次世代を担うクリエーターとの共創を目指すローランド
本記事では、過去最高の15万人もの入場者を集めたニコ超と、その裏で開催された同人音楽イベント「M3」について、それぞれに出展したローランドブースの模様を紹介。同社が考えるクエリーターとの関わり方とその目指す先について探る。
○ネット上で人気の弾き手と歌い手によるコラボで音作りを実演
喧騒渦巻くニコ超会場。その一角に、シンセサイザーをはじめとした様々な電子機器が並んだローランドのブースがあった。当日は、ネット上で人気の弾き手でありローランドのデモンストレーターでもあるcake(HONEYWORKS)さんによる、音作りのデモンストレーションが行われた。
それは、ピアノ、ギター、ドラムなどの楽器音源を組み合わせ一曲のバンド楽曲を作り上げるというもの。まるで専門学校における授業のような光景は、混沌としたニコ超の雰囲気とは一線を画するものだったが、それでも数多くの来場者がブースに集まり、cakeさんのトークに耳を傾け、デモの様子に視線を注いでいた。
聴衆の多くは、cakeさんやコラボで登場した歌い手の「メルモー」さんのファンと思われる若い人たち。だが、デモ終了後にもブースに残り展示されている楽器を熱心に眺める人も多く、話を伺うと「自分がファンである人がどんな機材を使っているか興味があるので」 とのことだ。
投稿された動画を見て、その弾き手や歌い手のファンになり、そのウチに自分でもやってみたくなる。それが音楽を始める現在の傾向かもしれない。
「楽器に興味を持つスキームは、今も昔も変わっていないと思います。ただキッカケが、ラジオやコンサート、CDやDVDなどから動画投稿サイトにある情報へと、幅が広がっています。」と語るのは。
当日のブース運営を行いつつも、自身もステージに立って、機材を解説していたローランドのスタッフ。
「動画投稿サイトやストリーミング・サービスによって、プロ、アマを問わず様々なアーティストやクリエーターが注目されるようになりました。そのような皆さんは、それぞれが形成されるコミュニティで独自のルールと世界観を構築しながら成長していっています。
そのコミュニティを成長させるパワーは『自由なクリエイティビティ』だと思います、例えば弊社が提供しています“電子楽器”には、使い手のアイデア次第で表現の可能性がグッと広がる、特徴があります。
その自由さが、前述した多種多様なコミュニティが持つ可能性とマッチングして、お互いが幸せになれる関係が見出せるのではないかと考えています。電子楽器は、動画投稿や音楽制作、配信との相性も良いので、『ローランドの楽器で、あなたのやりたいことは実現できそうですか?』と、あくまでクリエーターに寄り添うかたちで、認知活動を行っていきたいですね」
ニコニコ超会議に初出展となったローランド。「クリエーターや、そのファンの方々と実際に触れ合ってみて、ブース展開やコンエンツについても、方向性や」特色を考える必要があると実感しました」
○同人音楽イベントで本格的なバンドライブを実演
このGW中には、ニコニコ超会議の他にも様々なイベントが開催されていた。そこで次に、4月25日東京流通センターにて開催された「M3」の模様をお届けしよう。
1998年より開催され、今回で第35回目の開催となるM3は、毎年約1万人の来場者を集める、同人音楽の即売会イベントの代表的な存在である。
ローランドは、会場の一角にステージを設営。プロのミュージシャンや次世代を担う若いバンドなどを招き本格的なライブパフォーマンスを行った。
これらイベントへの出展は、基本的には同社製品のPRが目的ではあるが、その根本はあくまで一方的に“押し付ける”ものではなく、「共に創る、『共創』のカタチで実現していくことが重要」だとの想いがある。
同社のような音楽機器メーカーは、「音楽を作りたい」、「奏でたい」という人たちが存在してこそ成り立つ。場所や人の垣根を越えて、新しい音楽の可能性を探し続けるローランドに期待したい。