人に聞けない相続の話 (9) 1500万円の「教育資金贈与」で孫と仲良くなれる?
連載コラム「人に聞けない相続の話」では、相続診断協会代表理事の小川実氏が、その豊富な実務経験をもとに、具体的な事例を挙げながら、相続の実際について考えていきます。
【ケース9】
孫が私立の中学校に合格したので、お祝いに入学金やその後の教育費などを援助しようと思います。
1,500万円まで非課税で渡せる制度が出来たと聞いたので、1,500万円渡してしまおうかと思っています。
その話をしたら、孫の親である私の長女も大喜びしていましたので、私もワクワクしています。
これできっと正月やお盆にも長女が孫を連れて遊びに来てくれます。
何か問題はありますか?
【診断結果】
教育については将来にわたり多額の資金が必要であり、「一括贈与」のニーズも高いので、高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子供の教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資するとともに、教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に寄与することを期待するものとして、『教育資金の一括贈与に係る非課税制度』が平成25年に創設されました。 制度の概要は次のとおりです。
祖父母が、金融機関に子・孫名義の口座等を開設し、教育資金を一括で拠出した場合、子・孫ごとに1,500万円まで非課税
教育資金等の使途は、金融機関が領収書等でチェックし、書類を保管
孫等が30歳に達する日に口座等は終了となり、残金に対して贈与税が課税される
平成25年9月末契約数は40,162件、信託財産設定額合計は2,607億円となっているそうです。