができる。
プログラマーの皆さんには、是非Fx0をいじり倒して頂いて、できた成果をauのサイトにアップして欲しい」とアピールした。
このあと会場では、Fx0を利用したハッカソンの最終成果発表会が開催。Fx0をリモコンにしてぬいぐるみを動かしたり、Fx0を使ってロボット掃除機の動きを制御したり、といった参加者のプログラムに、会場から温かい拍手が送られていた。