湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督が開幕戦に浦和レッズを望んだ理由
ゴール裏が真っ赤に染まった敵地の雰囲気に飲まれ、J1優勝経験をもつ「浦和レッズ」という名前の前に萎縮した揚げ句に自滅してしまった90分間。試合後のロッカールームで、指揮官は体を震わせながらこう訴えている。
「オレは絶対に引かないぞ」。
チョウ監督のもとで育まれてきた「湘南スタイル」は、「攻守の切り替えの早さで常に相手を圧倒する」「攻撃でも守備でも相手よりも人数をかける」「リスクを冒して縦パスを入れて攻撃のスイッチを入れる」――などを戦術的な特徴としている。
いずれも腰が引けて、チーム全体が自陣に下がり気味になっている状態では実践できない。別の戦い方を模索して後戻りすることも許されない。チョウ監督が発した「引かない」の意味を選手全員が共有し、J1の壁へ真っ向から挑み続けることを誓い合った。
○「選手たちの成長に追いついていない」と涙した日
それから5カ月半後の9月28日。
ホームにレッズを迎えた第27節で、ベルマーレは見違えるような戦いを披露した。前半18分に先制されたものの、持ち前の運動量と前への推進力でレッズを終始圧倒。後半30分と36分の連続ゴールで逆転し、1万3000人を超えた観客を熱狂させた。