克服すべき試練と対峙するブラジル~悪材料の織り込みが進む通貨レアル~
ブラジルでは、経済の停滞懸念が強まっている一方、今年、2期目をスタートさせたルセフ政権が財政規律の維持に向け緊縮財政へと舵を切り、市場の信頼回復に努めています。しかしながら、税制優遇措置の縮小に向けた大統領令を上院議長が3日に拒否したことをきっかけに、財政健全化の行方に懸念が生じたことなどから、ブラジル・レアルに売り圧力がかかることとなりました。
緊縮財政への方向転換に加え、国営石油会社に絡む汚職疑惑捜査が長引いていることなどもあり、ルセフ大統領の支持率は大きく低下しています。また、同国は現在、干ばつに見舞われており、水の供給や、水力発電に多くを依存する電力の供給に不安を抱え、景気への悪影響が懸念されている状況です。こうした困難な環境にあるだけに、財政健全化を進めるのは容易でなく、大統領が議会に何らかの譲歩を余儀なくされることも考えられます。ただし、緊縮財政を実現できなければ、国債が格下げされる可能性があることなどから、財政健全化に向けた政府の方針が大きく揺らぐことはないと考えられます。
なお、同国では、高止まりするインフレを抑えるべく、中央銀行が金融引き締めを行なっており、4日遅くには、昨年10月以降、4会合連続となる利上げ(12.25%→12.75%)が発表されました。
景気や財政健全化の行方などに注意を怠れないものの、原油安を背景に利下げなど金融緩和を進める国が相次ぐ中で、ブラジルが利上げを続けていることや、同国の金利水準が相対的に高いことは、ブラジル・レアルのサポート要因になると考えられます。
(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。)
(2015年3月5日 日興アセットマネジメント作成)
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