4K液晶、GTX 980M、M.2 SSD、全部入り! -ゲーミングノート"NEXTGEAR-NOTE i5900PA1"
1月23日、マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」から、第2世代MaxwellのノートPC向けGPU「GeForce GTX 980M」を搭載した、15.6型ノートPC「NEXTGEAR-NOTE i5900」シリーズが発売された。GTX 980Mといえば、NVIDIAの現行のシングルGPUラインナップにおいて、最上位に位置するグラフィックスチップだ。これだけでもゲーマーにとっては注目に値する製品だが、同シリーズはさらに解像度4K(3840×2160)の液晶ディスプレイまでも搭載。ハイエンドゲーミングノートと呼ぶにふさわしいシリーズとなっている。今回はシリーズの中でも、最も充実した装備を誇るプラチナモデル「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」を紹介しよう。
なおプラチナモデルとはいっても、ほかのモデルとの違いはメモリの容量とストレージの2点のみだ。ブロンズやシルバーなどを選んでも4K液晶ディスプレイとGeForce GTX 980Mは利用できるので、実際に購入する際はその点を考慮してモデルを選択しよう。
○3840×2160の高解像度液晶と圧倒的な3Dグラフィックス性能
「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」は、QFHD(3840×2160)解像度、いわゆる4K液晶ディスプレイを搭載した15.6型のゲーミングノートPCだ。
高精細なその画面は、ユーザーにドット感を意識させることなく非常に滑らかだ。ディスプレイの表面はノングレア処理が施されているため映り込みも少ない。この4K液晶でのPCの動作を支えているのが、CPUやGPUなどの搭載パーツ。CPUには"Haswell Refresh"世代の4コアCPUとなるインテルのCore i7-4720HQを採用。定格動作クロックは2.60GHzだが、ターボ・ブースト機能によって最大3.60GHz付近までクロックが上昇し、高速処理を行ってくれる。映像を支えるGPUは、NVIDIAの第2世代Maxwell最上位モデル「GeForce GTX 980M」。圧倒的なワットパフォーマンスで話題になった第2世代Maxwellだけに、デスクトップPCに引けを取らない処理能力と長いバッテリー駆動時間を両立させてくれるだろう。なおCPUに内蔵されているグラフィックス「インテル HD グラフィックス 4600」も同時に利用される。
Webブラウジングや事務処理系ソフト、軽めのゲームなどの動作中は、映像処理系にあまり負荷がかからない。このような場合にハイエンドGPUを動かすと多くのバッテリーを消費してしまうため、GeForce GTX 980Mを使わずにCPU内蔵グラフィックスで処理を行うというわけだ。
ストレージはSSDとHDDのデュアルドライブ構成となり、システムドライブに採用されているのは512GBのSSD「Plextor PX-G512M6e」だ。このSSDの特徴は、M.2インタフェースを利用してPCI-Expressに接続されていることにある。現在ストレージ接続に利用されている主要インタフェースはSATA3.0。しかしSSDの速度向上に伴い、SATA3.0では性能を引き出せなくなってきている。だがM.2コネクタによってPCI-Expressに接続すれば、そんなボトルネックもなくなり、SSDの性能をフルに引き出せるというわけだ。データドライブ用のHDDは1TBとなり、Western Digital製が採用されている。
計1.5GBの容量があれば当面容量に問題はないだろう。メモリはDDR3L-SODIMMとなり8GB×4枚、計32GBの大容量を誇る。通信デバイスはいずれもRealtek製となり、ギガビットLAN、IEEE802.11 b/g/n対応無線LAN、そしてBluetooth V4.0を搭載している。
○金属のヘアライン加工が美しいブラックの天板とパームレスト
筐体はG-Tuneのイメージカラーであるブラック。天板やパームレスト部はアルミ製となっており、ヘアライン加工が美しい。本体裏面はプラスチックの一枚板で、内部の熱を排気するための数多くのスリットが確認できる。本体寸法はW385×D275×H29mm(折り畳み時)となっており、ハイエンドパーツにより内部の熱対策が難しいため厚くなりがちなゲーミングノートにしては控えめな厚さだ。本体質量も約2.5kgに抑えられているので、必要に応じて外に持ち運ぶことも可能だろう。
