Dropbox、ビジネスユーザー100万人獲得を目指す - ソフトバンク C&Sと業務提携
Dropboxは、今後5年間で日本におけるビジネスユーザー100万人の獲得を目指すという。同社は7日、ソフトバンク コマース&サービスとの業務提携を発表。ビジネス向けツール「Dropbox for Business」を展開するなど、法人に向けたサービスを拡充中している。本稿では、同日都内で開催された記者説明会の模様をお伝えする。
○ソフトバンク C&Sとの業務提携で事業を加速
記者説明会の冒頭、DropboxのCEO兼 共同創業者であるドリュー・ハウストン氏が登壇して挨拶した。グローバルでは数億人が利用しているDropbox。日本国内においてもユーザー数が1,000万人に達するなど、日増しに存在感を強くしている。
ハウストン氏は「2014年10月に、東京に日本支社を開設した。
日本では今後5年間で、ビジネスユーザー100万人の獲得を目指す。今回のソフトバンク C&Sとのパートナーシップにより、事業を加速していけるのではとワクワクしている」と話した。
●電通でも取り入れられている「Dropbox for Business」
○会社のツールよりも評判が良いDropbox
ハウストン氏に続いて、ドロップボックス ジャパン 代表取締役社長の河村浩明氏が登壇。国内市場における事業戦略について説明した。河村氏は、日本のビジネスユーザーの5人に4人が会社でのファイル同期と共有ソリューションに満足していないという調査結果を紹介するとともに「会社のツールより、個人で使用しているDropboxの方が使い勝手が良いとの声も多くいただいている」と話した。
河村氏は、企業の導入例として電通のケースを紹介。電通では従来、メールやUSBメモリ、DVDなどでデータのやりとりを行っていたが、データ量が増加したことで仕事に支障が出るようになった。そこでDropbox for Businessを導入したところ、メディア送付の手間がなくなり、コストも下がり、クライアントと何度もやりとりが行えることで品質も向上したという。
「日本の労働生産性は、世界トップとされるノルウェーの半分。仕事のしやすさでは29位となっている。いまだ多くの企業で、社用PCの持ち出しを禁止しており、仕事を家庭で行うことも禁止しているのが現状」と河村氏。今後、労働力人口の減少が危惧されている日本において、家庭でも仕事が共有できるDropbox for Businessは有用なツールになるのではないか、とアピールした。
日本市場における特徴として、有料ユーザーの利用率の高さがあげられるという。河村氏は「今後、Dropbox for Businessの知名度を上げ、安全性や機能性をご理解いただければ、まだ爆発的にユーザー数が増える余地がある」と分析。これにより「日本企業の生産性を飛躍的に高める手助けをしていきたい」と意気込んだ。
●セキュリティにも万全の体制
○日本で有料ユーザーの利用率が高い理由は?
発表会後は質疑応答の時間が設けられた。
競合製品との差別化要素について問われると、ハウストン氏は「スケールの違いにある。Dropboxのプラットフォームでは、既に30万のアプリが動いており、10万社がビジネスに導入している」と回答。日本で有料ユーザーの利用率が高い理由については「一度、生活の中にツールを取り入れると、その後はお金を出すことを厭わない人が多いためではないか」(同氏)と分析した。
セキュリティ体制に関する問いには「個人情報を扱っているため、万全の態勢をとっている。Googleでセキュリティを担当していた人間なども、弊社の開発チームに携わっている。今後、業界のパートナーと協力し、パスワードの安全性をより高めていくなどの対策をとっていきたい」(同氏)と答えた。
また、データセンターを国内に置く考えについて河村氏は「ストレージをクラウドで提供する、という事業は先行投資がかさむもの。コストを下げるために、データの集積化が必須になる。
競合他社では売り上げと同じくらいの赤字を出している」と話し、データセンターを2か国に設置するのは困難との考えを示した。
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