構造改革に目処、4月から新体制 - 富士通社長交代
なお、田中氏は1月19日付で執行役員副社長に昇格している。
代表取締役社長の山本正巳氏は、記者会見の冒頭、「本日の取締役会において次期社長に関する決定が行われた。他の取締役、執行役員人事については、 今後決まり次第発表する。田中氏の正式な社長就任は6月の株主総会後となるが、4月からの新年度開始とともに新しい執行体制をスタートさせ、私と田中氏の二人で牽引していきたい」と、6月の正式決定を待たずに、4月から新体制をスタートさせる意向であることを明らかにした。
山本氏は社長交代の理由を、「私は2010年から真のグローバルICTカンパニーを目指し、構造改革や成長戦略の遂行に努めてきたが、半導体事業をはじめとする構造改革やグローバルマトリックス体制の構築などの課題の事業について一定の筋道がついた。また、グローバルカンパニーとして企業価値を高めていくためには、社長、会長が分担していくことが重要だ。4月から新執行体制で臨むには、いまのタイミングでの発表が最適だ」と述べた。
分業については、実質的な業務実行を田中氏が勤め、対外対応については山本氏が行っていくという。
社長人事は指名委員会の提案によるものだが、田中氏が選ばれた理由について山本氏は、「今後富士通がやっていかなければならないことは、富士通自身が大きく変革し、ICTの変化の早い中でもしっかり経営していくことだ。田中氏は変革に対する意欲や能力を持っており、グローバル思考に対しても理解がある。また、社長しての胆力、判断力が優れている」と説明した。
社長時代の5年間については同氏は、「私が社長になった2010年は、リーマンショック後で経済がボトムの時期であった。富士通の経済ダメージは大きく、私は、このままではさらなる発展は厳しいと思い、5年間で大きく成長するための基礎を作った。今後はこれを活かし、成長ドライバーを育成していくことが重要だ」と述べた。
社長交代をいつごろ決断したのかという質問に同氏は、「後継者選びは社長の大きな任務で、社長になってからずっと考えており、一昨年あたりから、社長交代がいまどうかをいつも自問したながらタイミングを図ってきた。
5年というのは1つの役をやる上では区切りの年であり、田中氏という後継者が育ってきたことから今回決断した」と説明した。
新社長に就任する田中氏は新社長を打診された感想を「まったく予想していなかったので、非常に驚いた」と述べたほか、富士通の経営課題については「グローバル化が最大の課題であり、この取り組みを加速させていきたい」と語った。
また、富士通をどのような会社にしていきたいかという質問には「富士通は大組織であるので、全体のチーム力を高めることに取り組んでいきたい。また、ICTの世界は変化のスピードが速く、ともすれば独りよがりの製品開発になりがちだが、常にお客様基点に立って、何をしていくべきかを、率直に話ができる会社にしていきたい。それが競争力を高めることになる」と回答した。
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