筑波大学など、体内時計を調節するペースメーカー細胞の存在を証明
筑波大学は3月5日、マウスの脳内に体内時計を調節するペースメーカー細胞が存在することを証明したと発表した。
同成果は筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史 機構長、米テキサス大学サウスウェスタン医学センターのJoseph S. Takahashi 教授らの共同研究によるもので、3月4日付け(現地時間)の米科学誌「Neuron」に掲載された。
体内時計は脳の視床下部の視交叉上核にある神経細胞によって調節されていることが知られているが、具体的にどの細胞群が中心的な役割を担っているかはわかっていなかった。
研究グループは、視交叉上核のみで作られるニューロメジンS(NMS)という神経ペプチドに注目。マウスを用いた最新の分子遺伝学的手法を組み合わせることで、NMSを産生する神経細胞群の体内時計を任意のタイミングで操作し、行動リズムをリモートコントロールでオン・オフできるシステムを構築した。
同システムを用いた研究の結果、NMS細胞群のクロック分子の振動を止めると、視交叉上核全体の行動のリズムもなくなることがわかった。また、NMS細胞群のリズム周期を遅くすると、視交叉上核全体および行動のリズムも遅くなった。