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Apple Watch、こんなに先の見えないデバイスは初めてかも - 私はこう見るApple発表会

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Apple Watch、こんなに先の見えないデバイスは初めてかも - 私はこう見るApple発表会
●「先行きが見えないデバイス」という印象
こんなにも先行きの見えないデバイスは初めてかもしれない……。米国時間9日、いつも通り日本時間で夜中の2時からスタートしたAppleの新製品発表イベント。4月の出荷が予定されているApple Watchの詳細が発表されることは最初からわかっていたことだったが、見る前と見た後で、Apple Watchに対する感想はまったく変わらなかった。冒頭の一文である。ライターのくせに、まったくもって、何も言っていないに等しい。

世間での反応も割れているようで、「絶対買う」という人から「こんなのいらん」という人まで様々だ。まぁ反応が様々なのはiPhoneも毎回同じなのだけど、そっちは生活に必須のスマートフォンカテゴリだから、なんだかんだで売れることはわかっている。

しかし、Apple Watchは多くのiPhoneユーザーにとって必須ではない。
少なくとも現状では。Apple Watchは、「便利かもしれないが、ライフスタイルを選ぶ」製品に思える。

発表会で語られたApple Watchの主な機能は3つだ。「時計」「コミュニケーション」「フィットネス」である。ジョブズはiPod、電話、モバイルインターネットの3つの機能をひとつのデバイスにまとめ上げて世界を変えたが、Apple Watchはどうだろうか。

時計はiPhoneで確認するか、お気に入りの腕時計をつけるし、コミュニケーションはiPhoneで十分だし、フィットネスはそもそもしない。そんなユーザーをどこまで振り向かせることができるだろうか。

そんなユーザーはユーザーではないと切り捨てて、必要なユーザーにだけ届ければいいという考え方もあるかもしれない。
しかし、Apple Watchがそんな小さくまとまったニッチな製品として終わっていくのは残念でもあるし、Appleには停滞して面白みがなくなりつつあるスマートフォン業界をぜひもう一度引っ掻き回してほしいという思いもある。

●「必要な人だけ」が身に付けるデバイスになりそうな予感
○「Apple Watch」を否定的に思う2つの理由

前項では、否定的な思いを語ってしまったが、筆者個人としては、満を持して登場したウェアラブルデバイスの本命であるApple Watchにはヒットしてもらいたいと思っている。iPhoneが登場する以前、誰も今のような世界を想像していなかったように、Apple Watchでもう一度人々のライフスタイルに革命を起こしてほしいのだ。しかし、現状のApple Watchでは、何となく「必要な人だけが身につける」レベルの製品で終わりそうな予感もしている。

そう思う理由の一つは、腕時計を完全に置き換えることができていないということだ。たとえば、Apple Watchはバッテリーが最大で18時間しかもたず、1日に1度の充電が必要だ。時計だって24時間身に付けるわけではないが、少なくとも充電を気にすることはない。最大18時間ということは、ヘビーに使うならもっと短いわけで、朝つけたら帰宅する頃にはバッテリーがなくなっていることは大いに考えられる。
充電が切れてしまえば時計としても機能せず、ただのブレスレットになってしまうわけで、これはちょっと辛い。出先でこまめに充電してまで使うかといわれると、多くの人はそこまでして使いたくないのではないだろうか。

もう一つは、少なくとも現状では「Apple Watchでしかできないこと」が見えてこないことだ。iPhoneの通知を表示できる? カレンダーの表示? 音楽再生? それらはぜんぶiPhoneでできることだけど、果たしてApple Watchを使うことで誰の目にもわかるくらいに生活が向上するのか。正直、そうは思えない。ブルっと本体が震えたら、鞄か尻ポケットからiPhoneを取り出せばいいだけのことだ。4万円以上払って、iPhoneの機能の一部を腕に移植したいかというと……。多くの人はピンとこないんじゃないだろうか。


●サードパーティが産み出すキラーコンテンツに期待
○今のままでは押しが弱い、サードパーティに期待

Apple Watchは便利かもしれない。だけど、その便利さはフィットネスに熱心な人や、健康に気を遣っている人、あるいは電話やメールなど通知のたびに鞄からiPhoneを取り出すのが死ぬほど面倒だという一部の人にとっての便利さであって、大多数にアピールするにはまだちょっと弱い気がしている。要するに、キラーコンテンツがないのだ。

しかし、だからといってApple Watchが大コケするかというと、そうと決まったわけではない。というのは、Apple WatchはiPhoneと同じく、サードパーティがアプリを作って公開できるからだ。もちろん、Apple Watch以外のスマートウォッチでもサードパーティ製のアプリはあるし、実際に公開されているのだけど、Apple Watchの注目度を考えると勝負にはならないだろう。ここが、Apple Watchと他のスマートフォンの最大の違いであり、Apple Watchの勝機になりうる部分だと思う。

いわば、最初にAppleが用意した機能は「こんなことができるんだよ」というベース機能であって、もしかすると第三者が思いもよらぬキラーアプリを出してくる可能性もあるわけだ。
iPhoneもそうだった。必要な機能は標準アプリでだいたい網羅されていたが、後から出てきた何十万というサードパーティ製のアプリが、iPhoneの価値を飛躍的に高めた。

サードパーティのアプリなしにiPhoneがここまでブレイクしたとは思えないし、逆にいうと、Apple Watchにおいても、サードパーティ製のアプリ次第で、一般ユーザーを振り向かせられる可能性も大いにあるのではないだろうか。だとすれば、Apple Watchの先行きについて語るには、今はまだ早すぎるかもしれない。

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