今年の春闘では、日本企業の好業績や政府の働きかけなどを背景に、昨年に続き一定の賃上げの実現が期待されます。賃上げは日本経済にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 今回はそのポイントとなるベースアップと春闘について調べてみました。
○ベースアップ(ベア)
ベースアップとは、「ベア」とも呼ばれ、賃金の土台(ベース)となる部分、いわゆる基本給の水準を引き上げることです。
企業がベアを実施すると、基本的に全社員の賃金水準が底上げされることになります。例えば、以前の基本給からプラス3,000円のベア実施後は、単純計算で「3,000円×社員数」分、その企業が支払う賃金の総額が以前より増えることになります。
一般的な日本企業では、昇格に伴なう昇給のほか、年功序列と称されるように、年齢や勤続年数に応じて賃金を引き上げる「定期昇給」が行なわれています。例えば、年齢による定期昇給のみ行なわれる企業では、30歳の社員の月給に対して31歳はプラス2,000円などといったように、あらかじめ年齢に応じた賃金水準が決まっており、これに従って自動的に賃金が引き上げられます。こうした企業の場合、社員数と年齢構成が毎年変わらないと仮定すれば、企業が支払う賃金の総額は常に一定となります。