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キャリアのSIMロック解除は新たな戦いの号砲に?

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キャリアのSIMロック解除は新たな戦いの号砲に?
●総務省の新ガイドラインをおさらい
今年は日本のスマホ界を、ひさびさにビッグウェーブが襲う。それが総務省の新ガイドラインによるSIMロック解除だ。これはスマホ販売業者に対して、2015年の5月1日以降に発売する機種を原則的にSIMフリーにするべきというもの。これにより、ユーザーは自由になるのか? スマホ市場は開放されるのか? を考えてみたい。

○総務省のガイドラインをおさらい

まずは総務省が発表した「SIMロック解除に関するガイドライン」を振り返ろう。総務省が今回のガイドラインの目的としているのは、大雑把に言うと、次のような感じになる。

海外に行ったときに現地の通信事業者のSIMを使えるようにする
MNPで他の事業者に同番号で契約を移行した場合、今まで使っていた端末を使えるようにする

また、具体的な話として、

原則的に販売するすべての端末をSIMフリーに
SIMロック解除しないことが公正な競争や使用者の利便性を損なわない場合は、SIMフリーにしなくてもOK

そして、手続きとして、

可能な限り、ネットや電話からSIMフリー化の手続きが行える。しかも無料で
事業者が購入から一定期間SIMロックフリーにしないことも、事業者判断で可能

まず、これらの条項は、現実にはどう反映されているのだろうか?日本の2大キャリアの動きを見てみよう。


●ドコモとauはどう対応する?
○NTTドコモ

ドコモではこれまでもほとんどの端末を購入後すぐにSIMロック解除することができたのだが、今回のガイドラインによって、逆に購入から180日後にSIMロック解除が可能になるなど、後退している。

一方で手続きに関しては、従来は端末を持って店頭に行く必要があったのが、5月1日以降は電話でもネットでも店頭でも手続きできるようになり、ネットの場合、手続き料金は無料となる。

しかし、180日待つ必要があるようになったため、逆にユーザーにとっての利便性が後退しているように見える。今までであれば、買った1週間後に海外旅行に行く場合でも、すぐにドコモショップ店頭でSIMロック解除をしてもらえたのが、5月1日以降の端末では180日待つ必要があるのだから。

○KDDI(au)
それではauはどうだろうか? ドコモと同じく対応端末を購入180日後にSIMロック解除できるようになった。そして、料金はドコモと同じように店頭で3,000円、ネットで無料になる。

対応機種は、5月1日時点では「Galaxy S6 edge」だけのようだ。少なく感じるが、これはガイドラインにある、ユーザーの利害をさまたげないという理解で、こうなったのだろうか?

●新たな戦いが始まる
○新ガイドラインによりSIMフリースマホに市民権が

こうしてキャリアの実際の対応を見ると、ドコモもauも総務省新ガイドラインの穴をついて、とりあえずSIMロック解除に対応しながら、最大限、消極的な姿勢をとっているように感じられる。
まあ、商売人としては仕方のないところだろう。

それでは新ガイドラインはスマホ界の動きに大した影響を与えないのだろうか? 僕はそうは思わない。この新ガイドラインは、キャリアにSIMフリー化を促すことが目的の1つであり、それが世間のSIMフリーに対するコンセンサスを変化させるに十分な力を持っていると考えられるからだ。

つまりは、今回の新ガイドラインにより、スマホの標準的な姿がSIMフリーであることを明示したことになる。「SIMフリースマホ」というものがスマホの普通にあるべき姿だと世間に認識させたわけだ。新ガイドラインによって、SIMフリースマホというジャンルが完全に市民権を得たわけである。今後、キャリア以外のスマホ、つまりはSIMフリー市場がより活性化していく可能性が高いということだ。

そして、この動きには、世界中のスマホメーカーも関心を持っているようだ。


今年、5月から世界的に大きなシェアを持つ通信機器メーカーの「ZTE」が「gooスマホ」として日本国内のスマホ市場に本格的に参入してくるが、このタイミングで進出してきたのも決して偶然ではないだろう。同じく、ファーウェイなども世界中で展開するSIMフリースマホを日本市場にすばやく導入するようになってきた。

そして、以前から日本市場でSIMフリースマホを積極的に販売しているASUSも、先日、新端末のZENFone2を日本国内向けに販売する発表会を行った。

また、国内のさまざまな事業者もこの分野への進出を狙っている。たとえば、先日、発表会を行ったトーンモバイルの「TONE」などがそれである。トーンモバイルは、TSUTAYAのカルチュア・コンビニエンス・クラブとフリービットが提携した会社で、その端末であるTONEは低価格で利用でき、しかもTポイントも貯まる。

これから数年後、市場を振り返ったとき、あの新ガイドラインが新たなる戦いのスタートラインになったと判断されることになるだろう。

(記事提供: AndroWire編集部)

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