職場のストレスだけがうつの原因ではない! 最近増えている「新型うつ」とは
3月は別れの、4月は出会いの季節である。学校、友人関係だけでなく、職場でも職員を送り出し、迎えいれる。新しく入社する人は、技能を身に付け活躍しようと希望に胸をふくらませ、一方で職場でうまく人間関係を築けるだろうかと不安を持つことだろう。
そして新入社員を受け入れる側も、人件費を抑えるために絞って採用した"精鋭"を教育し、組織に適応してもらい最大限のパフォーマンスを発揮してもらわなければならない。すなわち、受け入れてもらう側だけではなく、受け入れる側にかかるストレスも大きいのだ。
新卒社会人の3割が、3年以内に離職することを紹介した本が数年前にヒットして以来、新卒社会人と彼(女)らを受け入れる会社との関係は、事あるごとに何かとクローズアップされるようになった。
その関係に焦点が当たるときは、得てして何かしらネガティブな社会的出来事が背景に潜んでおり、そこにはストレスが絡んでいることも多い。ただ、"現場"では一筋縄ではいかないことも往々にして起きるのだ。
今回は桐和会グループの精神科医・波多野良二先生に、実際の診療をもとに「新型うつ」について解説してもらった。
○外出はできるが、職場には行けない新型うつ
波多野先生のところに、IT関連会社に勤めるAさんが訪れたのは、入社して間もない6月ごろだった。