生き物たちの驚きの能力に迫る (2) 「世界最大」で「世界一臭い」花を追い求めて20年! - 写真家 山口進氏
ショクダイオオコンニャクは種子から花になるまで約7年間かかる。はじめの6年は、地下の球茎(コンニャク玉)から繰り返し新芽が出て葉っぱが伸びる。葉っぱは木のようにまっすぐ伸びて大きな葉になり、いずれ枯れる。6年目ぐらいになると高さ3メートルを超す葉になるそうだ。
葉がくり返し伸びるごとに球茎が肥大し、球茎が十分な大きさになるとようやく花芽を出す。花芽は10日ほどたつと真中が膨らんでくる。「それでも完全に咲くかかどうかわからない。途中で腐ることもあります。
開花する確率は低いのです」
村人に切られてしまわないように、山口さんは花芽になる可能性の高い芽の前に観察小屋を建てる。斜面に建てるので大きな小屋は作れない。「2×4メートルの観察と居住空間です。村人に頼んで米とインスタントラーメンと干物、野菜を運んでもらって3週間ぐらい滞在します」 荷物は撮影機材と寝袋。調理は鍋ひとつですませる。この20年間で作った観察小屋は30~40にも上るという。
○ミステリアスな開花の瞬間
いよいよ花芽が膨らんでも、いつ頃開花するかはまったく情報がない。村人も知らないのだという。
観察小屋で一週間ほど待機した後に、山口さんが見た開花前後の様子はこうだ。