利便性の高まりがみられるNISA
○NISA(少額投資非課税制度)
NISAとは、株式や投資信託などの売却益や配当金・分配金に掛かる税金が、一定の条件で一定期間免除されるという「少額投資非課税制度」です。モデルとなった英国の同様の制度「ISA」に、日本版の「N」を付けた愛称「NISA」(ニーサ)と呼ばれています。
日本では、個人が投資によって得た収益に対し、通常は20%(※)の税金が課されています。2013年末までは、税率を10%(※)に軽減する「証券優遇税制」が適用されていましたが、2014年からは、これに代わり、投資を促進し個人の資産形成を支援する仕組みとして、NISAが開始されました。
(※いずれも復興特別所得税を除く)
銀行や証券会社などでNISA口座(非課税口座)を開設すると、1人あたり年100万円の投資枠が与えられ、その範囲内であれば、投資をはじめた年から最長5年間の非課税措置が受けられます。NISAを利用できる対象者は「20歳以上の日本の居住者」と幅広く、投資未経験者が少額投資からスタートして、中長期的な資産形成を後押しする制度ともいえます。
NISAは投資家にとってメリットの多い制度と考えられますが、NISAで投資したものを途中で売却すると、5年以内であってもその枠の再利用ができない点には、注意が必要です。例えば、既にNISA口座で100万円分の投資信託を購入している場合、その内の30万円分を売却しても、そのNISA口座で新たに30万円分の投資信託などを購入することはできません。
また、5年間の非課税期間の終了後などに課税口座へ移す場合は、取得価格は時価(移管時点の価格)に更新されます。例えば、NISA口座で2014年に50万円で購入した投資信託が、2018年末の時価で60万円となった場合、課税口座では「60万円でその投資信託を購入した」という扱いになります。その後、70万円に値上がりした際に売却した場合、課税される売却益は当初購入額との差額の20万円ではなく、10万円(70万-60万)となります。ただし、移管時の時価が当初の取得価格より下がっていると、その後、値上がりして売却した際に、当初から課税口座を利用していた場合と比べ、課税される売却益が大きくなってしまいます。
ステップアップ
NISA口座における投資額のうち、60歳以上による投資額が全体の約6割を占める一方で、20~30歳代は約1割に留まっており、若年層の利用拡大は課題のひとつとなっているようです。
○制度改正
足元では、税制改正の一環として、NISAを拡充し、その利便性を高めようとする動きが進んでいます。
これまでは、ある金融機関でNISA口座を開設すると、一定の期間(2014年に開設した場合は2017年までの4年間)金融機関を変更できませんでしたが、今年から、既に昨年に開設した人も含め、1年単位で口座を開く金融機関を変更することが可能になりました。
また、2015年度の税制改正では、2016年からNISAにおける年間の投資枠を100万円から120万円に引き上げ、毎月10万円の積立投資がしやすい金額にする方針となっています。さらに、未成年者によるNISA口座開設を可能とする「ジュニアNISA」(年80万円)を2016年に創設することも検討されており、若い世代への投資の普及や子供・孫への資産移転につながることが期待されています。
税制改正以外にも投資の普及をめざして、給料から一定額を天引きするなどして定期的に投資する「職場積立NISA」を推進する動きがあります。NISAを通じた投資がしやすくなり、現役世代の資産形成が更に進むものと期待されています。
そのほかにも、口座開設手続きの簡素化や、NISAの制度延長など、更なる拡充が検討されており、投資家にとってNISAがますます便利な制度になることが期待できそうです。
ステップアップ
金融機関の変更をする前に、既存の金融機関のNISA口座で新たに投資信託や株式などに投資していると、その年の変更ができなくなるため、注意が必要です。
(2015年2月4日 日興アセットマネジメント作成)
●日興アセットマネジメントが提供する、投資信託・投資・経済の専門用語をテーマで学べる「語句よみ」からの転載です。
→「語句よみ」
※1 当資料は、日興アセットマネジメントが経済一般・関連用語についてお伝えすることなどを目的として作成した資料であり、特定ファンドの勧誘資料ではありません。また、当資料に掲載する内容は、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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