IoTを加速するBluetooth 4.2の新機能とメリット - Bluetooth SIG記者会見
Bluetooth SIGは1月23日、都内にて記者会見を開催し、2014年12月4日に発表されたBluetooth 4.2の概要とBluetoothの今後の発展性について説明を行った。
○SIGメンバーは前年から25%増
会見ではまず、Bluetooth SIGのエレット・クローター(Erret Kroeter)氏が登壇。まず、2014年からのアップデートとしてSIGメンバーに参加する企業は2.5万と25%増、過去3年間2ケタ成長を続けているという。
この背景には、企業側がSIGメンバーとなることによって、Bluetooth市場に参入することを望んでいると思われる。Bluetooth市場は現在も拡大しており、2000年には年間80万台だったBluetooth製品出荷数は、2014年に30億台まで拡大。2018年には49億台と世界人口の2/3程度の数が出荷されるだろうと見込まれている。
出荷数増大の原動力はモビリティで、2018年までに世界の電話機の96%にBluetooth Smart Readyが搭載されると見込まれている。ちなみにBluetooth Smart ReadyはBluetooth Low Enargy(BLE)規格を含むエンドユーザー向けのブランド名だ。
○3つの特徴を持つBluetooth 4.2
次にBluetooth Smartのメリットとして、低消費電力でアプリケーションが多いことをあげ、加えてBluetooth 4.2でIoT(Internet of Things:日本では「モノのインターネット」という訳が多い)への対応、より安全かつ高速にするという、3つのメリットを紹介した。
IoTへの対応に関してはBluetoothがIPv6をサポートし、インターネットゲートウェイを通してそのまま外部(のクラウドサーバ)へデータを送信することが可能となった。この場合、データの安全性が問題となるが、128bitAES暗号を含む機能で解消。そして従来の10倍のパケットサイズをサポートすることにより、転送速度を最大2.5倍に拡大することができるという。
この強化によって、BluetoothはIoTに対してより適した存在となる。SIGとして成長を期待している分野として、ヘルス&ウェルネス、ビーコン&小売、家庭用電化製品、スマートホームの4つをあげ、特にスマートホームでは2013年比で3倍以上に市場が拡大すると期待している。
○家庭での普及も加速
家庭での普及を後押しするのはインターネットへ接続するハブだ。Bluetooth 4.2までは直接インターネット接続できない上に、伝送距離の問題もあるのでこれらを仲立ちするハブデバイスが不可欠だった。
そこで用いられていたのがBluetooth LEの通信機能に加えてインターネット接続が可能なスマートフォンやタブレット、PCだ。すでにAndroidやiOSと言った主要なOSがネイティブでBluetoothをサポートしている。ヘルス&フィットネス、スマートホームの両方において現在Bluetooth接続が他の接続方法よりも多く使われており、その傾向は2018年までにさらに加速するとみている。
●Bluetooth 4.2でモノとモノのIP通信が現実に
○Bluetooth 4.2でモノとモノのIP通信が現実に
次にNordic Semiconductor ASA (Japan) カントリー・マネージャーの山崎光男氏が登壇。IoTにおけるBluetooth Smartの状況について説明した。
現在の(主にコンシューマー用途の)スマートデバイスはBluetooth Smartを使い、データ収集手段としてスマートフォンやタブレットがゲートとなってネットワークやクラウドに接続する。
これがBluetooth 4.2になるとIPv6によるインターネットへの直接アクセスが可能となる。そこでIPベースのプロファイルによって異機種ネットワークが構築でき、そこで仲立ちとなるのは常時インターネット接続されるルーターの存在だ。
すでにUS市場ではWi-FiルーターにBluetooth Smartが含まれた製品が存在しており、日本でも近い将来登場するという。
NordicとしてはそのためにnRF51 SoC(System On Chip)に対してのIoT SDKの提供を開始し、2020年には280億個のIoTデバイスの接続をサポートする。
最後に株式会社アプリックス Deep embedded エバンジェリストの今井環氏が登壇した。同社はもともとJavaの開発で知られていたが、2004年より、Bluetoothを扱うIF仕様JSR82開発への参加を通じてBluetoothに関わり、M2MやIoT製品を開発。2010年からはハードウェアを含めて提供を開始した。特にBluetoothを使ったビーコン製品では幅広い製品群を取り揃えているのが特徴となる。
アプリックスとしてはBluetooth 4.2の省電力性と高速性、機密性に期待しており、Bluetooth 4.2対応製品を積極的に開発していきたいという。
●会場に登場したBluetoothデバイスたち
○会場に登場したBluetoothデバイスたち
発表会場では、参加企業による展示も行われた。
比較的盛りだくさんだったので、写真中心で紹介したい。