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デスクトップ用GPUカードで描画能力を強化できる13型ゲーミングノートPC - デル「ALIENWARE 13」(後編)

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デスクトップ用GPUカードで描画能力を強化できる13型ゲーミングノートPC - デル「ALIENWARE 13」(後編)
●拡張ボックス「Alienware Graphics Amplifier」
デルの13型ゲーミングノートPC「ALIENWARE 13」について、前編では本体のデザインやインタフェース周り、キーボード、イルミネーション機能などを見てきた。今回の後編では、拡張ボックス「Alienware Graphics Amplifier」と各種ベンチマーク結果を紹介する。

○Alienware Graphics Amplifierでグラフィックスカードを増設

ALIENWARE 13の最大の特徴となるのが、拡張ボックス「Alienware Graphics Amplifier」(以下、AGA)を利用して、デスクトップ向けのグラフィックスカードを増設できるという点だ。AGAはALIENWARE 13のオプションとして用意され、直販価格は29,796円となる(ALIENWARE 13のスプレマシーモデルはAGAがセットになっている)。

AGAのサイズは、W185.5×D409.55×H173.5mmとかなり大きいが、そのおかげで大型のグラフィックスカードを搭載できるようになっている。内部のグラフィックスカード装着部は2スロット型カードの搭載に対応。電源ユニットは出力460Wと余裕があるので、ハイエンドクラスのカードも余裕を持って搭載できるだろう。追加するグラフィックスカードは、奥行き330mmほど、高さ120mmほどのサイズであればほぼ問題なく搭載できそうだ。


ALIENWARE 13とAGAの接続は、専用のケーブルを利用する。このケーブルによって、AGAに搭載したグラフィックスカードがPCI Express 2.0 x4相当でALIENWARE 13と接続される。また、USB 3.0ハブ機能も用意され、AGA後部のUSB 3.0×4ポートも同時に利用可能となる。

AGA搭載グラフィックスカードの映像は、外部ディスプレイだけでなくALIENWARE 13の液晶にも表示が可能だ。AGAに搭載したグラフィックスカードのGPUが、内蔵GPUのGeForce GTX 960Mに変わって接続され、Intel HD Graphics 5500経由でALIENWARE 13の液晶に表示されるという仕組みだ。これはNVIDIAのOptimusテクノロジを応用したものと考えていいだろう。ところで、AGAの動作はやや安定しないケースもあるようだ。今回、GeForce GTX 980を搭載したASUSの「MATRIX-GTX980-P-4GD5」を使ってみたところ、ドライバのインストールに失敗する現象が何度か発生した。
他のGeForce GTX 980搭載カードは正常に利用できているものもあるので、GeForce GTX 980そのものと相性が悪いわけではなさそうだ。

公式には、AGAが対応しているのは、GeForce GTX 600シリーズ以降、およびRadeon HD 5000シリーズ以降のグラフィックスカードとなる。今回のようにうまく動作しない場合も考えられるため、購入時には搭載グラフィックスカードについて事前に動作確認が取れているものを用意したほうが無難だろう。なお、今回は別途用意したGeForce GTX 960搭載のASUS「STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5」が問題なく動作したので、そちらを利用して検証を行うことにした。

●ALIENWARE 13単体のベンチマーク結果
○性能はUltrabook並でHDD搭載モデルだと動作の重さを感じる

では、ベンチマークテストの結果を紹介していこう。今回は、ALIENWARE 13単体でのテストと、ALIENWARE 13にAGA(STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5)を接続した状態でのテストを行っている。なお、ALIENWARE 13単体時のテストでは、外部GPUのGeForce GTX 960Mが常に利用される設定でテストした。

利用したベンチマークソフトは、Windows 8.1に用意されている「Windowsシステム評価ツール」、CPU性能を計測する「CINEBENCH R15.0」、総合ベンチマークの「PCMark 8」、3D描画性能を計測する「3DMark」、ゲームベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク」だ。
なお、3DMarkとファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマーク以外は、ALIENWARE 13単体でのみ計測している。

まず、Windowsシステム評価ツールの結果は、ゲーミングPCとしてはやや物足りないスコアとなった。CPUにUltrabookなどで利用されるCore i7-5500Uを採用していることもあるため、この結果に関してはスペック通りと言っていいだろう。同様にCINEBENCH R15.0の結果も、Core i7-5500U搭載PCとして標準的だ。

ここまでは想定の範囲内だが、PCMark 8の結果では物足りなさが大きくなる。ただ、これは原因がある。それは内蔵ストレージが1TBのHDDだったからだろう。PCMark 8のスコアは内蔵ストレージの速度に左右されるため、HDD搭載のためスコアが伸びなかったわけだ。
実際の体感速度も、HDDによって動作の重さを感じる場面が多かった。やはり、内蔵ストレージは標準でSSDに強化すべきだろう。

●グラフィックスカード増設時の3D描画性能はさすが
○グラフィックスカード増設時の3D描画性能はさすが

次に3D描画能力のテスト結果だ。ここからは、ALIENWARE 13単体に加えて、STRIX-GTX960-DC2OC-2GD5を装着したAGAをつないだ状態でのテストも行っている。結果は下表にまとめたとおりだ。

3DMarkの各テストの結果を見ると、描画負荷の大きなテストほどAGA接続時のほうがスコアが良くなっており、ALIENWARE 13単体と2倍近く差が開いているものもある。今回は正常に動作させられなかったが、GeForce GTX 980搭載カードを利用すれば、さらに描画性能が高まるはずで、3Dゲームをより快適にプレイできるようになるはずだ。

AGAはALIENWARE 13とPCI Express 2.0 x4で接続されるため、グラフィックスカード本来の性能は引き出せていない。
だがそれを考慮したとしても、描画負荷の大きい最新3Dゲームなどでは、AGAを利用したデスクトップ向けグラフィックスカードの接続は大きな効果を発揮すると言えるだろう。

ただし、気になる部分もある。それはAGAの動作音だ。AGAはケース前方に冷却用の空冷ファンを搭載するが、このファンの動作音が非常にうるさい。グラフィックスカードも描画負荷が高まると空冷ファンの動作音が大きくなるが、AGAケースファンの動作音はグラフィックスカード(高負荷時のファン動作音)を上回る。しかも、この大きな動作音が常に響くため、AGA利用時の騒音はかなり気になる。グラフィックスカードの安定動作を重視してのものとは思うが、できればもう少し静音性に優れるファンを使ってもらいたかった。

○省スペースゲーミングPCとして魅力的
ALIENWARE 13は、ゲーミングPCとして考えるとCPUはやや非力だが、GeForce GTX 960Mを搭載しているため、単体でも3Dゲームを比較的快適にプレイできる。
そして、なにより魅力なのが、AGAを利用してデスクトップ向けグラフィックスカードを増設できる点だ。

3Dゲームを快適にプレイするには高性能GPUが不可欠だが、一般的なノートPCではGPUの強化はほぼ不可能。そういった意味で、デスクトップ向けグラフィックスカードで強化できるALIENWARE 13は、ゲーミングノートの中でも特別な存在と言える。

もちろん、デスクトップPCに比べると制限は多いが、それでもノートPCという優れた省スペース性と、気楽に持ち運んで利用できる利便性の高さは、デスクトップPCにはない特徴となる。ゲームは快適にプレイしたいが、本格的なデスクトップPCを置くのはスペース的に難しい、という場合に魅力的な選択肢となるだろう。

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