人に聞けない相続の話 (6) 「法定相続分どおり平等に分けて円満」ってホント?
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース6】
平成26年3月、数年前から患っていた病気が原因で母が亡くなりました。
享年75歳、仲の良い息子2人が揉めるはずもないし、相続税も関係なさそうだしと「遺言書」などは特に残していませんでした。
長男「自宅は自分が取得し、現預金を次男が取得するしかないだろう」。
次男「母親の財産は、法定相続分である2分の1ずつきっちり分けたい」。
母親の財産は、長男家族と同居していた東京の自宅5,000万円と現預金1,000万円の合計6,000万円。
両者の主張は妥協点を見いだせず、母親が亡くなって、すでに半年が経過していました。
次男の要求を満たすためには、自宅を2分の1の共有にし、1,000万円を500万円ずつ分けるしかないのでしょうか。
【診断結果】
相続がもっとも"争族"になりやすいのは、遺産が「自宅と現預金少し、相続人複数」というケースです。
遺産の大部分が自宅の場合、相続人間で平等に遺産を分けられないので、揉めてしまいます。