景気と金利の関係と、足元の各国の金融政策
○景気と金利
景気が後退する局面では金利は低下し、景気が拡大する局面では金利は上昇する傾向にあります。
一般に、景気が後退する局面では、消費が減速したり、企業の売上が減少します。これに伴ない、企業は積極的な設備投資を控え、経済全体として資金需要が低下するため、金利は低下傾向となります。反対に、景気が拡大する局面では、消費が活発化したり、企業はさらに多くのモノやサービスを提供できるように、積極的に設備投資を行なうようになります。これにより、経済全体として資金需要が高まるため、金利は上昇傾向となります。
景気の後退が加速すると、個人の消費意欲の減退に伴ない価格を下げなければモノが売れにくくなり、物価の下落が深刻になる場合があります。反対に、景気の拡大が加速すると、物価が過度に上昇し、生活を圧迫する場合があります。このような景気の極端な変動を抑えて物価を安定させる事を目指し、中央銀行は金融政策として金利を引き下げたり、引き上げたりします。
なお、景気が後退する局面でも物価が上昇することがあり、その場合には、中央銀行は金利を引き上げて物価上昇の抑制を図ることもあります。
このように、金利は景気と密接な関係にあります。また、中央銀行は金融政策を通じて、物価の安定、景気変動のコントロールを図ります。
ステップアップ
最近では、金融政策で金利を引き下げた国々で、景気回復期待などから株価指数が上昇するケースがみられます。保有する株式などの資産価格の上昇によって消費が促進される資産効果が、景気に好影響を与える場合もあります。
○足元の金利の動向
通常ならば、景気後退局面で金利を引き下げることで、需要の回復が期待されます。足元でも、低迷する景気と原油安を受けたデフレ懸念を背景に、比較的景気回復が好調な米国を除く先進国を中心に中央銀行が相次いで利下げなどの金融政策を実施しました。
しかし、日本やユーロ圏では、既に引き下げられない水準にまで政策金利を引き下げていたため、金融資産を市場から大量に買い入れて資金供給を行なう量的金融緩和が実施されています。また、他国で金融緩和が行なわれると、自国通貨が相対的に上昇し、輸出競争力が低下する恐れがあることから、各国は自国経済を下支えするために、追随して金融緩和を行なうという連鎖が足元で起きているとみられます。先日、トルコのイスタンブールで開催された主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、低インフレからの脱却を目指した積極的な金融緩和を容認しつつも、自国通貨安を目的としないことが改めて確認されました。
先進国を中心に物価が低迷し世界的な経済減速が懸念されるなか、各国中央銀行による低金利の金融政策が続くと見込まれ、今後経済成長が下支えされて回復へと向かうのか、注目されます。
ステップアップ
金利の高さは、為替市場にも影響します。相対的に、高い金利の通貨は金利面の魅力から買われ、低い金利の通貨は売られる傾向にあります。
(2015年2月19日 日興アセットマネジメント作成)
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