AZUMINO JAPANが生んだ新生「VAIO Z」発表会 - 「共創」と「個客視点」を重視したものづくり
VAIO株式会社は16日、東京・渋谷で新製品の発表会を行なった。今回発表されたのは2年8ヵ月ぶりの発売となる13.3型モバイルノートPC「VAIO Z」と、2014年11月に試作品として先行発表されていた「VAIO Z Canvas(VAIO Protype PC)」の2機種。2014年7月に同社が設立されてから初のオリジナルモデルとなる。
会場では代表取締役の関取高行氏が新製品のコンセプトを語ったほか、商品開発プロデューサーの伊藤好文氏が新しいVAIO Zの魅力を紹介した。
○今日こそが本当の「VAIO」のスタート
発表会では、はじめに代表取締役の関取氏が登壇。
新しいVAIO Zは商品企画から設計、製造、そして品質管理までのすべてを長野県安曇野市にあるVAIO株式会社で行なった「Made in AZUMINO JAPAN」であると語った。
そして、従来のようにメーカーが一方的に企画した商品を提供するのではなく、ユーザーと一体になった商品開発を重視していると強調。その例として2014年に試作品として公開された「VAIO Prototype Tablet PC」を挙げ、実際に試作機に触れたユーザーの意見を取り入れながら開発する「共創(きょうそう)」というスタイルを取り入れているという。
また、大勢の顧客を一元的にとらえる「顧客視点」ではなく、個々の顧客に目を向ける「個客(こきゃく)視点」であることもアピールした。
さらにVAIO株式会社として、積極的に他社とのコラボレーションを行なっていることを説明。昨年11月に開催されたInter BEE 2014でキヤノンが開発した4K Cinema RAW現像ソフト「Cinema RAW Development」を「VAIO Prototype Tablet PC」でデモンストレーションした事例を取り上げながら、日本通信と共同でスマートフォン事業を展開していることにも触れ、さまざまな分野でチャレンジしていくと宣言した。
今回発表された新製品については、「我々の力で作り上げた製品を発表できる今日こそが、(VAIO株式会社の)本当のスタートである」と熱く意気込みを語っている。
●VAIO Zは「究極の道具」
○VAIO Zは「究極の道具」
新しいVAIO Zの概要については、商品プロデューサーの伊藤氏が説明を行なった。PCにとって最も重要なのは、ユーザーの生産性と創造性を引き出すことだと説明。最高のアウトプットを作り出したい人のために、研ぎ澄まされた究極の「道具」を届けたいという想いから、VAIO Zが企画されたと語る。
ソニー時代にも存在した「VAIO Z」という名称を使った理由については、ユーザーからVAIO Zの復活を望む多くの要望があったことから採用したと説明。
ソニー時代ではアルファベット最後の文字であることから「最終形」の意味で使っていたが、新しいVAIO Zの「Z」では「ゼロ(Zero)」の意味も持たせたとし、VAIO株式会社にとっての始まりとなる製品であることを強調した。
伊藤氏はVAIO Zの特徴として、「圧倒的なレスポンス」と「1日中、どこでも完璧な仕事ができる」点、そして「ユーザーの新たな可能性に応えられる」ことの3点を取り上げた。
まず圧倒的なレスポンス、つまり快適な操作感を実現するために、Broadwell-Uシリーズのなかでも処理能力の高い28W版のCore i7/Core i5を採用。広く使われる15W版のCore i7に比べて、高い性能を実現しているという。
またCPUが内蔵するIntel Iris Graphics 6100は、Haswell世代の15W版Core i7に搭載されていたIntel HD Graphics 4400よりもパフォーマンス面で優れていると説明した。
またVAIO Zの高いパフォーマンスは、VAIO株式会社が持つ「高密度実装技術」と「熱設計技術」によるものだと説明。このふたつのコア技術を合わせて「Z ENGINE」と呼んでいるとのこと。もちろん、Z ENGINEが筐体の小型化にも大きく影響している。
モバイルノートとしての優れた携帯性としては、JEITA 2.0で15時間と長時間のバッテリー駆動を取り上げた。VAIO株式会社はバッテリーユニットを設計できる数少ないメーカーのひとつであるとのこと。
VAIO Zではケースのないバッテリーを採用することでユニットの容積を減らし、そのぶん容量を増やすことで58Whの大容量化を実現しているという。またボディにアルミ素材とUDカーボンを利用することで高い剛性を確保しているほか、静音キーボードやsRGBカバー率100%の液晶ディスプレイを採用。持ち運び時の信頼性や外出先での作業の快適さを実現している。
そして「ユーザーの新たな可能性に応えられる」ために採用されているのは、VAIO Fit Aシリーズでも採用されていたマルチフリップヒンジだ。
このギミックの優れている点は、クラムシェル型ノートPCの使いやすさを損なわない点にある。ノートPCの生産性の高さを担保した上で、タブレットモードやプレゼンモードといった新たなスタイルでユーザーの可能性を広げるという。
2-in-1スタイルを採用している点については意見がわかれるところかもしれないが、伊藤氏は昨今の軽量薄型を重視した2-in-1 PCではなく、ユーザーがより気持ちよく、スタイリッシュに使いこなせることを意識していると語った。
VAIO Zの店頭予想価格は190,000円(最小構成価格・税別)から。本体カラーはブラックとシルバーの2色で、16日の15時から受注を開始している。
○もうひとつのVAIO Z、「VAIO Z Canvas」が5月発売
会場ではVAIO Zに加え、タブレット型の「VAIO Z Canvas」も発表された。これは2014年11月に「VAIO Prototype Tablet PC」として先行公開された試作モデルで、今回は商品化されたという発表のみ。詳しいスペックについては、今後発表される見通しだ。発売は5月を目標とし、市場想定価格は20万円台後半を予定している。
●写真で見る「VAIO Z」
○写真で見る「VAIO Z」
VAIO発表会では、「VAIO Z」および「VAIO Z Canvas」の実機、Z ENGINEや底面のUDカーボンなど、各機種で使われているパーツが展示されていた。
ここからは会場で展示されたVAIO Zを写真で紹介しよう。