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悪霊の日から静寂の日に!? バリ島最大の奇祭「ニュピ」はこんなに楽しい!

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悪霊の日から静寂の日に!? バリ島最大の奇祭「ニュピ」はこんなに楽しい!
●さすが神々が棲む島・バリ! 悪霊が闊歩する祭りはリアル"進撃の巨人"だった
"神々が棲む島"とも称されているインドネシア・バリ島。しかし、そんなバリ島に悪霊や暗黒の神が闊歩する1日があることをご存知だろうか。そしてその翌日は一転して静寂に包まれる。そんな神秘なるバリ・ヒンドゥー教最大のお祭り「ニュピ」とその前夜祭「オゴオゴ祭り」を体験してみた。

○年に一度の大掃除に楽隊も

ニュピはバリ・ヒンズー教の暦「サカ暦」にて新年に当たる日で、今年で1937年目となる。ニュピを迎えるために、各村は年に一度の大掃除ならぬ大切な儀式が催される。

各寺院の御神体を海岸や川に送り浄化したり、大自然の恩恵に感謝するお供えを捧げてお祈りをしたり。また、陰陽を模した白黒の布を巻くほか正装した村人が、バリ島の伝統音楽ガムランの楽隊を率いて練り歩く。
その華やかさは、まさに盆と正月が一緒に来ているようなにぎわいだ。

○3m級の神々の中にはちょっと陽気なものも

そして、この大掃除は冥界でも行われる。ニュピの前日は「ムルプ」という月が隠れる暗月の日。その日に冥界の神々も大掃除をし、悪霊と暗黒の神「カロ」が人間界の地上に這(は)い出してくると言われているのだ。そのため、地上では悪霊退治の祭り「オゴオゴ祭り」が始まる。

この悪霊退治のクライマックスは夜にやってくる。悪霊や鬼に似せたハリボテ人形「オゴオゴ」を乗せた山車を村人たちが引き回し、街中を練り歩く。ハリボテというのでゆるキャラ感を期待していたのだが、これがかなりの精巧さ。
街の中心部では高さ3mくらいはありそうな本格的な人形もあり、まるでリアル「進撃の巨人」なのである。

オゴオゴには男女の性別もなく、人型もあれば怪獣、ヒンドゥーの神、最近ではサーフィンなど現代のものを取り入れたものなどまで何でもあり。強面ではあるもののどこか愛らしさや人間らしさを感じるのは、南の島ならではかもしれない。

各村単位で練り歩いているので、小さな村では子ども山車もあり微笑ましい。街に漂う悪霊がオゴオゴを仲間だと思って中に入リ込む。そのオゴオゴは最期に燃やされ、本来の姿である神へと転化するのだという。一方、オゴオゴの中には御供えされず魂が入っていないゆえに、"ただの人形"と認識されてニュピが終えても燃やされず、そのまま展示されているものもある。並行するガムラン隊の音楽と相まって、厳かな雰囲気と子供たちの楽しそうなお祭りの高揚感で新年を迎える準備は万端だ。


そして翌日、夜明け前からニュピが始まる。この1日は電気も火も使わず、そして外出禁止に仕事も禁止。殺生も禁止。店も主婦も休業。空港も閉鎖。テレビ放映も休止。そう、全ての活動が休止なのだ。

これは外国人旅行者にも適用され、非常事態を除き、滞在中のホテルからの外出を制限されることとなる。
「せっかくバリ島に来たのに遊べないのか……」と思ってしまうかもしれないが、ニュピだからこその楽しみ・味わいはいろいろある。そんなニュピを120%楽しむ5つの方法を紹介しよう。

●これぞバリリゾート! 神聖なる奇祭「ニュピ」を120%楽しむ5つの方法
○外出禁止な時こそリゾートライフの本領発揮

島全体が静寂に包まれるニュピ。この日、人々は外出も労働もせず、精神修養に専念し新たな1年を迎える準備をする。つまり、完全にリセットをする日である。そんな1日を過ごすのにとっておきの場所が、バリ島の文化芸術の街・ウブドにあるヴィラ・リゾート「ザ・ロイヤル・ピタマハ」。このホテルはスカワティ王家が所有・経営する渓谷のヴィラ・リゾートだ。

ピタマハはウブドでも有数の高級リゾートホテルが点在する、アユン渓谷沿いの川べりに自然を活かして建てられている。
ロビーからつながるテラスに足を踏み入れると、眼下に広大な渓谷が広がる。ここ全てがホテルの敷地で、なんと12ヘクタール。およそ東京ドーム2.5個分の広さを誇る。

