バッファローの新「おもいでばこ」はどう進化? - 撮りまくったファミリー写真を楽チン整理・集約・再生
子どものいる家庭にはぜひオススメしたい。心からそう思っていた製品がある。それがバッファローのフォトストレージ「おもいでばこ」だ。その「おもいでばこ」が2015年3月にフルリニューアル。2TBの大容量モデルを新たに用意するとともに、外観や使い勝手がブラッシュアップされたのだ。その実力をチェックしてみよう。
まず最初に、個人的なことに触れておきたい。筆者には5歳の長女を筆頭に娘が3人もいる。
筆者は第2世代目となる前モデルの「PD-100Sシリーズ」から「おもいでばこ」を愛用しており、5年分の子どもたちの写真と、長女が生まれる前の結婚後の写真は、ほとんど「おもいでばこ」に保存した状態だ。家族で写真を見る時はほぼ「おもいでばこ」を使っている。
○新しいおもいでばこ、どこが変わった?
おもいでばことは、HDDを内蔵したフォトストレージで、デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像を保存しておける。主にテレビに接続して、写真を映し出して楽しむ。テレビで見られるアルバムという認識でOKだ。
では、新しくなった「おもいでばこ」を見てみよう。以下の写真を見れば外観が大きく変わったことが分かる。本体サイズは従来モデル比で約54%に小型化し、形は丸みを帯びた。
もちろん、中身もブラッシュアップされている。HDDレコーダーで培った技術をベースにして従来モデルを開発したのに対して、新モデルはゼロベースで開発し直した。加えて、新たに高速CPUを採用したことにより、写真の切り替えや一覧表示はパッと見て分かるレベルで高速化を実現している。
新機能として注目したいのはWi-Fi機能だ。前モデルでは、本体のUSB端子に付属品の「無線LANアダプタ(子機)」を取り付けることでWi-Fi接続が行えるようになっていた。しかし、新モデルではWi-Fi機能を内蔵しているため、アダプタなどを取り付ける必要はない。
また、おもいでばことスマートフォン・タブレットを直接接続できる「おもいでばこスポット」機能も追加した。おもいでばこのSSIDにスマートフォン・タブレットからアクセスするだけで、スマートフォン・タブレットからおもいでばこへ写真を転送したり、逆におもいでばこ内の写真をスマートフォンで表示したりといったことができる。
おもいでばこスポット機能によって、Wi-Fiルーターのない環境でも写真や動画の保存・閲覧が可能になったのだ。
また、従来モデルでは500GBと1TBだったHDD容量は1TBと2TBに増加。2TBモデルは1,000万画素相当の写真なら40万枚の保存ができるという。筆者の持っているデジタルカメラ、スマートフォンは800~2,000万画素なので、20万枚以上は保存できそうだ。
●家族の思い出がおもいでばこへ集合
○おもいでを集約
デジタルカメラ写真を保存するフォトストレージというと、パソコンの周辺機器のように思われるかもしれないが、おもいでばこを接続するのはリビングなどにある液晶テレビだ。おもいでばこ背面にHDMI端子があるので、付属のHDMIケーブルでテレビと接続するだけ。基本的な操作は付属のリモコンで行う。
おもいでばこの本体前面にはSDカードスロットと「取り込み」ボタンが配置されている。
デジタルカメラから抜いたSDカードをスロットに差し込み、取り込みボタンを押す。写真の取り込みはこれだけでOKだ。フォルダを作る、保存先を選ぶといった操作は全く必要ない。
取り込んだ写真は、すべて写真に記録されているExif情報をもとに、カレンダーに登録。このとき、複数のデジタルカメラで撮った写真もすべて日付によって一元化される。
おもいでばこが分かりやすいのは、この日付管理機能のおかげだ。例えば、過去に取り込み済みの写真が入ったままのSDカードをおもいでばこにセットしても、日付などの情報から重複写真をチェックし、おもいでばこにまだ保存していない写真だけを取り込んでくれる。このため、パソコンで写真を管理している時のような重複保存が発生せず、HDD容量を無駄に消費することがない。
○操作は分かりやすく、動作は俊敏
おもいでばこに取り込んだ写真はカレンダーにまとめられる。新おもいでばこもインタフェースは従来モデルと共通。カレンダーから見たい年月、日付を選ぶことで、サムネイル一覧や拡大写真がテレビ画面一杯に表示できる仕組みだ。
