富士通、2015年春モデル発表会 - 新コンセプトの家ナカ利用PC「LIFEBOOK GH77/T」が目玉
富士通は1月20日、個人向けPCの新製品6シリーズ6機種と法人向けPC・タブレットの新製品4シリーズ6機種を発表した。都内で開催された発表会では、家ナカ利用PC「LIFEBOOK GH77/T」に注目が集まった。
富士通 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の齋藤邦彰 執行役員常務は、冒頭、壇上に立ち、同社の成長戦略の中におけるユビキタスプロダクトビジネスの方針について説明した。基本的には昨年秋の発表会で語られた内容と同様なので、ここでは簡単にまとめる。
同社では、ユビキタスプロダクトの事業展開を「既存領域」「ビジネスイノベーション領域」「ソーシャルイノベーション領域」の3つの領域に分類している。それぞれの領域をリンクさせながら成長させていくことで、顧客と共に成長していく戦略方針となっている。
既存領域では、PCやタブレットの小型軽量化・薄型化・長寿命化、ウェアラブル技術の採用などを通じてユビキタスデバイスの利用範囲の拡大を図る。この領域での目玉が、後述する「ホームコンピューティング 究極の家ナカ提案」と題した「LIFEBOOK GH77/T」だ。
齋藤常務は「本日紹介する新商品は、イノベーションを起こすための大切な未来への架け橋になると信じている。今後もユビキタスプロダクトは、いつでもどこでも安心安全、これを先進技術で支えて世界中のお客様と共に進化していく」と締めくくった。
○高性能を家中どこでも使えるようにした家ナカ利用PC
続いて、同社 パーソナルビジネス本部本部長の竹田弘康 執行役員が登壇し、今回の新製品を具体的に紹介した。
まず、法人向けにおいては強固なセキュリティシステムやNFC対応などの拡張性、過酷な環境でも安心して利用できる防水・防塵・耐アルコール対応などの堅牢性をアピール。厚さ約19mmのコンパクトなボディに、アナログRGBや有線LAN、USB3.0といったオフィス利用時の必須インターフェイスを備えたモバイルPC「LIFEBOOK U745/K」、最大20.2時間駆動ながら、最軽量構成で1.21kgを実現したロングバッテリ搭載のウルトラモバイル「LIFEBOOK S935/K」を紹介した。
一方、個人向け製品の紹介は、LIFEBOOK GH77/Tの紹介にほとんどの時間を費やした。竹田執行役は、「家庭内で扱われるデジタルデータの増加と、個人的なデータをセキュアな環境でより便利に活用するニーズが高まっている背景から、高性能化したホームコンピューティングが必要になる」と指摘。LIFEBOOK GH77/Tはこのニーズに応える製品というわけだ。
LIFEBOOK GH77/Tは、ディスプレイが本体と分離して、ワイヤレスで使えるセパレートPCだが、ディスプレイは手軽に扱えるユーザーインターフェイス、本体は高性能コンピューティングと、役割を明確にしている点が特徴になっている。価格はオープンで、実売予想は240,000円前後(税別)。
●写真で見るLIFEBOOK GH77/T
○写真で見るLIFEBOOK GH77/T
「LIFEBOOK GH77/T」のワイヤレスディスプレイ部は15.6型でタッチ対応、厚さ9.8mmで重量980gを実現した。本体部はCPUにIntel Core i7-4712HQ、容量2TBのHDDを装備するハイパフォーマンス仕様だ。これにより、高性能PCは家の決まった場所で使うものという固定観念を打ち破る、新しいイノベーションの創出に挑戦している。
本体とディスプレイのデータ転送には、専用のLSIを使用する。転送方式は2.4GHz帯のWi-FiをベースとしたCavium社の技術に独自のチューニングを施して高速化しているという。従来技術では画面の表示に0.25秒程度の遅延が生じていたところを、新技術により0.07秒程度に短縮している。
竹田執行役は「世界最速のワイヤレス技術」と胸を張り、実際に本体からディスプレイにフルHDのテレビ画面が遅延なく転送され、滑らかに映し出される様子をデモンストレーションして見せた。また、クラウド上のコンテンツにアクセスして写真や音楽、動画なども有線接続と同じくらい安定して楽しめると強調した。
このほかLIFEBOOK GH77/Tは、周囲の温度変化を24時間監視する人感センサーを備え、ユーザーが近づくと距離2mの時点で検知し、手を触れる距離に来るまでに画面をスリープから復帰するといった機能も搭載。しかも、年間待機電力はテレビ並みの47kWhを実現するなど、生活者が便利さを身近なところで実感できる仕様になっている。