富士通研、小型デバイス用の超薄型ヒートパイプ - 従来比約5倍の熱輸送
富士通研究所は12日、厚さ1mm以下で従来比約5倍の熱輸送を可能とした薄型のループヒートパイプを、世界で初めて開発したと発表した。
ルートヒートパイプとは、熱源の熱を吸熱する蒸発器と、排熱する凝縮器が、ループ状に接続された熱輸送デバイス。ループ構造の内部に封入された冷媒が、毛細管現象を利用し熱移動。その後、熱源の熱により冷媒が蒸発する気化熱により、熱源の温度を下げることができる。
今回発表したループヒートパイプでは、銅薄板を重ねて微細な孔を持つ構造を開発。複数枚の銅薄板に、あらかじめ位置が少しずつずれるように設計した孔パターンをエッチングで形成し重ねることで、流体を循環させるための毛細管力を発生させた。この構造体がループの中で気体(蒸気)と液体の2つの流れを分離することで、高効率な熱輸送を実現。蒸発器へ液体を戻す液管内(パイプ)にも、毛細管力を発生させる構造を採用した。
また、厚さ0.1mmの銅薄板を、表裏面2枚と内層4枚の計6枚を一括形成することで、従来実用には厚さ10mm程度が必要であったループヒートパイプの蒸発器を、厚さ0.6mmまで薄型化した。
これらの新開発技術により、高い熱伝導率のシート材料や薄型のヒートパイプに比べて約5倍の熱輸送を実現したとする。