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格安SIMへ移行するべき!? SIMロック解除義務化のメリットとデメリットについて考えた

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格安SIMへ移行するべき!? SIMロック解除義務化のメリットとデメリットについて考えた
●SIMロック解除によるメリットとデメリットとは
5月よりキャリアによるSIMロック解除が原則義務化された。これに伴って、NTTドコモとKDDI、ソフトバンクの大手キャリアはSIMロック解除に関するルールをそれぞれ公表しており、SIMロック解除ににわかに注目が集まっている。とはいえ、「そもそもSIMロックって何?」「SIMロック解除によって何が変わるの?」などと疑問に思っている人も多いだろう。

本稿では、SIMロック解除についてあらためて解説するとともに、そのメリットとデメリットを紹介していく。また、キャリア以外の選択肢として最近人気となっているMVNOサービスとあわせ、SIMロック解除の義務化によって、今後スマートフォン市場で何が起こるのかを考察してみたい。

○そもそも"SIMロック"って何?

まずは、そもそも"SIMロック"とは何かについて解説していこう。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった主要キャリアが販売するスマートフォンや携帯電話では、SIMロックという制限がかけられている。スマートフォンなどでは、SIMカードと呼ばれる小型のICカードを装着することでデータ通信や通話を行えるが、一般的にキャリアが販売する端末の場合、そのキャリアのSIMカードしか利用できず、他社のSIMカードは利用不可となる。
これがSIMロックだ。

たとえば、ドコモのSIMカードをKDDIやソフトバンクのスマートフォンに装着しても認識されず、データ通信や通話はできない。そのため、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)などで他のキャリアに乗り換えた場合、SIMロックがかかっている限り、以前のキャリアで使っていたスマートフォンは利用できず、移行先のキャリアで新たに端末を購入する必要が生じる。

実際には、MNPのキャンペーンによって端末代金や月額料金が割引されることも多いが、SIMロックは"2年縛り"などの契約期間の制限とあわせて、キャリア間の柔軟な乗り換えを阻害する要因になっていたと言えるだろう。

○SIMロック解除によるメリット

SIMロック解除とは、このSIMロックをユーザーが自身の希望に応じて解除できるというものだ。これまでもNTTドコモが同社のAndroidスマートフォンでSIMロック解除に応じていたほか、ソフトバンクでもごく一部のAndroidスマートフォンでSIMロック解除が可能であった。しかし、総務省が昨年12月に発表し、5月より適用されたSIMロック解除に関する新ガイドラインでは、キャリアが販売するすべての端末で原則としてSIMロック解除に応じるように改められた。また、SIMロック解除の手続きについては、ユーザーがインターネットや電話を使って簡単に解除手続きができるようにし、なおかつ無料で解除が行えるものとした。


4月22日にNTTドコモとKDDI、ソフトバンクがそれぞれ公表したSIMロック解除に関するルールは、同ガイドラインに沿ったものとなっており、5月1日以降に発売される機種について、購入日から180日経過後にSIMロック解除の手続きを受付けるとしている。また、3社ともWebサイトから申し込むことで無料でSIMロック解除が可能となっている。

このように各キャリアでSIMロック解除が可能になるメリットとしては、まず以前のキャリアで使っていたスマートフォンなどを、乗り換え先のキャリアでそのまま利用できることが挙げられる。現在利用中のキャリアのサービスや料金に不満がある場合に、端末を変えることなく、キャリアのみ乗り換えることが可能になるわけだ。ただし、後述するように端末がサポートする通信方式や周波数帯によっては、乗り換え先のキャリアで利用できない可能性があることに注意が必要だ。

また、SIMロック解除のもう一つのメリットは、スマートフォンの海外利用が可能になることだ。SIMロックを解除した端末であれば、海外旅行先などで現地の安価なSIMカードを購入し、端末に装着して使うことができる。割高なローミングサービスを利用したり、海外用の端末をレンタルしたりする必要がないため、旅行や出張で海外によく出かける人にとっては、大きなメリットと言えるだろう。


○SIMロック解除によるデメリット

一方、SIMロック解除が原則義務化されることにはデメリットもある。もっとも懸念されているのは、端末代金が高騰することだ。たとえばiPhoneなどが実質0円から購入可能となっているように、キャリアは端末代金の一部を肩代わりして、ユーザーの端末購入のハードルを下げる代わりに、月々の料金から回収するというビジネスモデルを採用している。

このビジネスモデルは長期利用を前提としており、キャリアにとっては、端末代金を肩代わりしたユーザーが、早期に他キャリアへ移行してしまっては端末代金を回収できず損失となる。SIMロック解除によってビジネスモデルが成り立たなくなるのであれば、キャリアによる端末代金の肩代わりがなくなり、ユーザーの端末代金の負担額が増加する可能性があるわけだ。