インタフェースは本体背面および左右側面それぞれに配置されている。背面左側には電源コネクタとe-SATA/USB 3.0兼用端子を搭載。USBハブをつないだり、ストレージを管理したいときに利用すると便利だろう。左側面は手前からMini Displayport×2、USB 3.0×1、HDMI×1が配置されている。本体の液晶ディスプレイを含め計4画面のマルチディスプレイ環境を構築することも可能だ。右側面は手前からライン出力、マイク入力、ヘッドフォン出力、SD/MMCカードリーダー、USB 3.0×2、ギガビットLAN端子、ケンジントンロックを搭載。SIMカードスロットも確認できるが、残念ながらこちらは使用できないようだ。本体手前には端子はないが、電源やnum lock、HDDアクセスなどを確認できるLEDランプが搭載されている。
またディスプレイ上部にはステレオデジタルマイクと200万画素のWebカメラが用意されており、すぐにでもビデオチャットを利用可能だ。電源アダプタはさすがに大振りで、出力は19V/9.5A、180W、サイズはW167×D83×H35mm。持ち運びの際は、このアダプタをどうやって収納するかがポイントとなりそうだ。
○テンキーを備えたフルキーボードには白色LEDを内蔵
キーボードはテンキー付きとなり、最近では定番となってきたアイソレーションタイプを採用。カーソルキー周辺を除けば、それほど変則的な配列もなく、押し間違うことは少なそうだ。また「W」「A」「S」「D」キーに矢印の刻印があり、ゲーミングモデルらしさが垣間見える。タッチパッドは周囲から若干掘り下げた位置に搭載。パームレスト部がアルミ製なので、温度や触り心地で判別は簡単だろう。
ボタンの押下感はキーボードに近い。クリック感が少なくふかふかとした感触を備えており、誤ってダブルクリックする心配もないだろう。液晶ディスプレイと本体をつなぐヒンジ部の左右にはステレオスピーカーが内蔵されており、ゲーム音声をしっかり再生可能。テンキー右上には電源ボタンがあり、電源投入時は青色のLEDが輝く。
なおキーボードの内側には白色LEDが搭載されており、暗い場所でも容易にキーを確認可能。消費電力を抑えたいときは、付属のユーティリティ「CONTROL CENTER」から、明るさを下げたりOFFにしたりすることも可能だ。またキーボードにマクロを登録したり、特定のキーを無効にしたりできる「FLEXIKEY」や、タッチパッドの動作を設定できる「Synaptics TouchPad」、スピーカーからの出力をサラウンド化させたりできる「Sound Blaster X-Fi MB3」などのアプリケーションをプリインストール。自分好みのPC環境を作り上げることができる。
●M.2 SSDの追加も可能な「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」の内部
○「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」の内部を確認。実は拡張も可能!?
せっかくなので、本体内部の様子を確認してみることにしよう。底面のネジをすべて外し、裏ぶたを固定しているツメをゆっくり外していく。ふたを開いてまず目に付くのが、パームレストの左部分に配置された大型のバッテリーだ。続いて、本体左側に配置されたCPUと、右奥で2つのファンによって冷却されているGeForce GTX 980Mが目に留まる。またGPUファン付近にはRealtekのIEEE802.11 b/g/nおよびBluetooth V4.0準拠の無線モジュールも確認できる。使用できないといわれていたSIMカードスロットには、一応スロットがしっかりと実装されている。もしかしたらなんらかの機能が実現できるかもしれないので、腕に覚えのある方は利用してみるのもいいだろう。ただしマウスコンピューターの保証外となるので、試す際は自己責任でお願いしたい。パームレスト右下のスペースにはSSDとHDDが収納されており、M.2コネクタには1基の空きがある。取り付け用の金具も用意されているので、非公式だが自分でSSDの追加や交換を行うこともできそうだ。
マザーボードの表に取り付けられたメモリは4枚中2枚のみ。試用機では動作電圧1.35Vで動くDDR3L-1600メモリの8GBモジュールが採用されていた。搭載されているSSDは、PlextorのPX-G512M6e。PCI-Express接続によって、SATA3.0規格の帯域制限による速度の頭打ちがないため、600MB/sを超えるシーケンシャル読み書きを実現可能だ。HDDはWestern DigitalのWD10JPVX。1TBの容量があるため、速度を重視する必要のないデータファイルは、こちらに保存しておくといいだろう。
○ベンチマークで「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」の性能をチェック!
