新「Music」「Video」から見るWindows 10時代のコンテンツサービス - 阿久津良和のWindows Weekly Report
○必要最小限の機能にまとめた「Music Preview」
Music Previewを起動すると簡素なウィンドウが現れる。Music Previewで使用できるのは、個人の音楽コレクションに関する操作と再生リストの作成のみ。以前の「Xbox Music」でオンライン購入した楽曲は自動同期せず、ローカルデバイスに保存したコンテンツの再生にとどまっている。
上図のようにWindows appの基本UIデザインは、左側にツールボタンが並び、アクションコントロールはアプリバーが開いたような形状だ(マウスポインターが移動した際はアクションコントロールが非表示になる)。
Music Previewで参照できる楽曲は既定の「%USERPROFILE%\Music」フォルダーのみだが、ユーザーは必要に応じて監視フォルダーを追加できる。
楽曲の再生中に<Now playing<ボタンを押すと、メイン部分にジャケットや楽曲名が現れる。<Go Full screen<ボタンを押すと、タイトルバー以外をすべて非表示にするフルスクリーンモードで楽曲を楽しめる仕組みだ。なお、コンパクトモードも後日追加される予定なので、作業をしながら楽曲を楽しめそうだ。
気になるのは音楽CDからのリッピング機能である。Windows 10 Technical Previewは、Windows Media Player 12を搭載しているが、こちらはWindows 7以降バージョンアップしていない。さらにMicrosoftはデスクトップアプリからWindows appへの移行を宣言しているため、新バージョンが出る可能性も乏しい。WMP 12をそのままにユーザーの移行をうながすのであれば、リッピング機能やDLNAサーバーとの連動など、新「Music」に搭載すべき機能は多い。
○コンテンツ管理をストアに集約
「Video Preview」もプレビュー版だけあって、使用できる機能は限られているが、Music Preview同様にローカルコンテンツ(ファイル)の視聴に加えて、Xbox Videoで購入したコンテンツもサポート。あるデバイスで途中まで視聴したコンテンツの続きを、別のデバイスに引き継いで視聴できる機能も搭載している。筆者は、AVI/MP4形式の他にMKV(Matroska Video)やMTS(AVCHD)、TS(MPEG-2)形式ファイルで試してみたが、いずれも問題なく再生できた。
現時点では再生機能のみで必要最小限のアプリケーションという印象だが、今後は映画やTV番組のオンライン購入や対応デバイスの管理といった機能を加えるという。そこで気になるのが、新Windowsストアに加わった「映画とテレビ」タブだ。Microsoftは3月に「映画とテレビ」タブを加えたが、4月9日からストア内のページでビデオのレンタルや購入を可能にした。この対象範囲は米国やカナダと並んで日本も対象に加わっている。だが、よく見るとコンテンツはWindowsストアアプリの「ビデオ」から購入できるものとまったく同じだ。
SD動画レンタルは411円、HD動画レンタルは511円と価格も同様である。
さらに新Windowsストアは「音楽」タブを今後数週間のうちに追加すると述べていることから、Windows 10におけるコンテンツ購入をアプリケーションベースから「ストア」へ移行・集約させるつもりなのだろう。もともとこれらのコンテンツサービスや、Xbox VideoやXbox MusicをWindowsプラットフォームに取り組んだものだけに、Windows 8.x時代は歪な印象を受けるものだった。今夏リリースのWindows 10で、ビデオオンデマンドやストリーミング、ダウンロードサービスは一つの完成形を迎えることになるだろう。
阿久津良和(Cactus)
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