恋愛以前の男子たちへ (7) モテないハンパ者の矜持
田舎に住んでいる。東京から居を移して、もう20年以上になる。これもIT革命とやらのおかげだ。
思えば物書き稼業に身を転じた30年ほど前は、原稿用紙に万年筆で書いていた。ある新聞社には、カーボン紙付き3枚綴りの原稿用紙もあった。そう、今も文具店で売っている、あの請求書や領収書の要領。コピー機もまだ当時は高価な事務機器だったので、三文ライターにはできるだけ使わせない知恵だったのだろう。書きながら思い出したが、そういえばコピー機にはカギがあって、そのカギは何枚コピーしたかがわかるカウンター機能もついていた気がする。
それはともかく、じきに原稿用紙はワープロに代わり、年月を経てパソコンとインターネットになった。原稿の入稿の仕方も手渡し、郵送からファクスとなり、それも生原稿がフロッピー、CD-ROM、そして今ではネットでスイスイと送れるようになった。
書きながら思い出したが、手書きで原稿用紙に書いている時代は、留守番電話は電話機とは別モノだった。今では考えられないだろうが、留守番電話機という機械があったのだ。その留守電機には♫ピコピコピコピコ♫なるリモコンがついていて、公衆電話から自宅に電話すると話す方にリモコンを当て……。