それでは、各種ベンチマークテストで本機の性能を見ていこう。まずはWindowsシステム評価ツール「WinSAT」でのWindowsエクスペリエンス インデックス スコア測定の結果から。グラフィックスの2項目はCPU内蔵グラフィックスを利用した数値となっているため、GeForce GTX 980Mの性能はこのあとのゲームベンチで確認してほしい。プロセッサ/メモリ/ストレージについては文句の付けようがない。特にプライマリディスクの"8.3"は、今まではRAID構成でもなければ目にすることのできなかったスコアだ。
加えて、「PCMark8」にて総合的なパフォーマンスを測ってみよう。こちらの結果も満足のいくもので、ホームやオフィス用途では、高いCPU処理能力とディスプレイ解像度によって素早い作業が可能だ。こちらのベンチマークでもCasual GamingはCPU内蔵グラフィックスによって計測されているため、総合スコアは少々落ちている。なお、NVIDIAコントロールパネルから設定を行えばGeForce GTX 980Mを使用するように設定することも可能だが、はっきりいって電力のムダなので、通常はCPU内蔵グラフィックスに処理を任せたほうがいい。「CINEBENCH R15」で見るCPUの処理能力は、並みのデスクトップ向けCPUよりもよっぽど優秀だ。テスト結果だけ確認すると、デスクトップPCだと思ってしまう人も多いことだろう。
○GeForce GTX 980Mは4K液晶のネイティブ解像度をどこまで動かせるか?
次に、NVIDIA GeForce GTX 980Mが備える3Dグラフィックス処理能力をチェックしていこう。まずはFuturemarkの3Dグラフィックス向け定番ベンチマーク「3DMark」のFire Strikeにて総合性能を確認。Graphics Score"9662"というスコアは、1世代前のデスクトップ向けハイエンドGPU「GeForce GTX 780」と同程度のスコアとなり、第2世代MaxwellがいかにノートPCに向いたアーキテクチャなのかがよくわかる。さすがにUltraの結果は厳しいが、これ以上を望むのは贅沢というものだろう。
続いてゲームのベンチマークテストを試そう。まずは指輪物語をモチーフにしたアクションRPG「ミドルアース:シャドウ・オブ・モルドール」 のベンチマークだ。設定を上げるごとにテクスチャ容量が大きくなり、負荷が増大するタイトルだが、フルHD(1920×1080)までの解像度ならば余裕で平均FPS 60以上をたたき出すことができた。最新の3Dアクションタイトルがこれだけ動くのだから、やはりすごい。とはいえ、4K解像度はやはりまだまだ厳しい。今はまだゲームで利用できる解像度ではなさそうだ。昨年末に拡張パック「蒼天のイシュガルド」の詳細が発表され話題になった国産MMORPGタイトル「ファイナルファンタジーXIV」のベンチマーク、キャラクター編も試してみよう。こちらのベンチマークでは、4K解像度でも"快適"と、なんとか遊べそうなスコアが確認できた。インタフェースのサイズの問題などもあるため、実際のゲームで利用するかどうかは別だが、少し古めのタイトルであれば4Kでも動作可能であることがわかったのは収穫だ。
最後に、念のため「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.10」を動作させておこう。結果としては、すでに各解像度、設定ともにほとんど数値が変わらなかった。これ以上スコアを上げるとしたら、CPUの進化を待つしかなさそうだ。
○高精細デスクトップを利用できるハイスペックゲーミングノート
GPUにGeForce GTX 980Mを搭載するという、ゲーマー垂涎のハイスペックノート「NEXTGEAR-NOTE i5900PA1」。そしてその3Dグラフィックス処理能力を最大限に活かすため、CPUにCore i7、メモリ32GB、さらに大容量512GBのPCI-Express接続SSDも搭載。それでもまだ飽き足らず、4K液晶ディスプレイまで搭載してしまった本機は、まさにゲーマー向けの"全部入り"ノートPCといって過言ではない。この性能は、ゲームだけでなく映像・音声・写真などの編集などでも強力な性能を発揮してくれることだろう。また、ちょっとPCに詳しい人にとっては、内部に増設の余地があるのもうれしいところ(ただし自己責任での対応となるので、その点はご留意を)。この冬発売した注目のゲームタイトルをノートPCで遊びたい人はもちろんのこと、4K解像度を活かした画像・映像処理を行う人にとっても、注目すべき一台といえるだろう。
※ここで紹介した各パーツは、今回試用した機種のものです。出荷時にメーカー、型番などが変わる可能性もあります。ご了承ください。
○標準スペック
上記スペックは、あくまで構成の一例だ。BTOを駆使して、ぜひ自分好みの一台を作ってみてほしい。
価格・構成については、2015/2/16(記事作成日)現在の情報です。最新情報についてはマウスコンピューターのサイトにてご確認ください。