AQUOSケータイ「SH-06G」はターゲットをはっきり絞った端末に - AQUOS Kとの違いは?
既報の通り、NTTドコモは2015年夏モデルとして、Android OS搭載の折りたたみ式フィーチャーフォン「ドコモケータイ」2モデルを発表した。そのうちの1機種、シャープの「AQUOS ケータイ SH-06G」を触る機会があったのでファーストインプレッションレビューをお届けしよう。
○ガラケーとしては普通の作り
SH-06Gは、シャープのドコモ向けフィーチャーフォンの最新モデルだ。富士通の「F-05G」が「ARROWS」を名乗っているように、こちらも同社のテレビシリーズを皮切りに使われている「AQUOS」の名を冠するモデルとなった。
本体デザインは、前モデルとなった「SH-07F」をほぼ踏襲しているが、数値上はわずかだが少し大きく、重い。もっとも、手に持って比べてみても、ほとんどの人は気付かないレベルだろう。
スペックを見ると、カメラが500万画素など、今時の端末としてはやや寂しい感があるが、前モデルのSH-07Fもコスト重視の割り切った構成になっていたため、実はスペック的な違いはほとんどない。おサイフケータイやLTE/VoLTE、Wi-Fiに対応しないのも前モデルから踏襲している。
この辺は妥協できるユーザー向けの端末ということだ。なお、富士通のF-05GはGPSを搭載していなかったが、こちらは搭載している。
●LINEをプリインストール
○Android化でLINEを搭載
ソフトウェア的にはAndroid ベースになっているが、外見上は通常のフィーチャーフォンと見分けがつかないのもF-05 Gと同じ。インターフェースもdocomo Palette UIではないようだが、似たようなものになっており、十字キーやソフトキーを多用する操作感は、完全にフィーチャーフォンのそれと変わらない。
アプリとしてはLINEを搭載しており、スタンプを含めてほぼフル機能として利用できる。これ以外のアプリを追加登録できない点もF-05Gと共通している。
F-05GのブラウザやLINEではマウスモードに搭載しているが、このときに十字キーを押すのではなく、上で指を滑らせてタッチパッドのように使える「タッチクルーザーEX」を搭載。最初はキーを押し込みたくなるが、グっと我慢して操作すると、マウスカーソルが動かせる。
なかなか感度もよく操作感はいい。
全体的な搭載アプリ等はF-05Gとほぼ共通だが、特に動作が重かったりということもなく、ごく普通にフィーチャーフォンとして使えるレベルだ。
●AQUOS Kとの違いは?
○AQUOS Kとはどこが違う?
シャープといえば、先にauから「ガラホ」ことAQUOS Kを販売していたメーカーだ。ハードウェアスペックを見ると、カメラ機能などはSH-06Gのほうが劣るが、それ以外の点については(無線部を除いて)共通している項目が多い。推測だが、Android部分としては、AQUOS KもSH-06Gも、ほぼ同じものを使っているのではないだろうか。
しかし、製品としてのコンセプトの違いが、両者の印象を大きく変えている。F-05Gのレビューでも指摘したが、AQUOS Kはスマートフォンとフィーチャーフォンの融合であるのに対し、SH-06GはあくまでフィーチャーフォンをAndroidという土台で作ったという位置付けだ。
ターゲットとなるユーザーも、AQUOS Kはスマートフォンよりのユーザーであるのに対し、Androidドコモケータイでは通話がメインのないユーザーだ。
そのため、AQUOS KではLTEやWi-Fiといった技術を積極的に採用しているのに対し、SH-06Gでは通信には3Gのみ、おサイフケータイなどの機能もオミットする、という思い切った仕様になっている。SH-06Gの仕様が物足りなく見える人は、そもそもドコモが想定するターゲットユーザーではないわけだ。
このこと自体は理解できるし、SH-06Gはその目的に十分合致した端末になっていると思う。とはいえ、たとえばLTEやVoLTEといったインフラ部分は、ユーザーが意識して利用する必要のない部分だ。通信部がLTEに対応すればLINEやウェブブラウズも快適になるし、VoLTEも、ユーザーにとっては音声品質の向上を、キャリアにとっては電波利用効率の向上というメリットがあるはず。コスト的に見合わないのかもしれないが、あえて戦略的に取り入れていくことも視野に入れてよかったのではないだろうか。
SH-06GとF-05Gの登場により、これまでフィーチャーフォンを使ってきたユーザーにとって、今後もドコモがフィーチャーフォンを出し続けていくというサインは送れたと思う。これをドコモが想定するユーザー層がどのように受け止めていくのか、注目したい。
(記事提供: AndroWire編集部)