NTTなど、量子センサ実現へダイヤモンド中電子スピンの寿命の改善法を確立
NTTと国立情報学研究所(NII)、大阪大学、情報通信研究機構(NICT)は、ダイヤモンド中に閉じ込められた電子スピンに超伝導磁束量子ビットを結合させることにより、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命が約10倍に伸びることを示したと発表した。
今回の研究成果は、2015年3月23日に「Physical Review Letters」で公開された。なお同研究の一部は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)、JSPS科研費No. 25220601、NICTの委託研究「量子もつれ中継技術の研究開発」により得られたもの。
ダイヤモンド中の電子スピンは、数十nm程度の局所領域に閉じ込めることが可能であり、磁場や電場や温度を高い精度で検出できることから、ナノスケールの物質構造などを高精度でイメージングできるとされる量子センサへの応用が期待されている。しかし、ノイズが存在する環境下では寿命が短くなることから十分な計測時間の確保ができず、センサとしての感度が劣化するという問題点があり、ダイヤモンド中の電子スピンの寿命の向上は大きな課題となっている。
NTT物性科学基礎研究所、NII、大阪大学、NICTの研究チームでは、2011年に複数のダイヤモンド中の電子スピンと設計自由度が広く拡張性が高い超伝導磁束量子ビットという2つの異なる系をハイブリッド化した量子メモリの実現に成功。