自然を壊さず元来の地形を活かして建てられているため、ロビーからは渓谷が、アユン川沿いからは断崖を見上げる絶景が広がっている。この地は天女が降りてきた場所とされ、断崖には天界の扉があると言われているのだそう。敷地内に9つの寺院を配し土地の神様が祀(まつ)られており、"神宿るバリ島"をなんとなく感じられそうな場所なのだ。そこで今回、ニュピを120%楽しむための5つの方法を紹介しよう。

○1)ニュピの朝は川沿いヨガで瞑想

ニュピの朝は本当に静か。
テレビの音もなく、調理の音もない。敷地内は全て階段だが、一段ずつ踏みしめながら上り下りすると、自然と歩みもゆっくりになり朝のすがすがしい空気を味わえる。滝や樹木、コイなど渓谷の生命を感じながら、川沿いのヨガスペースへ。アユン川のせせらぎを聞きながらのヨガは、マイナスイオンに包まれて気分爽快!

○2)お姫様ベッド&プライベートプールで解放

ヴィラのベッドルームは、女子憧れの通称"お姫様ベッド"。いわゆる貴人の寝台・天蓋(てんがい)付きベッドだ。ヴィラ1棟の敷地面積は300平方メートル(90坪、180畳)という広さで快適この上なし。

ほぼ全室にあるプライベートプールは30平方メートルとバリ島でも随一の大きさで、快適にクロールを楽しむことも可能。隣のヴィラから距離もあるので、開放的に過ごすもよし、完全プライベートな空間を楽しむのもよし。
快適なヴィラステイを満喫できる。

○3)とろけるスパで身心の疲れもそぎ落とす

ホテル内にあるバリ島でも有数の人気スパ「ロイヤル・キラーナ・スパ&ウェルネス」は、もともと資生堂が運営していたもの。そのため、日本人も大満足のきめ細かい施術で身体中をとろけさせてくれるのだ。

併設するスパ・ラウンジ&ガーデンには、ハーバルミストサウナ、ドライサウナ、パウダールームなど完備。女性専用ジャグジーや男女共用のプールもあり、マッサージ後も優雅にリラックスタイムが過ごせる。メニューは「リバイタライジング ボディ マッサージ」(60分/75USドル=約9,000円)などがそろう。オリジナルのハイビスカスを使ったオイルマッサージは、バリ島でもここだけとか。

○4)夜はバリ島の正月料理に舌鼓

ニュピの日は料理も特別。ニュピでは火の使用が禁止されているため、日本のおせち料理のように作り置きできる料理が基本となる。「ザ・ロイヤル・ピタマハ」でもこの日だけの特別メニューとして、バリ島正月料理のビュッフェを提供している。

前菜、スープ、牛・豚・魚料理、デザートと約15種ほどの料理がカラフルに並んでいて食欲をそそられる。ウブドならではのパパイヤや肉を使った山の料理から、魚や海藻を使った海沿いの料理など、各地のバリ島正月料理が一度に味わえるのは魅力的だ。

○5)灯を全て消せば、夜空から星が降ってくる

ニュピの前日はムルプという月が隠れる暗月の日と決まっているため、ニュピは毎年新月の日。つまり、空は真っ暗なのだ。明かりがなくなった途端に、一気に浮かび上がるかのような満天の星空。途切れることのない天の川や、日本では見られない南半球の星空を夜通し見てても飽きない。21時の全館消灯になると、さらに夜は深まる。"トッケ"と鳴くヤモリ「トッケ」の鳴き声や、川のせせらぎなどが聞こえてきて、これぞリアルなヒーリングミュージック! バリ島に訪れるまで、"静寂の中、何もしない一日"に何をすればいいのかと身構えてしまっていたが、実はのんびりしていても1日なんてあっと言う間だった。

何かとスッキリした充実感さえ感じられるニュピ滞在。次回は、暦上では3月9日と先になってしまうのだが(正式日程は夏頃に確定)、バリ島の神秘とともに心身ともに癒やされる1日を目指して、バリ島旅行を計画してみるのもオススメだ。

おまけだが、ニュピの日に限らず、ヴィラの入り口には部屋ごとに表情の違うカエルの石像が置かれている。こちらはカエルの神様で、訪れる人々を守ってくれているんだとか。カエルのほか、敷地内のあちこちに様々な石仏のような石像がある。"生きとし生けるもの森羅万象に神は宿る"という、日本古来の考え方も思い起こさせてくれる。

※取材協力: ガルーダ・インドネシア航空
※記事中の情報は2015年3月取材時のもの。USドル=約120円で換算

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