NTT、光の送受信装置のみで長距離量子通信を可能とする量子中継方式を発表
同成果の詳細は、4月15日付(英国時間)で英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。
量子通信の中でも量子暗号は100km程度の距離であれば、すでに海外では製品化されているほか、日本でも試験運転が行われている。しかし、光ファイバ中の光損失に抗して、量子通信をより長距離化するためには「量子中継」が必要であり、実現するためには光の送受信装置に加えて、「物質量子メモリ」が必要であるというのがこれまでの定説となっていた。
今回研究チームが提唱した方式は、物質量子メモリのメモリ機能を利用する際の待ち時間から生じる量子通信速度の制限がかからないため、通信距離によらず、光デバイスの動作速度と同程度の通信速度を実現することが可能。また、物質量子メモリと、通信用の光子を結ぶための「量子情報インタフェース」も不要となるほか、光デバイスのみに基づくため、常温動作が可能で、雑音を抑える目的で用いられる冷却装置も不要、という特徴もある。
さらに、全光量子中継は(全光)量子コンピュータに比べ容易な技術である事が理論的に保障されていることから、全光量子中継に必要となる光デバイスを発展させていくことが全光量子コンピュータの実現につながると研究チームでは説明しているほか、既存の全光量子コンピュータに加え、長距離量子通信も光子のみで実現可能であることが示されたことは、任意の量子情報処理が「光子」を統一的な言語として書き下せることを保障しており、これまで「通信」と「計算」とで個別に議論されてきた量子情報処理を統一的に理解することを可能にするとも説明している。
なお、研究チームでは、同方式は理論の枠組みの中で産声を上げたに過ぎないが、線形光学素子、単一光子源、光子検出器、アクティブフィードフォワード技術に関する光デバイスの研究を進めていくことで、将来的な全光量子中継の実現、および量子インターネットの実現に繋がっていく可能性が示されたとコメントしている。
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