はっきりいって、おもいでばこの写真表示は従来モデルでも十分に速かった。写真の表示で待たされることもほとんどなく、スクロールしていてイライラした記憶はほぼない。
しかし、新モデルは明らかに、より速くなった。ほんのわずかな待ち時間すらないため、機器の操作に意識が行かず、写真の世界にさらにどっぷりと浸れるようになった。この表示の速さは、スマートフォン・タブレットから利用した時、さらに顕著になる。
例えば、従来モデルにiPad miniからアクセスして、保存画像の一覧を読み込もうとすると、表示されるまでに若干の時間がかかっていた。ネットワーク経由で写真を見ている限り仕方がない、と思えるレベルなのだが、同じ操作でもほとんど遅延なくサムネイル一覧が表示される新モデルを使うと、今までこんなにも待たされていたのかと驚いた。
おもいでばこに写真を保存しておけば、古い写真をスマートフォンやタブレットに保存しておく必要はない。これは従来モデルを使っている時も思っていたことだが、新モデルの速さを味わって、さらにその思いを強くした。スマートフォンの内蔵メモリに保存している写真を探す時と表示スピードがほとんど変わらないのだ。専用アプリを使う必要はあるものの、これならおもいでばこの最大2TBというHDD容量に、スマートフォンやタブレットのストレージと同じ感覚でアクセスできそうだ。
●パソコンに詳しい人にはこんなツールもオススメ
○バックアップを取ることを推奨
小型化と高速化、そして大容量化を同時に実現した新おもいでばこを、発表されてから約3週間ほど試してみた。従来モデルに保存していた写真を外付けHDDにバックアップし、それを新モデルで復元する。
さらに自分のスマートフォンや妻のスマートフォン、複数台のデジタルカメラに保存されている写真も次々にアップロードしていった。
おもいでばこはネットワークに接続することで、パソコンから写真を転送することもできる。筆者は、仕事の写真と子どもなど家族の写真どちらを撮る時にも、同じデジタル一眼を使用している。公私の写真が混在しているので、いったんすべての写真をパソコンへ転送後、家族の写真だけをパソコン用ソフト「おもいでばこ とりこみ・かきだしツール」を使っておもいでばこへ転送するという使い方をしている。余談だが、仕事とプライベートでメモリーカードを分けようとしたこともある。しかし、メモリーカードを入れ忘れるという痛恨のミスをしたことがあるため、できるだけ抜かないことにしているのだ。
このとき、「2015家族旅行」などイベントごとでフォルダにまとめてから写真を転送すれば、おもいでばこ上でフォルダをアルバムとして登録することもできる。パソコンやデジタル機器に詳しくない人にも使い勝手がいいおもいでばこだが、詳しくて精通している人向けにも便利な使い方が用意されているのも魅力なのだ。○完成度がアップしたおもいでばこは、ファミリーの必需品
デジタルカメラで撮った写真をすべておもいでばこで管理すると決めてしまえば、これほど簡単なことはない。スマートフォン・タブレットには専用アプリをインストールするだけで簡単にワイヤレス転送ができる。デジタルカメラで撮った写真はSDカードを挿すだけで一気に吸い出せる。
家族の写真がすべておもいでばこにあれば、幼稚園や小学校などの行事で写真が必要になったとしても、すばやくベストな一枚を探し出せる。例えば、機械に強いお父さんがパソコンで写真を管理していたりすると、お母さんのスマートフォンに入っている写真は抜けてしまっていたり、忙しい時にプリントを頼まれて、良い一枚が見つからずに対応できなかったりと、写真に関する家族間のトラブルは決して少なくない。それらも、おもいでばこで解決できる。
さらに、おもいでばこがあることによって、古い写真を見る機会が増えることにも触れておきたい。ホーム画面に表示される「おもいで散策」で、懐かしい写真に出会えるほか、特定の日の写真を数年分に渡って表示するといったことも簡単にできるのだ。子どもの誕生日を選べば、生まれた日、1歳、2歳……、と成長する姿を一覧できる。こういった、数年分の数百枚、数千枚の写真から条件に合った写真だけを表示するのも、おもいでばこの得意な機能だ。
たっぷりの写真を余すことなく保存できる、複数のデジタルカメラ、スマートフォンの写真をまとめて保存できる、そしてたまった写真をさまざまな条件で、自然にそしてすばやく見返すことができる。「家族」ができたら「おもいでばこ」をぜひオススメしたい。