東京都・六本木でマンガ、アニメ、ゲームと日本社会の関係を探る展覧会
同展は、意識やライフスタイルがめまぐるしく変化してきた日本社会を概観するため、世相の変化や進化するテクノロジーの進化を映し出す日本のマンガ、アニメ、ゲームを展望するもの。手塚治虫が亡くなった1989年以降のおよそ25年間に焦点をあて、作品と作品の関係性、そして同時代の社会やテクノロジーと作品との関係を、8つの章で構成した展示で解説する。
展示内容は、「王道」たる熱気あふれるテーマの作品を紹介することに始まり、テクノロジーやネットワーク社会を背景とした世界観を持つ作品や、制作技法として3次元CGなどのデジタル映像技術を駆使した作品、アイドルの卵・プロ野球選手・歴史上の人物などさまざまな「キャラクター」たちの生きる「世界」を表現した作品、「日常」と「非日常」が交差した作品など、様々な視点から分類したマンガ、アニメ、ゲーム作品を紹介。また、3つのジャンルのなかでも特に世相に素早く反応するマンガに着目し、その時々に応じた多彩な題材を作品として描き、働くこと、作ること、日本の伝統文化を継承することなど、現実とリンクした多様なテーマを持つマンガを中心に紹介する章も設けられている。
また、インターネット上での情報共有やコミュニケーションが新たな作品を生み出す土壌となっている実例として、個人・同人制作や二次創作など、ネット社会を背景とした、新たな創作プロセスの中で生み出された作品を紹介。そのほか、ゲームのプレーヤー自身が遊ぶだけに留まらず、作品の実演者としての役割を持ち、作品の「完成形」を押し広げる役割を担い、周りの観衆を巻き込んだ体験の共有へと導く「コミュニケーションの場」と呼ぶべく進化したゲーム作品など、「コミュニケーション」視点からも作品紹介がされている。
さらに、展覧会の最終章では、アニメの動きやゲームにおけるリアルな映像表現の作り手に注目。ITや映像技術の進化だけでは実現できない技術を使う作り手の「ワザ」や「思い」、その「手業」を、作品を通して紹介するということだ。