韓国、月探査ローヴァーの試作機を公開 (3) 打ち上げまで残り6年弱、迫るタイムリミット
○2020年に間に合うか
KSLV-IIの開発が順調に進めば、2017年2月までにロケット全体の詳細設計が完了し、同年12月に75トン級エンジンのみ、つまりロケットの第1段と第2段のみでの試験打ち上げを行うとされる。そして2019年12月と2020年6月に、第3段も搭載した完成品の状態で、2回の打ち上げを行い、そして月周回探査機と月探査ローヴァーを2020年12月までの間に打ち上げるという。
しかし、このスケジュールは楽観的に過ぎ、実現はきわめて難しいであろう。例えばロケットエンジンだけとってみても、最初の打ち上げまで5年を切った今の時点でも、まだ一度も完成品のエンジンを使った燃焼試験は行われていないのだ。韓国はKSR-IIIで、13トン級のガス押し式エンジンを完成させた経験はあるため、第3段用の7トン級エンジンの開発は大きな問題を起こすことなく進められるかもしれないが、75トン級のエンジンの開発が難航する可能性は高い。また、第1段はこのエンジンを4基束ねる(クラスター化する)ため、さらに難易度は上がることになる。さらにロケットが飛行中に、液体燃料ロケットエンジンに点火する技術も、韓国はまだ未経験だ。