WiMAX 2+に「ギガヤバ革命」到来 - CAや4×4MIMO対応ルータ、下り220Mbpsで制限ナシの新プラン発表
UQコミュニケーションズは15日、WiMAX 2+の高速化施策「ヤ倍速」および新プラン「UQ Flat ツープラス ギガ放題」(ギガ放題)を発表した。同日、都内では記者説明会が開催され、同社 代表取締役社長の野坂章雄氏らが登壇。「ネットのストレスから解放したい」と思いを語った。
「ヤ倍速」では、WiMAX 2+で下り最大220Mbpsの高速通信を実現。1月30日以降に対応のモバイルルータ「Speed Wi-Fi NEX」シリーズが発売開始される。「ギガ放題」では、月額4,380円(税別・以下同)で月間の容量制限がないデータ通信を、2年間の継続利用を条件に利用できる。サービスインは2月20日を予定する。
○「ネットのストレスから解放したい」 - 野坂社長
記者説明会には、同社代表取締役社長の野坂章雄氏が登壇し、サービスの詳細を説明した。
野坂氏は「大手キャリアの提供するプランは、料金設定が高い。また格安SIMサービスが流行しているが、速度は出るがデータ容量が少ない、通信は安定しているが遅い、などの不満がある。こうしたジレンマからお客さんを解放したい。固定回線を提供するサービスは、引っ越しの手続きや配線の管理が煩わしい。こうしたストレスからも解放したい」と話し、「ヤ倍速」と「ギガ放題」を提供するに至った経緯を説明した。
WiMAX 2+の高速化の呼称「ヤ倍速」では、複数帯域を同時に使うキャリアアグリゲーション(CA)、あるいは4つのアンテナでデータを同時に送受信する4×4MIMO(フォーバイフォーマイモ)技術により、下り最速220Mbpsを実現する。
今後もさらなる増速を予定しており、2016年以降にはCAと4×4MIMO技術を併用して下り最大440Mbpsを実現、2020年の東京オリンピックまでには下り最大1Gbpsを実現する考えだ。なお、下り最速220Mbpsに対応するモバイルルータ2機種は1月30日以降に発売が開始される(詳細は後述を参照)。
また新料金プランとして、月額4,380円(おトク割適用時)で容量制限のないデータ通信が利用可能になる「UQ Flat ツープラス ギガ放題」を2月20日より提供開始する。なお、2年間3,696円/月(おトク割適用時)の現行プラン「UQ Flat ツープラス」の提供も維持するが、同プランでは2月20日以降の契約者に対し、月間7GBのデータ通信容量制限をもうける。UQでは新料金プランに3カ月の試用期間をもうけており、キャンペーン中は「ギガ放題」プランも3,696円/月で利用可能。新旧プランの切り替えも月単位で自由に行えるようにする。
野坂社長は「ギガ放題にしてみたけどそんなに使わなかった、という利用者は7GBプランに変更できる。月ごとにプラン変更が可能。利用のハードルを低くして、多くの方にサービスの使い勝手の良さを味わってほしい」と解説した。
●対応端末は2機種、エリア拡大は突貫工事で
○対応端末は2機種、エリア拡大は突貫工事で
「ヤ倍速」に対応するモバイルルータは2機種。
「Speed Wi-Fi NEX W01」(ファーウェイ製)は、タッチパネル搭載のWiMAX 2+ルータ。キャリアアグリゲーション(CA)に対応しており、WiMAX 2+とau 4G LTEで通信できる。1月16日より予約を受け付け、1月30日より販売を開始する。3月末のファームウェアバージョンアップにより下り最大220Mbpsで利用可能になる。
「Speed Wi-Fi NEX WX01」(NECプラットフォームズ製)は、Bluetoothテザリング機能を搭載したWiMAX 2+ルータ。4×4MIMOに対応しており、WiMAX 2+とWiMAX(ハイパワー)で通信できる。3月上旬の発売を予定する。
野坂社長は「モバイルルータ2機種を、春商戦に間に合わせた。
ニーズに応じて選んでいただければ」とアピールした。両機種ともUQ WiMAXオンラインショップおよびMVNO各社にて1月30日以降順次販売する。
WiMAX 2+の対応エリアは順次拡大中。野坂社長は「エリアの拡大を突貫工事で進めている。1年半で2万局を整備した。3月末には約22,000局、5年後には38,000局ほどに拡大する」と説明した。
利用周波数帯域もWiMAX 2+へシフトしていく考え。現在、下り40MbpsのWiMAXを30MHzの帯域幅で、下り110MbpsのWiMAX 2+を20MHzの帯域幅で利用しているが、今後はWiMAXで10MHz、WiMAX 2+で40MHzの帯域幅を使用する方針だ。
ただしWiMAXにおける10MHz幅はなくさず維持していく予定。野坂社長は「何年何月をもってWiMAXを廃止します、ということはしない」と説明している。UQでは「ヤ倍速」、および「ギガ放題」の利用者拡大のため、PCメーカーとも協力していく構え。現在、ベンダー1社と「WiMAX 2+内蔵パソコン」を開発中だという。野坂社長は「マイクロソフトが提供するOneDriveで、1TBもの大容量データも安価にクラウド管理できるようになった」と紹介。利用者がクラウドにデータを大量に預ける「データ大容量時代」が到来しても、「ヤ倍速」と「ギガ放題」が利用できるWiMAX 2+内蔵PCなら快適にサービスを利用できるとアピールした。
最後に、野坂社長は「今春から、新しい世界を皆様にお伝えしていく。社会と世界を豊かにする、そんな思いでサービスを推進していきたい」と言葉に力を込めた。
●ただし、3日間で3GBの制限あり
○3日間で3GBの制限あり
質疑応答および囲み取材には、野坂社長と、同社執行役員技術部門長の要海敏和氏が対応した。「UQ Flat ツープラス ギガ放題」は、月間のデータ通信容量が無制限になるプランだが、実は3日間で3GB以上を利用すると速度制限がかかる。これについて聞かれると、野坂社長は「途端に128Kbpsに落ちるような絞り方はしない。YouTubeの標準画質が見れる程度の絞り方。700Kbpsくらいは出るのではないか」と説明。リソースを利用者に最大限に使ってもらうための施策として、理解を求めた。
先日、NTTドコモでは「3日間でデータを1GB以上使用した利用者の速度を制限する」という従来のルールを撤廃した。これについて聞かれると「ドコモさんではもともと月2GBプラン、月5GBプランなどを提供している。
その上での話なので」と回答。月のデータ容量を利用者が自分で決定し、足りなくなれば有料オプションで追加できる大手キャリアの場合と、はじめから容量無制限で提供するUQの場合では、その意味合いが異なると強調した。
データ通信容量が撤廃できる理由については「連続した50MHzという、大きな帯域幅をいただけた。これにより、ビット単価を下げることができると判断した」と説明。データ容量の無制限プランをこの先も維持できるのか、という質問には「理屈から言うと、無線は有限。固定回線に比べると厳しい。しかし5年、10年経つと技術の革新もある。需要も伸びる」と説明。やってみなくては分からない部分もあるが、挑戦していくとのことだった。