「Xperia Z4」は、グレートインパクトはないが着実な進歩が見られるスマホに
ソニーモバイルは20日、都内で「Xperia Z4」の発表会を開催した。今までのように海外イベントで先行して発表するのではなく、なぜ日本で最初に? という疑問もあるが、この発表会で触れることのできたXperia Z4(以下Z4)のファーストインプレッションレビューをお届けしたい。
○Z3とそっくりの概観
まず、Z4を一目見て、前機種であるXperia Z3(以下Z3)までの「Xperia」の流れから到達した新機種であると、すぐにはわからないかも知れない。それほどZ4は、Z3とアウトラインが似ている(よほどのXperia好きならわかるだろうが)。しかし、詳細に見ていけば、その違いがだんだんわかってくる。慣れれば、彼女と彼女の双子の妹よりも見分けるのが簡単になるだろう。
まず、そのボディはZ3から微妙に薄く、軽量になっている。しかし、その違いはそれほどインパクトがあるほどではないので、Z3ユーザーでもなければ、軽くなった! とか、薄くなった! と、すぐには感じないようなレベルだと思う。
ボディの基本的なデザインは、相変わらず、背面のガラスと側面のメタルを基調にした独自のデザインを継承しているのだが、メタル部分はZ3と比較して仕上げが良くなったというか、メタルの輝きがよくなったように感じる。また、コーナー部分のカラーもはっきりと明るくなった印象がある。全体的に文字通り、輝きを増している。
よく見ると、ボディ下部のmicroUSBポートは防水なのにオープンタイプとなって、使い勝手が向上したことに気がつくだろう。Z3ではmicroUSBポートはサイドに搭載され、カバーも付いていた。充電時にいちいちカバーを外すことになっていたので、これにより利便性はアップしている。
また、通信SIMポートとmicroSDのポートはサイド部分の1つの拡張ポートにまとめられ、スペースを食わなくなった。microUSBポートが下部に移動したこともあり、サイド部分はずいぶんとすっきりした印象だ。
今回、ボディカラーはブラック、ホワイト、アクアグリーン(淡いグリーン)、カッパーの4色が用意され、メーカーとしてはホワイトをメインカラーにしていきたいそうだ。たしかに、ホワイトは人気があり、かつ無難な色なのだろう。しかし、カッパーもゴールドと見紛うようなゴージャスな雰囲気を持っていて、ハイソな印象があるのがいい。そして、アクアグリーンは非常にさわやかでオシャレだ。家電でもあるまいし、無難なホワイトを押さなくてもいいと思うのだが、どうだろうか?
●CPUやAV機能が着実に進化
○OSやCPUがパワーアップ
Z4は、OSに最新のAndroid 5.0(Lollipop)を搭載している。これにより、Z3と比較して、シンプルでリズミカルな操作ができる。しかし、これはZ3がAndroid 5.0にバージョンアップすれば変わらなくなってしまうわけで、重要な違いではなかろう。
CPUには、Snapdragon 810(2.0GHz/1.5GHz、オクタコア)を搭載し、64ビットで処理できるようになった。
これでかなりパフォーマンスは向上しているはず。しかし、言うまでもないが、日常的な普通の操作ではこのパワーを感じることはできない。Z3でも普通の操作ではスムーズそのものだったのだから。このパワーは後述するオーディオの機能やデジカメの機能で生かされているということだろう。
○カメラやオーディオもパワーアップ
さて、今回のXperiaの進化は主にAV機能にあるようだ。その一部はパワーアップした処理能力のおかげで実現されているはずなので、やはり、処理能力の必要性を考えさせられる。
オーディオに関してはZ3の時点ですでにハイレゾオーディオに対応していたわけだが、Z4ではソニー独自のBluetoothのコーデック「LDAC」に対応している。
普通のBluetoothがSBCコーデックで328kbpsのデータ伝送しかできなかったのに対して、LDACでは最大約3倍の990kbps伝送できる。
96kHz/24bitまでのデータも伝送可能。ちなみに、LDAC転送は送信、受信の双方がLDACに対応している必要がある。
会場にはLDAC対応の同社のスピーカーやヘッドフォンも用意されていたので試してみたが、なかなかにいい音だ。今後、LDAC対応機器の普及が進むかも知れないと思った。
また、Z4ならではの新機能として、有線接続しているイヤフォンなどを解析して自動的に高音質化する「自動最適化」機能がある。
この機能はイヤフォンなどに音を出して、その音の傾向を検知し、いい音になるように自動補正してくれるというもの。そのため、音にクセがありがちな比較的安価なイヤフォンほど効果があり、高級なイヤフォンほど(そもそも音がいいので)、効果が低いという。
手持ちの割と高級ではないイヤフォンで試したところ、たしかに音が補正されてマイルドでなめらかになる印象があった。
高級なイヤフォン、ヘッドフォンでなくともいい音を楽しめるとはソニー、実にナイスである。
カメラ機能では「プレミアムおまかせオート」機能が料理にも対応し、料理がよりおいしそうに撮影できるようになったのがナイス。これからはオートのままで、料理も撮れる。しかし、Z4ではメインカメラよりも、自分撮りのためのサブカメラの進化が光る。映像素子が約510万画素にパワーアップしたのに加えレンズが25mmという広角になったために、より広いエリアを撮影できるのだ。これは背景を入れた撮影や、多くの人を入れて写真を撮影したい場合に便利そうだ。
●Z4はXperia Zシリーズのターニングポイントに
○グレートインパクトはないが
Z4は順当にCPUなどの基礎体力を強化したという印象で、実に快適に使えるのだが、スマホマニア的な人には、さほど大きいインパクトはないかも知れない。
個人的には、AV機能が今まで以上に磨き込まれ、ソニー的になっているという印象がある。
ソニーの最新技術であるLDACに対応したことなどはナイスだ。
そんなLDACもいいが、イヤフォンの自動最適化技術を搭載したことは、より重要なチェンジだ。ハイレゾオーディオなどは、まだまだオーディオ好きの人を中心に注目されているものであり、多くの人にとっては「ハイレゾはいらん」というような風潮がないではないので、普通のユーザーがよりいい音を聴けるようにした意味は大きいと思う。
より多くの人のためのスマホとして生まれ変わったZ4はXperia Zシリーズの大きなターニングポイントになるかも知れない。
(記事提供: AndroWire編集部)