また、SIMロックを解除した端末だからと言って、必ずしも他のキャリアで利用できるわけではなく、それによるトラブルや混乱が起きることも懸念される。各キャリアのネットワークの通信方式や周波数帯は同一ではなく、端末がサポートする周波数帯も各キャリアごとに異なるため、SIMロックを解除して他キャリアに乗り換えても、移行先のキャリアで使えない可能性がある。そのため、SIMロック解除がスタートしても、解除した端末を用いた他キャリアへの乗り換えが増えるかと言えば、実際にはそうはならないかもしれない。


●SIMロック解除でMVNOへの移行が加速する?
○SIMロック解除でMVNOへの移行が加速する?

それでは、いわゆる"格安SIM"と呼ばれるMVNOサービスへの移行についてはどうだろうか。キャリアよりも低料金で利用できるMVNOサービスだが、その大半はドコモのXi・FOMA網に対応した通信サービスとなっている。実は、ドコモのXi・FOMA網に対応したMVNOのSIMカードの場合、ドコモ端末であれば、SIMロックを解除することなく利用することが可能だ。

そのため、ドコモのスマートフォンを利用しているユーザーにとっては、SIMロック解除義務化の前後で変わりなく、様々なMVNOサービスから好みのものを選んで、低料金のMVNOサービスへ移行することができる。一方、KDDIやソフトバンクのユーザーの場合、SIMロック解除によって、自身の端末でドコモのXi・FOMA網に対応したMVNOサービスへの移行が可能になるため、低料金でスマートフォンを利用する選択肢がかなり広がると言える。ただし、前述したような通信方式や周波数帯の問題は残るため、端末がサポートする周波数帯などをよく確認する必要があるだろう。

これらのことから、SIMロック解除でMVNOサービスへの移行がしやすくなるのは、直接的にはKDDIとソフトバンクのごく一部のユーザーに限られそうだ。しかし、SIMロック解除によって、キャリアのスマートフォンの端末代金が高騰すれば、高額な端末代金を嫌うユーザーのMVNOサービスへの移行を後押しする要因になるかもしれない。
MVNO各社では、格安SIMとSIMフリースマートフォンをセットで提供するスマホセットプランを提供しており、安価で魅力的なSIMフリースマートフォンも続々と登場している。SIMフリースマートフォンとは、最初からSIMロックがかかっていないスマートフォンのことで、海外でも利用できるのはもちろん、他のMVNOサービスやキャリアに乗り換えても使い続けることが可能だ。

たとえば、U-NEXTのMVNOサービス「U-mobile」では、5機種のSIMフリースマートフォンとのセットプランを提供している。ASUS製の5インチAndroidスマートフォン「ZenFone 5」の場合、高速データ通信が使い放題となる「LTE使い放題2プラン」(1年契約)とのセットプランでは、端末代金の分割支払金を含む24カ月の月額料金は3,830円(以下、金額は税抜)。25カ月以降は、音声SIMカード単体の月額料金2,730円で利用することが可能だ。なお、端末は一括購入も可能で、価格は26,400円となる。キャリアの新料金プランでは、通信容量が月間2GBの最低料金のプランでも、月額6,500円となるため、U-mobileがいかにリーズナブルか分かるだろう。

ZenFone 5をはじめとする人気のSIMフリースマートフォンでは、キャリアが販売するハイスペック端末と比較しても、通常利用する上では性能差はさほど感じられない。
「@docomo.ne.jp」などのキャリアメールは使えないものの、LINEやTwitter、FacebookなどのSNSはもちろん快適に利用できる。また、U-mobileでは5月16日よりZenFone 5の次世代機にあたる「ZenFone 2」の取り扱いを開始しており、こちらについては4GBメモリ+eMMC 32GBを搭載と、非常に高い性能とコストパフォーマンスを有している。

SIMロック解除でキャリアのスマートフォンが高騰すれば、これらのSIMフリースマートフォンがますます注目を集めることになりそうだ。

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キャリアによるSIMロック解除の義務化のメリットやデメリットについて見てきた。ハイスペックな端末を実質0円などで提供し、長期契約による月々の料金で回収するというキャリアのビジネスモデルはSIMロック解除によって崩れつつあり、スマートフォン市場は転換点に差し掛かっていると言える。主要キャリアが昨年、相次いで提供した新料金プランは各社横並びとなり、キャリア間の競争は停滞している。しかし、SIMロック解除がスタートしても、キャリアがユーザーにとって魅力的な料金プランを用意できないようであれば、U-mobileをはじめとするMVNOサービスが最良の選択肢となるかもしれない。

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