MicrosoftがWindows 10の無償提供や「HoloLens」などを発表 - 阿久津良和のWindows Weekly Report
2015年1月21日(米国時間)、Microsoftは「Windows 10: The Next Chapter」を開催し、Windows 10コンシューマープレビューをはじめとする製品・サービスを発表した。本稿では、日本時間の午前2時(現地午前9時)から行われた、メディアブリーフィングで明らかになったポイントを報告する。
登壇したのはCEOのSatya Nadella氏、OSグループEVPのTerry Myerson氏、OSグループCVPのJoe Belfiore氏、Microsoft StudiosグループCVPのPhil Spencer氏という顔ぶれだ。これだけでも同社が今後見据えるビジョンやWindowsを核とするOS群、そしてコンシューマーゲーム市場に関する発表が行われることは想像に難しくない。
○Windows 10の新ビルドは来週リリース
最初に登壇したMyerson氏は、「我々はWindowsを製品ではなくサービスとして捉える」と述べ、Windows 7およびWindows 8.1、そしてWindows Phone 8.1からのアップグレードシナリオを明らかにした。具体的にはWindows 10発表後、1年間限定でWindows 7/8.1/Phone 8.1からの無償アップグレードを可能にするというもの。これまで同社はWindows 10の価格について明言を避けてきたが、これで既存ユーザーがWindows 10に安心して移行できる道筋が示された。
また、Myerson氏はPC向けWindows 10の新ビルドを来週(1月最終週)に、Windows 10 for phonesを2月にリリースすることも明らかにした。
今回のサポート言語は25言語であることから、日本語のサポートも期待できるだろう(Windows 10 テクニカルプレビューは英語/簡体字中国語/ポルトガル語の3言語だった)。
○Cortanaと連動するWindows 10
続いて登壇したBelfiore氏は、音声認識によるパーソナルデジタルアシスタント「Cortana」をWindows 10に標準搭載することを明らかにした。同氏はCortanaを使用し、Webページの検索や天気予報を音声で問いかけるデモンストレーションを披露。約1年前のBuild 2014ではWindows Phone 8.1を使ってCortanaの動作を紹介していたが、見慣れたデスクトップ上でCortanaが動作するのは不思議な気分だった。
1年前と違うのは、Cortanaでデスクトップ操作も行える点である。Belfiore氏は「昨年10月に撮影した写真」とCortanaに問いかけることで、ファイル検索と連動する機能を備えていることを明らかにした。
Windows 10におけるユニバーサルアプリは、"One Windows"の名のもと、PCやスマートフォン、さらいはXbox One上で同一のアプリケーションとUX(ユーザーエクスペリエンス)を提供するのが目標だ。今回のメディアブリーフィングでは、PCとスマートフォン上のOfficeアプリケーションが同一のルック&フィールを備え、同じ感覚で操作できるというデモンストレーションを披露した。
また、標準搭載のアプリケーションもユニバーサルアプリ化し、Windows 10/Windows 10 for phoneの差を最小限にした。
●新Webブラウザ「Spartan」と3D対応HMD「Microsoft HoloLens」
○新Webブラウザ「Spartan」
Windows関連でポイントとなるのは、新たなWebブラウザー「Spartan (開発コード名)」の存在だろう。ユニバーサルアプリとしてPCやスマートフォンに同じUIを提供し、キーボード&マウスやタッチ操作両方をサポート。また、詳細は語られなかったが、従来のTridentとは異なる新レンダリングエンジンを搭載するという。
現時点ではシンプルさと、Webページへの直接書き込みやOneNote経由のクリッピング、表示ページに関連する情報を提供するサイドバーなど、IEから機能を強化したにとどまるSpartanだが、ポイントはCortanaとの統合。説明ではユーザー情報に基づいたアシストレベルにとどまっているようだが、国内では音声検索自体がさほどポピュラーではないため、Cortanaの存在がどの程度の利便性が生み出すのか興味深い。
○新たなUXを生み出す「Microsoft HoloLens」
その他には、4K 84インチという巨大なディスプレイを備えた「Surface Hub」や、Xbox OneとWindows 10との連動。目の前に3D映像を映し出して、仮想世界と現実世界をつなげる「Microsoft HoloLens」を発表した。
Microsoft HoloLensは視野内すべてをスクリーンとし、装着したユーザーの手をポインターとして仮想オブジェクトを自由に操作できるというもの。デモンストレーションでは、ツールボックスから各種オブジェクトを取り出して、UFOのようなオモチャを作っていたが、アイディア次第では、新たなUXを享受できるアプリケーションやゲームを生み出しそうだ。
阿久津良和(Cactus)