エジプト労働記 (43) 店員さんが持ってくるもの
【欲しいのはそれじゃない…!】
伝統的な女性服「アバーヤ」を買いにいったときのことです。アバーヤは長袖と足元まですっぽり覆う長裾ワンピースのような服で、基本は黒。それだけ聞くとすごく地味なイメージがあるのですが、金、銀、紫、青、赤などの色とりどりの刺しゅうやレース・ビーズの装飾が施されているので、実は結構かわいいのです。
ただし、1つ1つデザインやフォルムが違うので、自分好みの1着を探すのは一苦労。服屋さんで自分のお気に入りを探すべく大奮闘する必要があるのです。店内を見て回りつつ、店員さんにも「こんな感じのを探しています!」と伝えてアバーヤ探しを手伝ってもらうことに。
使える手段は全て使います。
しばらくたって店員さんが持ってきてくれたアバーヤ。あれ、私の希望が30%も入っていないのは気のせいかしら…? 欲しいものとデザインがぜんぜん違うのは、うまく伝わっていなかったせいかも…。悪いなあと思いながらも「それは欲しくないです」と断りをいれ、店内の物色を再開しました。
一通り見てみたものの、これという1着はなかなか見つかりません。今日は収穫ゼロかも…と疲れを感じ始めたそのとき、ふと見上げた場所に飾ってあったアバーヤが目に入りました。え、すごくかわいい! 欲しい! しかしながら、そのアバーヤの装飾は紫系。残念なことに、私は紫が似合わないのです。
とはいえ、ここで諦めるのは悔しい。あるならば同じデザインで緑色のやつが欲しい…。そんな思いでさっきの店員さんに「あれと同じデザインで緑色のってありますか?」と聞いてみました。そうすると店員さんから、「あるよ!」との答えが! 倉庫から探して持ってきてくれるとのこと。やった―!
ウキウキしながら待つこと数分。お兄さんが「これだろ」とドヤ顔で持って来たのは欲しいものと似ているようで似ていない1着。何と言えばいいのでしょうか、惜しい感じで似ていないもの。飾ってあるアバーヤは前面に装飾が施されているけれど、持ってこられたのは背面に似たような装飾がされているんです…。
何だろう、この、「もやもや~」とした感じ。一応緑色だけど…。
お兄さんはなぜ、これを持ってきたんだろう。こういう細かい差異は気にしないのかな…ともやもやと疑問は深まり、購買欲がどこかへ薄れていきます。せっかく持ってきたので一応見てみましたが、やっぱり気にいらなかったので購入にはいたりませんでした。
おろぐちともこ
大学で古代エジプト史を専攻し、2011年よりカイロ在住。日々、エジプト人観察に励む。
現在はWebやエジプト人による日本語雑誌の漫画を執筆したり、デジタルアシスタントをしたりと、国境を越えて活動中。
至上の喜びは、素敵なカフェで水タバコの煙をゆらしながらぼけっとお茶をすること。生活記Blogつぶえじでは、現地の生活の様子を不定期に発信している。
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