壁は語る! 世界に出現した詩的でハイセンスなストリートアート9選
これらのストリートアートを製作しているのは、スペインのアーティスト・Pejac氏。製作を始めたきっかけは、学校の美術の先生のアートに対する態度に憤慨したからだという。具体的にどのようなやりとりがあったのかは不明だが、それ以来、彼は美術館を訪れようとしない人や、行きたくても行くことのできない人々のためにストリートアートを描き続けているそうだ。
○飛び立つ鳥(サラマンカ/スペイン)
動くことのできないかかしが、鳥となって飛んで行く。モノクロだからこそのシュールな作品だ。
○Phiedra(マドリード/スペイン)
Pejac氏の作品はいずれもシンプルで、周囲の色に溶け込んでいる。黒い人物はまるで本物の影のようだ。
○私のたったひとつの旗(モスクワ/ロシア)
少女が高く掲げた旗は木々であり、枝の先には鳥がとまっている。これは少女の心の中にある祖国の姿だろうか、それとも希望だろうか。
○しみ(サンタンデール/スペイン)
白いコンクリートに描かれた黒い世界が溶けだし、側溝へと流れていく。世界は結局ひとつという意味にも見えるし、紛争の絶えない人類の行く末を表しているようにも見える。
○編む人(サラマンカ/スペイン)
クモの巣のような網を編む女性。捕まえたいものは何だろう。
○エンテレケイア(ロンドン/イギリス)
エンテレケイアとは"完成された現実態"や"生命体の活力"という意味。女性の乗ったブランコはいつしか枝を伸ばし美しい葉をつける。そこからどんな意味を見いだせるだろうか。
○見えない窓(イスタンブール/トルコ)
窓なのにその向こうには何も見えない。心理的なことを考えることもできるが、単純にトリックアートとしても面白い。
○ちり(サンタンデール/スペイン)
ホウキで集めようとしているのは自分自身。
○アリ(パリ/フランス)
無垢(むく)な子供がアリのような人間を虫眼鏡で燃やしている。"無垢=知らない"ということが災いするのか、人々の小さな叫びが大きな人間には聞こえないのか。
「私のアート製作にはメランコリーとユーモアのどちらもが必要。それらには詩のような言葉を生み出す力があるんです。もし、私の作品を見た人々が何かを考えようとしたのなら、それは意味のあることだと思うのです」と、Pejac氏は語る(スペインの新聞「20minutos」より)。
彼の作品はモスクワ、パリ、イスタンブール、ロンドン、そしてミラノなど、ヨーロッパ各地の壁や地面で見ることができる。街を歩きながら彼の"詩"を眺め、そこから哲学する旅も面白そうだ。
このほかの「詩的でハイセンスなストリートアート」はオリジナルサイトを参照。
※写真/記事提供: Bored Panda
出典: pejac.es