CES 2015 - 東芝が意欲的なPCを多く出展、裸眼3Dの15.6型4KノートPCも
東芝は、2015 International CESの同社ブースにおいて、多くのPC製品やメガネ型ウェアラブル端末機器「東芝グラス」のプロトタイプなどの展示を行った。テレビの展示を見送る一方、「Human Smart Community」をテーマに、安全・安心で、快適な社会の実現に向けた製品、技術などをアピールしていたのが特徴だ。全体的に、コンシューマ色よりも、ビジネス色が強く打ち出されていたともいえるだろう。
その姿勢は、PCの展示にも色濃く反映されている。ノートPCを2台、タブレットを3台に絞り込んでおり、それらの製品に共通しているのは、いずれもビジネス向けデバイスであるという点だ。
○初めて実機に触れられる形で展示した2in1 PC「PORTEGE Z20t」
PCでは、2in1 PC「PORTEGE Z20t」が目玉的な存在。これまでインテルのイベントなどにおいて、講演の壇上で紹介されたことはあったが、展示会などで誰もが触れる形で広く一般に公開されるのは、今回が世界初となる。
PORTEGE Z20tは、12.5型ディスプレイ部とキーボード部を分離して、タブレット単体として利用できる2in1 PCだ。
さらに、キーボード部分に対して、ディスプレイ部を前後逆方向に取り付けて折り畳むと、キーボード面を収納する形でタブレットとして利用できる構造となっている。
タブレット単体で利用する場合には、8.8mmの薄さと730gという軽量化を実現。9時間のバッテリ駆動が可能だ。一方で、キーボード部を取り付けると、キーボード部に内蔵したバッテリを生かすことで、17.4時間のバッテリ駆動時間を実現した。用途に応じて利用方法を選択できるというわけだ。また、現行モデルの「PORTEGE Z10t」に比べて、タッチパネル液晶の筆圧感知レベルを1,024段階から2,048段階へと強化。よりなめらかな書き心地を実現しているという。
そして、ビジネス用途に必要とされるインタフェース類を搭載しているのも、大きな特徴だ。
タブレットとなるディスプレイ部には、microSD、microUSB、microHDMIという各インタフェースを搭載。キーボード部には、有線LANポートおよびVGAポートも搭載している。また、液晶を反射が少ないノングレア方式としているのも、ビジネス用途を意識したものといえるだろう。
タブレット部分は「PORTEGE WT20」として単体で販売し価格は899ドル。キーボード部と合わせた価格は1,399ドル。日本での発売は未定だが、近いうちに投入される可能性がありそうだ。
●裸眼3Dの15.6型4Kディスプレイを搭載したノートPC
○Broadwell搭載ノートPC「TECRA C50」やセキュアなシンクライアント
また、第5世代のインテルCoreプロセッサを搭載した「TECRA C50」を初披露したほか、10.1型タブレット「ENCORE 2 WT10PE-A」、8型タブレット「ENCORE 2 WT8PE-B」も米国で発売すると発表。タブレットの価格は、それぞれ349ドル、399ドルとなっている。
さらに、15.6型の4K裸眼3Dディスプレイを搭載したノートPCを参考展示。専用メガネが不要で、高精細な画質を維持したまま、2Dと3Dを切り替えて利用できる。現在は市場調査を行いつつ、用途の可能性を模索。医療分野での利用を想定しているほか、3Dプリンタの普及に合わせて、導入提案活動を行っていく考えだという。
シンクライアントと管理ソリューションを組み合わせた「TZCS」(東芝ゼロクライアントセキュアード)のデモンストレーションも行っていた。展示では、Z40およびC50という2台のノートPCをベースに改造し、HDDを取り外したプロトタイプを用意。ネットワークに接続するとサーバーが認証し、必要なアプリケーションやデータをダウンロードする。ネットワークから切断するとPCがシャットダウンし、RAM上のデータも消去され、手元には何もデータが残らない仕組みだ。
この動作は、盗難などでネットワーク遮断を認識した場合にも有効である。さらに、管理ソフト側から、対象のシンクライアントに対して、ネットワークに接続できないように指定するといったことも可能になり、セキュアな環境を実現できる。今後、製品化に向けて準備を進めていく。
●女性型コミュニケーションロボットに黒山の人だかり
○女性型コミュニケーションロボットに黒山の人だかり
東芝ブースにおいて、特に来場者の関心が高かったのが、ニューコンセプトイノベーションのコーナーだ。2014年10月に日本で開催されたCEATEC JAPANでも話題を集めたコミュニケーションロボットは、身振り手振りをしながら対話をしたり、歌を歌ったりする様子に、終日、黒山の人だかりだった。
もうひとつのバーチャル試着システムは、自分の姿を映し出しながら、洋服をバーチャル環境で試着できるというもの。似合った服や気に入った服を、実物台の画面に映し出し、手軽に選べるようにしたのが特徴だ。体の動きに合わせて、試着した洋服を眺めたり、次々と洋服を取り替えたりできる。
さらに、一般的なメガネに似た外観と装着感を持つメガネ型ウェアラブル端末機器「東芝グラス」のプロトタイプを展示。3つのコーナーを設けて実際に東芝グラスを装着し、直接、体感できるデモンストレーションを行っていた。
デモンストレーションが関心を集めていたもののなかに、TransferJetがあった。展示では、デジタルカメラの記録メディアとしてTransferJet SDメモリーカードを利用。PCに接続したTransferJetのポートに、このデジタルカメラを近づけるだけで、撮影した高解像度写真データ(TransferJet SDメモリーカードに記録したもの)を、PCに短時間で転送できる。また、無線LAN搭載SDメモリーカード「FlashAir」や、次世代コンテンツ保護技術「SeeQVault」対応製品なども展示した。
そのほか、エネルギー分野の展示にも力を入れており、東芝が取り組むリチウムイオン二次電池「SCiB」、日本国内で実績を持つ家庭用燃料電池「エネファーム」を参考出展。太陽光システムや水素を活用した次世代エネルギーへの取り組みを紹介していた。
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