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キヤノン「EOS M3」実写レビュー - 3代目「M」で楽しむ春の東京散歩

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キヤノン「EOS M3」実写レビュー - 3代目「M」で楽しむ春の東京散歩
●チルトモニターとEVFで広がる写真の自由度
キヤノンの「EOS M3」は2,420万画素センサーを備えた同社ミラーレスの新顔だ。これまでに発売した「EOS M」と「EOS M2」からデザインを大きく変更し、新たにチルト可動式モニターを搭載。機能、操作性、画質まであらゆる点をブラッシュアップしている。前回の試作機インプレッション「ここが変わった! 「EOS M3」と「EOS M2」実機比較」に続き、今回はEOS M3製品版の使用感と画質をチェックしよう。

○構図とアングルのバリエーションが増える

まずは、春の花が咲き誇る昭和記念公園に出掛けてみた。1枚目の写真は、標準ズームの55mm側を使って、絞り開放のF5.6で写したもの。特に明るくはない一般的なF値の標準ズームだが、こうした近接撮影の場合には背景はほどよくぼけて、立体的な描写が得られる。

新搭載したチルト可動液晶は、写真に変化を与えるのに役立つ。
下の写真は、カメラを低く構えて写したもの。同じくズームの55mm側での撮影だが、高い位置から撮った上の写真とは少し違った雰囲気が生まれた。

次もローポジションで撮影。逆光気味の弱い光を生かし、倒れかかった花の曲線美を狙った。ピントを合わせた部分はシャープに解像され、花びらの質感がリアルに再現されている。

ローポジション撮影に限らず、ハイポジションやハイアングルで撮る際も、チルト可動液晶が活躍する。下の写真は、開いたチューリップの花をほぼ真上から捉えたもの。外部ストロボの光を花の左側面から照射している。


同じくハイポジションを選択し、ポピーの花を撮影。キット付属の標準ズームレンズ「EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM」は最短撮影距離が短く、こうした花のクローズアップ撮影用にうってつけだ。

●ディテールまでくっきり解像する精細な描写力
両国にある旧安田庭園に移動し、今度は屋外の風景を狙ってみた。下の写真は、EOS M3 レンズキット付属の標準ズーム「EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM」を使用し、ワイド端となる18mm側とテレ端の55mmで写したもの。新搭載した有効2,420万画素センサーは精細感が高く、木の枝や葉っぱ、建物の外壁など被写体の細かい部分までをくっきりと描写できている。EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STMの光学性能については、18mmの絞り開放値では画像周辺部がやや甘くなるが、F5.6~8に絞り込むことで四隅までシャープな描写が得られる。55mm側は開放値から良好。1段絞るとよりキレ味がアップする。


次は、ダブルズームキットに付属する望遠ズーム「EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM」の200mm側で撮影。羽根の質感を克明に表現できた。この望遠ズームを使う際は、新対応したオプションのEVFを使うのが便利だ。EVFの接眼部を額に押し当てるようにして構えることで、手ブレのミスを最小限に抑えられる。

●薄暗いシーンでも心強い良好な高感度画質
続いて江戸東京博物館を訪れ、展示品のスナップ撮影を楽しんでみた。館内は薄暗く、ストロボ撮影は不可のため、高感度を積極的に利用したが、画質を損ねるノイズはあまり見られず、ノイズ低減処理による解像感の低下も気にならない。

次の写真は、ピクチャースタイルを「モノクロ」にして撮影した。その次のカットではホワイトバランスを「日陰」にセットして夕日の赤みを強調した。
EVFを通して、こうした各種機能による発色の調整結果をリアルタイムで見られる点が便利である。光学ファインダーに勝るメリットだ。

今回の試用では、EOS M3にズームレンズ2本という軽装備のスタイルで、散歩がてらのスナップを十二分に楽しむことができた。小型軽量ながらマニュアルをはじめとする各種撮影の自由度がある。多くの場所で狙いどおりの写真を撮ることができ、満足感は高い。

画質に関しては、新開発センサーによる高解像の表現力と、シーンを問わず安定感のある発色性能、新エンジン「DIGIC 6」による低ノイズ性能を確認できた。数あるミラーレスカメラの中でも、ハイレベルな画質といっていい。

惜しいのは、AFが既存モデルに比べて確実に高速化したのだが、それでもまだ十分に快適とはいえないこと。
明るい場所での風景撮影なら問題ないが、薄暗いシーンや動体撮影には力不足を感じる。適宜マニュアルフォーカスに切り替えるなどして対応したい。

チルト可動液晶とオプションのEVFについては、構図の幅を広げる仕掛けとして大いに役立った。軽いフットワークで持ち運び、凝ったアングルでの撮影が気軽に楽しめるカメラ、といっていい。

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