4Kで空撮! DJIがクアッドコプター「Phantom 3」を国内発売
DJIは4月21日、4Kでの空撮に対応したクアッドコプター新製品「Phantom 3」の記者発表会を開催した。会場では実機を使用したデモンストレーションが行われたほか、プロカメラマンをゲストに迎えてのトークも行われた。ここでは、動画も交えながら発表会の様子を伝える。
○地球上でもっとも活躍している空撮ドローン
香港に本社を置くDJIは、空撮ドローンのメーカーとしてはパイオニア的な存在。「the future of possible」をスローガンにビギナーからプロフェッショナル向けまでさまざまな機材を提供しており、その製品は世界中の空撮愛好家やプロカメラマン、撮影監督に使用されている。
発表会では、まずDJIジャパンの丸川英也氏が登壇し、新製品Phantom 3の紹介を行った。丸川氏によれば、同社の「Phantom」シリーズは2012年の初代「Phantom 1」以降、全部で3モデルが登場。その累計出荷台数は100万台を超えており、「現在地球上でもっとも活躍している空撮ドローン」とのこと。
同氏はこうした世界中のユーザーのニーズに応えるべく「主力製品であるPhantomシリーズをさらに進化させた」とコメント。そして最新モデルとなるPhantom 3を披露した。
同製品は、現行の「Phantom2 Vision+」と同様に本体底部に動画撮影用カメラを備えたクアッドコプター。外観は従来機のデザインを踏襲しているが、飛行安定性やカメラの性能などが大きく進化している。会場では丸川氏の紹介を受けて、プロペラ音とともにPhantom 3が姿を現した。スクリーンにはカメラが捉えた会場の様子が映し出されており、その映像はブレのない非常に安定したものだった。
○安定した飛行で4K撮影が可能
GPSが利用できない屋内では、機体の位置を把握できないため安定したホバリングが難しくなる。しかし、Phantom 3には超音波センサーと専用カメラによって高度と位置を補正する新機能「VISION POSITIONING」が搭載されており、GPSを使わずに同じ場所に滞空することが可能になっているという。
Phantom 3が搭載するカメラは、4K動画と1,200万画素の静止画撮影に対応したもの。3軸カメラ安定化機能を装備しているため、高画質でブレの少ない滑らかな映像を実現している。視野角は94度で、湾曲の少ない自然な映像を撮影可能。会場のスクリーンにはPhantom2 Vision+とPhantom 3で撮影した画像が並べて表示されたが、前者の水平線がドーム状に丸くなっているのに対して、後者の水平線はまっすぐになっており、その差は歴然としていた。
ちなみに、Phantom 3で撮影したフライト時の映像は、最大2km離れた場所からでも720pのHD画質で専用コントローラーに転送することができる。そのコントローラー背面には映像出力用のUSB端子が搭載されており、タブレットなどに繋げば画面でリアルタイムに確認しながら操縦することも可能。このほか、ESC(Electric Speed Controller)やバッテリー、モーターの性能なども向上しており、より高精度で直感的にコントロールできるという。
●シミュレーション機能などの便利な機能も
○シミュレーション機能も搭載
Phantom 3にはタブレットなどで使用する専用アプリ「DJI Pilot」が用意されるが、その基本画面でカメラの映像や機体の高度、速度、マップなど、空撮に必要な情報をリアルタイムで確認できる。
また、アプリからカメラのシャッタースピードや絞り、撮影モードなどを変更することも可能だ。
さらに、Phantom 3ではフライトの履歴からトータルの飛行時間やフライトした場所などを確認することもでき、メンテナンスやフライト計画に役立てられる。このほか、実際に機体を飛ばす前にアプリ内でシミュレーションして操作技術を身につけられる「FLIGHT SIMULATOR」機能や、テンプレートを選ぶだけで撮影映像を自動的に編集してショートムービーを作成し、YouTubeなどに公開できる「FILM MAKER」機能も搭載。丸川氏によれば、映像編集からシェアまで5~10分ほどで作成できるそうだ。
なお、日本独自のサービスとしてPhantom 3を購入後1年の間は、三井住友海上保険と共同で業務用保険「DJI専用賠償責任補償制度」を提供するという。この保険は操作ミスにより通行人に怪我をさせたり、駐車している車を破損してしまった場合なども補償する内容とのこと。
本体価格は、4K撮影(4,096×2,160ドット/最大25fps、または3,840×2,160ドット/最大30fps)に対応した上位モデル「Phantom 3 Professional」が税別175,000円、フルHD映像(1,920×1,080ドット/最大60fps)での撮影ができる「Phantom 3 Advanced」が税別139,800円となっている。○プロカメラマンが使用感や活用方法を説明
発表会の後半には、実際にDJIの空撮ドローンを業務に役立てているプロをゲストに迎えたトークも行われた。
モータースポーツの映像配信などに携わる「RallyStream」の染谷弘和氏は、アジアパシフィックラリー選手権のニュージーランドラリーで撮影した映像を前に独自の活用方法を説明し、「ヘリでは撮影が困難な場所でも撮影できる」など、空撮ドローンならではのメリットをあげた。
株式会社ヒートワン代表取締役で、TBSの「THE世界遺産」のカメラマンとしても知られる矢口信男氏は、数年前に取材先のアメリカで「Phantom 1」の噂を聞きつけ即購入したというエピソードを紹介。「ヘリだと高さの制限があったり、巻き起こす風が強くて動物に近づけなかったりと、さまざまな制約があるが、空撮ドローンだと低空で狭いところに入っていくことができる」とその魅力を語った。
なお発表会終了後、会場では実際にPhantom 3を飛ばすデモンストレーションも行われたが、室内であるにも関わらず安定したホバリングで、動作や転送される映像も滑らかだった。