人に聞けない相続の話 (8) 「相続は放棄しますという妹」 - その時の兄の勘違い
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース8】
5年前、母が無くなりました。
相続人は、父と私と妹。
母は、相続税評価で約5,000万円のアパートと現預金約3,000万円を所有していました。
父の強い意向で、「母の財産はすべて妹が相続し」、父が亡くなった時には、「父の財産(約1億円)を全て私が相続する」という約束をして、母の財産はすべて妹が相続しました。
当時妹は、「父が亡くなった時は、私は放棄するから」と言っていました。
最近、妹の子供が大学に入学するという事で、父に300万円ほど教育資金の援助を求め、父もそれに応じたようです。
妹と父のやり取りを見ていると、父が亡くなった時、本当に約束どおり父の財産をすべて相続することが出来るのか不安になってきました。
何か良い方法はないでしょうか?
【診断結果】
お父さんが亡くなった時に、妹さんが法定相続分の権利を主張すると、残念ながら2分の1の財産しか相続することが出来ません。
それでは約束が違うではないかと納得できない気持ちはわかりますが、「お母さんの相続」