テレビ・ワンシーン考現学 (5) 街歩き番組の「偶然立ち寄った」設定に翻弄される商店街
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ドラマにありがちなシチュエーション、バラエティで一瞬だけ静まる瞬間、
わずかに取り乱すニュースキャスター……テレビが繰り広げるワンシーン。
敢えて人名も番組名も出さず、ある一瞬だけにフォーカスする異色のテレビ論。
その視点からは、仕事でも人生の様々なシーンでも役立つ(かもしれない)
「ものの見方」が見えてくる。
ライター・武田砂鉄さんが
執拗にワンシーンを追い求める連載です。
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○下ごしらえも開店時間も早める和菓子屋
現在の住まいや出身地など土地勘のある場所がテレビ番組で取りあげられるのは嬉しい。当然、新しい発見など期待できないのだが、あの人があそこを歩いたんだと確認する作業だけでもその時間を番組に捧げる意味がある……と思ったのも束の間、細かい査定が重なることになる。その和菓子屋がオープンするのは10時のはずだが、芸能人ご一行が店先で「へぇー、こんなところにこんな名物まんじゅうが」